100話
天を貫く巨塔へ挑むユカ達4人。
4人は30階で待ち構えるボスと対峙する。
「あれはー?」
「『ファントム』だよ」
30階のボスは紳士のような服を着たショートカットの女の子。
「何か、普通の人に見えるけど」
「まぁ、実際あの子は生身だし」
ファントムは自身の周囲に180センチほどの大きさの、女性の形をしたマネキンを8体召喚する。
「あれが取り巻き?マネキンが動いてると流石にちょっと怖いね……」
そのマネキンは指が細長く、マネキンとは思えないほど滑らかに動いている。
「『スピリット・ドール』だよ。分かりやすいからマネキンでもいいけど。マネキン達は魔法防御が高いから、物理で攻めなきゃね。あと一つめんどくさいのが」
そこまで言いかけると、マネキン達は散開しつつユカ達に迫り始める。
「お喋りは終わりってことね」
「最近の敵はすぐにバラバラになろうとするなぁ。敵の頭良くない?」
「忘れてない?ここ最上級ダンジョンだよ」
「モモはいつも通り後方支援。みことニナは取り巻きをお願い。ボスは私がなんとかするね」
「はいよー」
「私も取り巻き処理……。散らばっちゃってるし、しょうがないかぁ」
ニナが向かって左側を、ミコが右側の取り巻きの対処を始める。
「こいつは取り巻きが厄介だけど、本体はそこまで強くない、筈」
【忍術:風遁・爆風波】
ユカは縮地で一気に距離を詰め、忍術でファントムを更に奥へと吹き飛ばす。
「私は直接戦闘はあまり得意じゃ無いんだけどなぁ」
【豊穣:パワープラント】
ミコは右側に広がったマネキン達の足元に種を撃ち込み、そこから急成長した大きな木の根を操り、マネキン達を叩き潰す。
「一体しか壊せなかったか。思ったより動きが早いなぁ」
ミコが懐から新しい弾を取り出そうと視線を逸らすと、壊れたマネキンから紫色のモヤが現れ、ミコに向かっていく。
「うぇっ!?なにこれっ!?」
ミコがそれに気づいたときには、既に目の前にまで迫って来ていた。
「このマネキン達は、そのモヤが憑りついて動いてるから、一度マネキンを破壊した後にモヤを倒さなきゃダメだよ」
「先に言ってよっ!!」
時は既に遅く、ミコはモヤに纏わり憑かれる。
「うっ……、んっ……?特にくすぐったくは……。いや、体が動かない……」
「そいつに憑りつかれると体を操られるよ」
「だから先に言ってってばぁ……」
そして動けなくなったミコに残った3体のマネキンが迫ってくる。
「やっ……来ないでよ……!」
体を操られているミコは、口では嫌がっているものの、体はくすぐられやすいように万歳の姿勢にさせられている。
「ユカちゃんはボスに勝てそうだけど時間はかかるだろうし。私もマネキンの処理が忙しいから頑張って耐えてー」
「結局こうなるのね……」
もはや諦めた顔をするミコ。マネキン達はそんなミコの体を両手でくすぐり始める。
「んふっ!くっふふふふ!やっ……!ちょっと、つよぃっ……!」
マネキンの細い指が服の上からミコの体をまさぐり、くすぐる。
「んふっ!ふっ!やっ!ぁっはははははは!もっ、むりっ!っひひひひひひ!」
どれだけくすぐったくても、マネキンの霊に憑りつかれたミコは体を一切動かせない。
「ひぁっはははははははははは!はぁっ!はっ!あぁっははははははは!たすけっ!やぁっははははははは!」
マネキンとは思えないほど滑らかに動く指は、ミコに強いくすぐったさを与える。
「んひぃっひひひひひ!はっ!はぁっ!あぁっははははははははは!」
左右に居るマネキンがミコのガラ空きになっている両脇を20本の指で激しくくすぐる。
「くぅっふっふっふふふふふふ!やぁっ!やぁぁっはははははははははは!」
残る一体はミコの正面に立ち、靴と靴下を脱がせて素足を晒させる。
「やぁぁっ!足はだめぇっへへへへへへへへ!はぁっ!あぁっ!っ!あぁ~っははははははははははははは!」
そして両手で一切動かず無防備に晒されている足の裏をくすぐる。
「あぁぁーーっはははははははははは!はぁっ!くすぐったぃっ!はぁっ!はぁっ!あぁっはっはっはははははははははははは!」
激しく体をくすぐられ、3分程経過した時、鎌がマネキンを吹き飛ばし、出てきたモヤは蒼い炎に焼かれて消える。
「お疲れぇー。ユカちゃんもボス倒し終わったし、もう大丈夫だよ」
「取り巻きが厄介なだけで、ボス本体は聞いていた通り強くなかったわね」
そのまま少し休憩し、4人は31階のチェックポイントへ到達する。
そしてこの日は、このままお開きとなった。
本編も遂に100話超えました。