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97話

 ユカ達4人が天を貫く巨塔の21階へと到達した日の翌日。

 いつも通りゲームにログインしていつもの喫茶店に集まる4人。


「今日はどこ行くー?」


「昨日の勢いのまま、天塔登っちゃおうよ」


 ミコがアイスを食べながら問いかけ、ニナが紅茶を飲みながら提案する。

 そのまま他に候補も上がらず、今日も4人は天を貫く巨塔へ行く。


「今日は21階からだね。目指せ31階!」


 いつも通りハイテンションのニナと共に塔へと入り、魔法陣を踏んで21階へ移動する。そのまま止まることなく、反対側にある魔法陣を踏んで22階へ足を踏み入れる。


「うへぇ。なんか、気味悪いところだね」


 ミコは着くなり嫌悪感を露わに嫌な顔をする。


「22~30階は死霊系だったわね」


「術メインの私達には楽な相手よ」


 死霊系は大きく分けると物理耐性が高い霊系と、炎と聖を除く術に耐性のあるアンデッド系の2種類がいる。

 どちらにしてもユカ達には戦いやすい相手だ。

 そんな死霊系が闊歩する22~30階は、さながらお化け屋敷のような様相になっている。


「さっそくおでましだね」


 ユカ達が移動を始めるよりも早く、民族衣装のような恰好をした顔色の悪い女性が3人、近づいてくる。


「ゾンビシャーマンだね。蹴散らしていこー」


 ニナが鎌を構えて突撃する。


【死神技法:ソウルリーパー】


 そのまま蒼い炎を纏った鎌を振るい、3体を同時に撃破する。


「ま、相性が良ければこんなもんね」


 そのまま4人は進んで行き、小部屋の隅で輝く魔法陣を発見する。


「よーし、次の階へ。さっくさく進んで行こー」


 我先にと魔法陣へ突っ込んでいくミコ。


「ねぇ、ニナ。確かもうそろそろだったよね?」


「うん。確か20台からだった筈」


 ユカとニナが何か不穏なやり取りをして、一番後ろからそれを見ていたモモは、すぐに行かずに様子を見る。


「ちょ、なにこれぇっ!?」


 ミコが魔法陣を踏んだ瞬間、魔法陣から青白い手が10本生えてきて、ミコの両手両足を掴む。


「ハズレだったかー。ミコちゃんもってるねぇ」


「先に言ってよ!」


 ミコの反応などお構いなしに魔法陣から出てきた手はミコの体をくすぐり始める。


「ひゃぅっ!んっ!くっふふふふ!やっ、めぇっ!っ!っはははははは!」


 魔法陣から伸びた手はミコの腋とあばらと脇腹を、計30本の指を蠢かしてくすぐる。


「あぁっはははははははは!あはっ!はぁっ!はっ!はぁっ!たす、けっ!っはははははははは!」


「助けれるっけ?」


「いや、こいつはモンスター扱いじゃないから、効果時間が切れるのを待つしかないね。1分ぐらいだったかな」


「だって。耐えて」


「んやぁっははははははははは!これ、はげしぃっひひひひひひ!」


 時間が短いからか、自由に動く6本の手は最初から激しくミコの体をくすぐる。


「ふぃっひひひひひひひ!ひゃぁっはっはっははははははは!あはっ!はぁっ!はぁっ……!はぁっ……」


 そしてようやく解放されたミコは、そのまま地面に倒れ込み、1分の休憩を挟んで探索を再開する。

 ほどなくして次ぎの魔法陣が見つかる。


「アレは本物?次ゆかちー踏んでよ」


「分かったわ。それ」


 ユカは魔法陣に近づき、そのまま踏んで次のフロアに行く。


「ハズレはまだ1フロアに一つしかないから、ミコがハズレ引いた時点で本物確定よ」


「先に言ってよ」


「ちなみに、わざわざ踏まなくても石とか投げれば判別できるよ」


「先に言ってよ」


 そのまま24階まで問題なく進み、25階への魔法陣を見つける。


「もう偽物見つけたし、あれが本物なのは間違いないんだけど、めんどいわね」


 本物の魔法陣の周囲にゾンビシャーマンが8人、青白い人魂のような姿をしたティックガイストが8体、計16体の敵がうろついている。


「全部一撃で倒せるけど、数がなぁ」


「右半分は私がやるから、ニナは左半分よろしく。ミコは後ろに通さないように」


「おっけー」


「はーい」


 3人がそれぞれ動き出す中、モモは暇そうに後ろで待機していた。


「こういう時、私暇なのよねぇ」


 モモは火力が出せず、アタッカー2人が確殺できる場合、やる事が無くて暇になる。


「そろそろ新しいスキルとか欲しいわね……。わひゃぁ!?」


 3人の戦闘を眺めていると、突然体にくすぐったさを感じる。


「なっ……、なにっ……!んっ!くっふふふふ!んふっ!ふっ!やっ……!」


 モモは周囲を見渡すが、周りには何もいないように見える。


「んふっ!ふっ!んんぅっ!ふふふふ!ふぅっ!っ!ふっ!んんっ!ふぅ~~~っ!」


 だが変わらず全身を数人がかりでくすぐられているようなくすぐったさを感じる。


「ふっ!ひっ!やっ……!んっふふふふふ!ふぅっ!っふふふ!っ!んんっ!」


「ももっち、何してるの……?」


「んんっ!たっ、すっ、けっ!ふぇひっ!くっふふふふ!んんっ!ふぅっ!っふふふふ!」


「モモちゃん、シャドウに襲われてるね。ほら、モモちゃんの影、めっちゃくすぐられてる」


 ニナが口にした名前。シャドウという敵は目には見えず、プレイヤーの影をくすぐることでくすぐってくる厄介な敵である。


「対策はしてあるよ。ほいっ」


 ニナは筒状の物体をモモの後ろに投げる。それは地面に落ちると同時に眩い閃光を放つ。


「ふぅっ……!はぁっ……!はっ……!」


「シャドウは強い光を放って影を消せば倒せるよ。ネアさんから予め、幾つか閃光手榴弾を貰ってきたから任せて」


 全ての敵を殲滅し終えたその場で、1分程休憩をした後、4人は25階へと進む。

ツイッターの方で報告しましたが、11月ぐらいまで仕事が忙しくなるので投稿間隔が更に伸びます

……。

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