95話
天を貫く巨塔へ挑むユカ達4人。
一行は15階の中ボスを撃破し、16階へと足を踏み入れる。
「まだスライムは続く感じ?」
「12~20階はスライム系のみよ」
そうぼやきながらも、4人は先へと進み始める。
探索をしていると、球体から触手のようなものがたくさん生えたスライムが4人の前に現れる。
「こいつは?」
「スライムテンタクルだよ。近接戦だと危険だけど、足が遅いから遠くで術撃ってれば楽に勝てる」
「なんか、色が白いからか、シラタキに見えてきた」
「みこ、集中して」
「はい」
一体だけだったため、ニナの助言通り遠くから術で攻撃して安全に撃破する。
「1体だけ?珍しく少ないんだね」
「まぁ、まだ後半が始まったばっかだし。全滅したら11からやり直しだから、油断せず気を付けてね」
「あーい」
その後も見慣れたスライムを倒しながら進んでいき、4人は17階へ移動する。
「あれは?初見のモンスターっぽいけど」
少し進むと、ミコが前方に紫色のスライムを3体発見する。
「ドレインスライム。こっちをくすぐってMPを吸い取ってくる。捕まったらめんどいよ」
「まぁ、数が少ないから遠距離の術でゴリ押せるでしょう」
ユカの言う通りに遠距離から術を放ち、何の苦もなくドレインスライムを蹴散らして先へと進み、18階へと移動する。
「18階ー。あと2階上がれば今日は一区切りかな」
「そうね。もう結構いい時間だしね」
19階への道を探して進んでいると、握りこぶし程度の大きさのスライムが5体、4人の前に現れる。
「こいつは?」
「ミニマムスライム。HPはめっちゃ低いけど、小さくてすばしっこくて攻撃が当たりにくいし、集団で現れるから結構強敵」
「スライムだから足止めしにくいし……。なんかスライムでも効果的な行動阻害の植物あったかなぁ」
【忍術:雷遁・紫電】
スライムがユカ達を認識した瞬間、ユカが範囲広めの忍術で一掃する。
「HP低いから、一撃でいけるわね」
「ゆかちー。術撃つなら言ってよ……。雷鳴でびっくりするから……」
「撃つわよ」
「いや遅いわ」
そんなことを言いながら4人は先へ進み、特に苦戦すること無く19階へと進む。
「次がボスね。気張って行こー」
4人が探索を始めて少し進むと、ミニマムスライムが6体、ドレインスライムが4体、スライムテンタクルが2体、合計12体のスライムがユカ達の周囲を取り囲むように現れる。
「囲まれたわね」
「後ろにテンタクルが2体、左右にドレインが2体づつ、正面にミニマムが6体。どれからいく?」
「一番厄介なミニマムからじゃない?」
「結構散らばっているから、一撃はきつそう。後ろのテンタクルの距離も近いし」
「じゃあ私テンタクルいくから、ニナはミニマムよろしく」
「はいよー」
「みことモモは左右のドレインスライムを足止めしといて」
ユカの指示に従い、4人は行動を始める。
【剣技:居合・三連】
ユカはニナから貰ったオリハルコンの忍者刀でスライムテンタクルの触手を切り裂き、肉薄する。
【忍術:雷遁・天雷】
そのまま触手の防御を失ったテンタクルに近距離で忍術を叩き込み、1体目を撃破する。
「あっ」
次は2体目、と2体目のテンタクルの方を向いた瞬間、手首にスライムの触手がユカの手首に巻き付き、そのままスライムの中に呑み込んで拘束する。
そしてそのままの勢いに左手と両足首も触手で絡め捕り、スライムの中に呑み込んで拘束する。
「触手って結構伸びるのねぇ……」
両手首を拘束していたスライムの触手は、そのまま脇の方へ伸びて、到達するとプルプルと震えてくすぐり始める。
「んふぃっ!くっふふふ!はぁっ!ひっ……!くふっ!んんっ!」
両足首を拘束していた触手は、そのまま靴の中に侵入して足全体を包み込み、プルプルと震えてくすぐる。
「ふっ!ひっ!やっ!あはっ!はぁっ!これっ!やばぁっははははははははは!」
ユカはくすぐったさのあまり膝から崩れるようにその場に倒れる。
「あはっ!はぁっ!あぁっはははははは!はっ!んっ!んやぁぁっははははははははははは!」
一方、その頃のニナ。
「やぁ~~~っははははははははは!あっはははは!あはっ!はっ!はっ!はぁっ!」
6匹のミニマムスライムに纏わり付かれ。服の中に侵入を許し。その場に倒れ、両手で体を抑えながらゴロゴロとのたうち回っている。
「あっ!はぁっははははははははは!やぁぁっ!あはっ!あぁっはははははははは!」
意気揚々とミニマムスライムに向けて術を放ったはいいが、ものの見事に回避され、そのまま服の中に入られて今に至る。
「んぁぁ~~~っ!っははははははははは!ふぁっ!はぁっははははははははは!でてってぇっへへへへ!」
現在は19階。流石に11階からやり直すのはだるいと理解しているニナだったが、プルプルと震えながら服の中を高速で動き回るスライムを自力で追い出せずにいる。
「あぁっはははははははは!やぁぁっ!あっははははははははは!はっ!あはっ!はぁっ!」
「ももっち。これどうする」
「どうしようも無いわよね?」
ミコとモモは魔人と物理的な壁を生み出す植物でドレインスライムを足止めしながら傍観していた。
「んー。になっちはともかく、ゆかちーの方のスライムは何とかできるかなぁ……」
ミコはユカのすぐ傍にいるスライムだけを倒すスキルを考える。考えて、一つの結論に至る。
「いや、よく考えたら、ゆかちー空蝉使えるじゃん!」
「あはっ!はぁっ!忘れてたぁっははははは!んやぁっ!」
【忍法:空蝉】
ユカはミコに指摘されて、そんなスキルがあった事を思い出し、拘束から脱出する。
【忍術:雷遁・天雷】
そのまま忍術を叩き込んでスライムテンタクルを撃破する。
「……先にドレインから片付けましょうか」
ユカはドレインスライムを足止めしている植物の壁ごと忍術で焼き払い、4体のドレインスライムを撃破する。
「さて、これどうやって倒す?」
「あぁっははははははははははは!はぁっ!はっ!んっ!んんぅっ!っふふふふふ!」
「一匹づつ引き剥がすしかないんじゃない?」
「そうよねぇ。服、少し脱がすけど我慢してね」
「ふひゃぁっははははははは!きにしぃっ!あはっ!ないからぁっははははははは!はやっ!くぅっふふふふふふ!」
ユカとミコはニナの左右に座り、ニナのマントを剥ぎ取り、セーラー服を捲り上げ、スライムを掴んではすぐに投げ捨て、それをモモの魔人が叩き潰すという作業を行い、何とか6匹全てを倒した。
「はぁっ……!はぁっ……!はひっ……!ひぃっ……!中々、いい経験だった……」
「何アホなこと言ってるのよ」
どこか満足気な表情をしたニナの回復をしつつ5分程休憩し、4人は先へと進み、20階へと移動する。
来週は上がらないかもしれません。




