81話
期間限定ダンジョンの海底洞窟でレイドボスのローレライと戦闘中の4人。
ユカがMPを回復していると、水路から新たな魔物が出現する。
「『フィッシュボール』に『群体ウナギ』か」
「ウナギ……うっ、頭が……」
「そういえばミコちゃん、以前ウナギにくすぐられてたね」
「でも、陸上なら対処できる!」
【豊穣:プラントトラップ】
ミコは自分たちの周囲に数発の弾丸を撃ち込む。このスキルの効果は、魔物が接近してきた際に茨の蔓が魔物に飛び掛かり絡み付く妨害系のスキル。
「回復終えたし、行きますか」
2人が動き出し、忍術と蒼い炎が飛び交い、次々と魔物を屠っていく。
そして魔物が全滅すると、ローレライに向けて最大火力を叩き込む。
「攻撃できる時間が短いから、詠唱できないのがネックだね」
「上級を使えていれば、もうちょっと削れるのに」
次に水路から飛び出した魔物は、4種類に増えていた。
「4種類ってことは、50%切ったね。ようやく折り返しかぁ」
出現した魔物は、ボールに触手がたくさん生えたような『キュウタイギンチャク』。巨大な口で体を咥えて舌でくすぐろうとしてくる『オオクチウオ』。数メートルはある触手で数メートル上から捕まえてこようとする『フワクラゲ』。海底に潜んで不意打ちを行うスライムの『ウミソコスライム』。
「上から下から正面から……、嫌な組み合わせだねぇ」
スライムは薄く広がって地面と同化し、クラゲは既に天井ギリギリまで上昇している。そして魚が正面から高速で迫って来ており、その後ろからゆっくりと触手が近づいて来ている。
【死神技法:贖罪の火】
ニナの術が発動し、まずは動きの速い魚を焼いていく。
【忍法:雷遁・稲妻】
ユカが上を漂うクラゲたちを一匹ずつ雷で処理していく。
「数は多いけど、魚以外は動きが遅いから比較的楽ね」
「問題はスライムなんだよねぇ……。どこに行った?」
ウミソコスライムは自身の色を地面の色と同化するため、近づいて来るまで見分けるのは難しい。
ゆっくりと近づいて来ている触手に警戒しつつ、2人は周囲の地面をよく観察していると、歌の予兆が聞こえて来る。
「やばっ!」
4人は咄嗟に耳を塞ぐ。
【音響:誘惑カデンツァ】
キュウタイギンチャクはまだ距離があるので平気だが、スライムは既に近くまで接近していてもおかしくはない。ユカとニナは耳を塞ぎつつも周囲をよく観察する。だが、周囲を見渡しても動いている地面は無かった。
(戦ったことが無いとはいえ、スライムだから動きはそこまで速くは無いだろうけど……)
(そろそろ近くまで来てる筈なんだけどなぁ。どこ行ったんだろう。触手玉の周囲に潜んでるのかな)
歌が終わりキュウタイギンチャクに向けて術を発動しようとした瞬間。
「んにゃぁぁっ!?」
「いつの間にっ!」
ユカとニナの後ろから大声が届き、振り返るとミコとモモがスライムに捕まっていた。
「私達スルーしてそっち優先する!?」
「珍しいこともあるもんだねぇ」
ミコは足元から襲われ、下半身を呑み込まれていた。
「んっ、ひぃっ!はっ……!うごくなぁっ……!あはっ!やっ、靴を脱がすなぁっ!」
腰に提げておいた剣鉈を抜いて必死に応戦するが、物理耐性の高いスライムには殆ど効果が無い。
モモは背後からのしかかる様に襲われ、肌の露出が多い上半身にスライムが纏わり付いている。
「やっ、離しなさぃっ……!ふふっ!んふっ!ふっ……!んんっ……!」
素肌をスライムが這い回り、強いくすぐったさに身を捩る。
「遠いモモさんは私が行くから、ニナはみこをお願い」
「オッケー……って、あぶないっ!」
【死神技法:魂の葬炎】
ユカ達とミコ達の間にスライムが潜んでおり、ニナはそれに気づいて術を放つ。
「サポートの2人を先に捕まえて、助けに行こうとする私達を待ち伏せるなんて、スライムなのに随分と頭のいいことするのね……」
ユカとニナがそんなことをしている間にも2人はくすぐられ続ける。
「あっはははははははははぁっ!はぁっ!足はぁっ!だめぇっへへへへへへへへ!やぁっ!やぁっはははははははははは!」
ミコは靴を脱がされ、足全体を揉みながら撫でられ舐められてるような、独特のくすぐったさに立っていられなくなり、仰向けに倒れながら大声で笑う。
「んふっ!くっ!……ふふっ!~~~っ!はぁっ!ふっ!んっ!やっ、めっ……!ふっ!んっふふふふふ!」
ミコと違い辛うじて立っているが、強いくすぐったさに身を捩ることしかできないモモ。
「やぁぁっははははははははははは!やらぁっ!もっ!このぉっ!」
くすぐられているミコの視界に、スライムの核である赤い珠が映る。ミコは咄嗟に剣鉈を掴んでそこに向けて思いっ切り振り下ろす。
「はひっ、はぁっ……!」
ミコは地面に倒れて大きく呼吸をする。
【忍術:土遁・破砕】
ユカの術が発動すると土で作られた槍がスライムの核に真っ直ぐ飛んで行き、貫く。
「これなら、潜んでいても問題ないわね」
「はぁ、この変態スライムめ……。まぁ、ユカさんに助けて貰えたからいいけど……」
そのままユカが忍術で周囲に雷を降らせて全てのスライムを倒し、ニナが蒼い炎でキュウタイギンチャクを焼き払う。そして水柱が解除されたローレライに最大火力を叩き込む。
そしてまた召喚された4種類の魔物を、今度は危なげなく処理してローレライに攻撃を叩き込むと、今度は8種類の魔物が現れる。
「8種類、25%を切ったね。もうちょっと」
「ここまできて負けたくないなぁ……」
これまで以上に慎重に、魔物達を相手にして確実に減らしていき、ローレライに攻撃を叩き込む。
そして戦闘開始から約1時間経過した頃、何度目かのローレライへの攻撃によってついにバリアが破壊される。
「この瞬間を待っていたよっ!」
【死神技法;死の使い】
ニナが術を発動するとローレライを中心に魔法陣が広がり、そこから真っ黒の触手が現れローレライを捕らえる。
「おおぅ、捕まってしまいました。これがまな板の上の鯉というやつですか」
(ローレライって、元からこのキャラだったんだ)
触手に両腕と尾ビレ(?)を掴まれても動揺することなく、むしろ状況を把握していないのではと思えるような反応をするローレライ。
「私みぎー」
ニナがそう言ってローレライの右後ろに移動する。
「じゃあ私は左に」
ユカはそう言ってローレライの左後ろに移動する。
「じゃあ私はおなかー」
【豊穣:フデムレソウ】
ミコはそう言って、ローレライの近くに弾丸を一発撃ちこみスキルを発動すると、先端が筆の様になっている蔓が5本、生えてくる。
「モモちゃんは?」
「別に、興味無いし。それに、もうくすぐれる場所残って無いでしょう?」
「確かに……、足はヒレだし」
「私は適当に待ってるわ」
「そっか。じゃぁ、くすぐれぇー!」
ローレライは水着に近い服装をしている為、衣服に守られている場所は胸だけである。
ユカとニナは両手で、素肌を晒している脇をそれぞれ10の指で思う存分くすぐり、ミコは生み出した植物を操り、5本の蔓が全ておへそとその周りを集中狙いする。
「はひぃっ!やっ、あっははははははははは!あ、やっ!最初からぁっははははははは!強い、ですよぅっふふふふふ!」
「このまま私は、脇腹いこっかぁ」
植物に指示を出し終えたミコは、そのままローレライの脇腹を掴み、揉むようにくすぐる。
「やぁっはははははははははは!もうちょっとぉ、やさしくっ!あはっ!あぁっはははははははははは!」
ニナは指を立ててカリカリとした刺激を与え、ユカは指の腹で優しく撫で回す。左右の脇で違ったくすぐったさを与える2人。
「いぃぃぃやぁぁぁぁっはははははははははははは!あはっ!はぁっははははははははは!」
ローレライは首を左右に振ったり、尾ヒレをビチビチと音を立てながら地面に叩くが、勿論意味は無い。
「あぁ~~~っはぁぁ~~~~っ!あはははぁっ!んゅぅっふふふふふ!ふぁぁっはははははははは!」
攻撃能力をほとんど持たないローレライは、一度拘束されてしまうとHPが無くなるまで何も出来なくなるという弱点がある。その分、バリアがかなり硬いが。
「いぃぃやぁぁっははははははははははは!はぁっ!あっ!あぁっははははははははは!」
みるみるとHPを減らしていくローレライ。
「いやぁぁっははははははははははははは!ははっ!はぁっ!はぁっ!んんぅっ!あぁぁ~~~っはははははははははは!」
「すごくいい反応してくれるね、ローレライちゃん」
ニナが美少女がしてはいけない顔をしながら指の動きを速めていく。
「だめぇっ!やっ!あぁっははははははははははは!はぁっ!やぁっ!はぁっ!やぁぁぁっはははははははははははは!」
およそ10分間、3人に好き放題くすぐられたローレライはHPを0まで減らし、気絶する。
「ふぃぃ……、堪能した」
やりきった顔で満足そうに呟くニナ。
「流石に、1時間も戦い続けるのは疲れたわね」
時間を確認すると夜も大分更けてきていた。いつもならもう寝る時間である。
「帰って寝ようか。明日もあるし」
4人はドロップアイテムを確認した後、クリスタルでギルドハウスまで戻り、そのままログアウトして眠りに落ちていく。
海底洞窟、後1話だけ続く……かも……