ゼラニウムの君
掲載日:2018/01/30
「…貴方が私のために在るのなら、貴方は誰かのためにいなくなれる?」
男は、女の為に全てを賭して。
女は、男の為に微温いワインを注ぐ。
歪な愛は形を変え、熟れた。
目を覚ますと
隣に君は居なくて
目を閉じると
隣に君が居る
微睡みの中で揺蕩う君は
あの日の白いワンピース。
映えて綺麗だからと贈った
赤いゼラニウムの花束は
いつの間にかワンピースと同じ白に染まって
君と共に溶けてなくなった。
愛した人と引き換えに
残されたのは血塗れの両手
消えた君が愛しくて
虚夢の世界を永遠にしようと
何度、辞世の思葉をぼやいたことだろう。
あ。
もうそろそろ朝が来る。
鉄塔に登ろう、
あの日に時間を巻き戻して。
虚ろな目をした男は応える
「今から行くよ。間に合うかな。
君は寂しがり屋だから、早くしなくちゃ。」
腕いっぱいに色とりどりのゼラニウムを抱えて、畢生に浸って、もう一度目を閉じよう。
ようやく君に会えるはず。
今日は
君の命日だね。
空のグラスを満たすのは
何時か耳にした女の声と
純白のゼラニウム。
(解釈気になりましたら是非投稿談覗いて見てください。)




