表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女剣士の装備はなぜエロい?!  作者: 沖田 了
第2部 求道者の翡翠編
27/29

27話 マンダラの秘密

夜中に宿舎を抜け出し、浴場を無断使用していたことが見つかれば懲罰を免れることはない。

アランは、教官や見廻りの警備に見つからないよう慎重に行動した。

浴場は灯りを落としていたが、天井付近の光取りから月明かりが漏れていたことで視界は保たれている。

幸い、湯船のお湯もそのままのようだった。

アランはもう一度周囲を確認した後、静かに服を脱ぎ湯船に浸かった。

一週間の訓練で蓄積された筋肉の疲労が、湯船に溶けていくようで、アランは声が出そうになるのを必死に噛み殺した。

一通り温まり、身体を洗った後もう一度湯船に浸かった。

アランは元々風呂に入るのが好きな少年で、自宅の湯船に浸かるときも入浴剤を自作するほどだった。

だから、風呂に入ることができないここ何日かは、アランにとって苦痛の日々だった。

久しぶりの入浴、さらにここ最近の疲れが相まって、アランは一瞬眠気に誘われた。

それは、アランの警戒が緩んだその一瞬の隙に起きた。


ガラッ


突然、脱衣所と浴場を結ぶ扉が開いたのだ。

一瞬で睡魔が吹き飛んだアランは湯船に浸かったまま、水音を出さないように扉のほうを見る。

眠りかけていたところを急に起こされたのと、誰かに見つかれば懲罰という恐怖でアランの心拍数は上昇さは、拍動で湯船に波が生じるのではないかと思うほどだった。

月明かりが入る窓は湯船側にあったので、アランから扉のところに立つ人物はよく見えた。逆に相手からはアランの姿を見つけることは困難だろう。

そこには裸の少女が立っていた。

一目見て教官ではないこと分かる。

小柄な体に腰までありそうな長い髪、形良く膨らんだ胸、アランとは形の違う性器。

少女は誰もいないと思っているのだろう。本来なら隠すべきであろう箇所を一切隠そうとせず、全裸のまま湯船に近づいて来た。


ここで、困ったのはアランである。

少女はおそらく女の姿に変えられた訓練兵だろう。その彼女(彼)がどうしてアランと同じように人気の無くなった夜更けに一人でこんなところに来ているのか?

理由はどうあれ、このまま彼女(彼)が湯船に浸かりアランのことを見つけたらどうなる?

もし立場が逆で、一人だと思っていた湯船に先客がいたとしたら、アランなら悲鳴をあげてしまう事だろう。きっと彼女(彼)もそうなるだろう。

もし声の響く浴場でそんな声をあげたら、教官たちが飛び起きてやってくるのは必然。

様子を見に来た教官が目にするのは、時間外に湯船に侵入した裸の男女(男)。

深夜徘徊以上の懲罰が下るのは確実だろう。

それだけは何としても避けなけらばならない。


そうこうしている間に、少女(少年)は掛け湯を済ませ左足からゆっくりと湯船に浸かった。

ふうっ、と小さい吐息と共にゆっくりと首を動かし周囲を見渡す少女(少年)。

その目が、アランと合った。


「いっ……」


アランの予想通り、少女(少年)は悲鳴をあげた。

それを見越していたアランは少女(少年)に飛びかかり、左手だ口を抑え悲鳴を止めると、そのまま後ろに回り込み少女(少年)が暴れないように羽交い締めで押さえる。


「驚かせてごめん、でも落ち着いて、事を荒げたくないんだ」


少女(少年)の耳元で小さく囁く。

それでも、抵抗する力は弱らない。


「俺は第七班のアラン・シールド。君より先にここに来ていたけど、それ以外に目的はない」


アランが名乗ると、途端に抵抗する力がなくなった。

恐る恐る口を塞いでいた手を離すと、少女(少年)が音量を抑えた声で囁いた。


「アラン?アランなの?」


その声を聞いて、アランはようやく少女(少年)が知り合いであることに気づいた。


「マンダラか?」


尋ねると少女(少年)は頷く。

マンダラは、同じ七班の訓練兵。相手の正体が分かったことでアランの緊張が緩む。

と同時に、マンダラを後ろから抱きしめるような体勢になっていたことに気づく。


「ごめん」


そう言って慌てて体を離し視線を外す。

月明かりしかない薄暗い浴場といえど、しばらくいたので暗さにも目が慣れている。マンダラの体を直視することはできなかった。


「でもどうしてマンダラがこんな時間に?入浴時間はちゃんと設けられているのに」


「それはこっちの台詞よ。アランこそなんでここにいるの」


「俺は、元は男だとしても女の体をした奴と風呂に入るのは気まずくて……。たから、わざわざ危険を冒してこの時間に来たっていうのに、なんでマンダラまで来るんだよ」


「それは、私だってみんなと入るのは恥ずかしかったから……」


「なんでだよ、同じように女の体に変えられた同士だろ?」


そこまで言って、アランは違和感を覚えた。

普段のマンダラは、誰よりも男らしい口調で一人称も”俺”ではなかっただろうか?

それが今はどうだ?

姿が女性であるのは変わらないが、まるで中身まで女性のような、そんな口調ではないか。


「マンダラ、お前まさか……」


「ええ、私は魔法の呪いを受けてなんていない生粋の女よ」


アランはその時、少女(少年)だと思っていた仲間が、本当は少女であることを知った。











もうしばらく過去編が続きます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ