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女剣士の装備はなぜエロい?!  作者: 沖田 了
第2部 求道者の翡翠編
22/29

22話 二年後

第2部 求道者の翡翠編始まります。







「お疲れ様です!リーナ少佐ドリンクをお持ちしました」


訓練を終え、汗を拭いていたリーナに部下の女兵士がそう行ってグラスを差し出した。

中に入っている黄色の液体は柑橘を絞ったドリンクだ。

リーナは礼を言って、一気にそのグラスを煽った。

拭ききれていない汗が首筋を伝い、胸の谷間へと流れる。

鎧で蒸れていた下着はほんのりと透けていて今にも見えてしまいそう。

それを見た女兵士は恥ずかしそうに顔を伏せた。


「少佐殿、私は今はこのような姿をしていますが生まれついての性格は男です。その様な姿を見せられますと、その平常心が……」


「何言っているのよ。同じ宿舎で暮らして、同じ釜のご飯を食べ、一緒にお風呂にも入っているじゃない。

たとえ、あなたが元男だとしても、私は気にしないわよ」


見ない様にと必死に目線を外す部下を尻目に、リーナは暑いわねと呟きながら胸元をバサバサと無頓着に煽った。

暦の上ではまだ春の始まりだと言うのに、今年はやけに暑い日が続いていた。

ナターシャが指揮を任された女性だけの特殊部隊フィーメルンが設立されてすでに二年が経過していた。

ザビヌ出身のナターシャとリーナが、ナルビアの旧臣が集まるこの部隊で上手くやっていけるのか、と初めは心配していたのだが、狂気の劇場(ヴァーンジン・テアトルム)でのリーナの活躍もあり、反発はほとんど無かった。

反発はなかったが、この二年が楽であったかと実はそうではない。


十年前、ナルビアの現国王マルクと鎧師アラン、そしてナルビアの旧臣の子供達にかけられた三つの呪い。

マルクは王としての威厳を奪われガマガエルの姿に、アランは職人としての独創性を奪われ特定の鎧しか作れなくなり、そして、旧臣の子供達は家を継いで行く事ができない女の体へと変えられた。

この呪いは、雪山の魔女によるもので、雪山の魔女を倒さない限り解けることはない。

しかし、魔女の住む雪山には生まれついての女性か魔女本人の呪いを受けたものしか立ち入る事ができない。

そのため、ザビヌで女性だけの部隊を率い、ナルビアの軍と互角に戦ったナターシャに白羽の矢が立ち、雪山の魔女討伐の役目を負うこととなったのだ。

その関係で、フィーメルンに所属しているのは、ほとんどが女に変えられてしまったナルビアの旧臣の子供達だったのだが、その子供達が問題だった。


「それにしても、一向に上達する兆しを見せないわねあなた達」


ドリンクを飲み終えたリーナは訓練場を見渡してそう言った。

そこには、休憩が始まってしばらく時間が経過していると言うのに、息も絶え絶えで立つこともできないぐらいにへばっている女兵士達が多数転がっていた。


「仕方がないですよ。私達呪いを受けた者は正規の軍に所属することも叶わず、二年前までの十年間はほとんど訓練らしい訓練を受けることなく育ってきましたから」


「そうは言っても、このままだといつまで経っても雪山の魔女を倒すことなんてできないし、どうにかしないとな」


とはいえ、リーナは兵を束ねる立場ではあるがその育成の指揮や実戦での作戦立案は、部隊長であるナターシャの役目。

現場レベルで改善するには、限度がある。


「とりあえず、午後の訓練はいつもの倍の内容に変えようか」


「あ、その事なのですが、実はこの後少佐殿に西方討伐軍総司令ウエスド将軍の所へ出向く様にと連絡が入っておりまして」


「ウエスド将軍が私に?」


「はい、どうやらナターシャ隊長にも召集命令が出ている様でして」


フィーメルンのトップ二人を集めるのは珍しい。

普段軍の上層部との連絡や会議にはナターシャだけが出席する。

リーナは立場上副隊長を務めてはいるが、戦闘のノウハウを教えることはできても作戦立案や軍内部での政治にはからっきしで、ザビヌでナターシャ部隊のトップを務めていた際もそう言った場にはほとんど出た事がなかった。

それだけに、今回の招集には意表を突かれた。


「私がいないからと言って訓練に手を抜くんじゃないぞ」


リーナはそれだけ言い残して、汗を流すために一人宿舎へ戻った。






ウエスド将軍の部屋は、王城の南にあるナルビア軍総司令部の最上階にあった。

仕事部屋の他に応接室や仮眠室を備えた将軍だけの特別仕様。

その応接室に通されると、既にナターシャとウエスドが何か話をしていた。


「遅くなり申し訳ありません」


リーナが遅れたことを謝ると、ウエスドが手を挙げてそれを制した。


「そう固くなるな、これは正式な軍議ではないんだから」


ウエスドは、五人いる将軍の中で最も若い。とは言っても、リーナからすれば親の世代の人物である。

女性ではあるがその辺のオトコには負けないくらいの筋肉を身につけているリーナでさえ、隣に並ぶと子供に見えてしまうぐらいの巨躯。決して太っているわけではなく、全てが筋肉で出来ている。

ナルビア出身ではあるが、差別的な思想はなくナターシャとリーナにも初めからよく気を回してくれていた。

二人も、ウエスドはナルビアで頼りにしている人物の一人だった。


「リーナも来たことだし、本題に入ろうか。二人は近々連合国家アステルトとの本格的な戦争が始まろうとしていることを知っているかな?」


ウエスドの問いかけに二人は同時に頷く。

軍にいればその話を知らない方がおかしい。

アステルトは、現国王マルクが即位する際のナルビア王家の内紛の際に独立した小国家が集合して出来上がった国家。

今では大陸で二番目に大きな領土を持っている。

アステルトの領土を取り戻すのはナルビアの悲願である。

この前、南方討伐軍が国境付近でアステルトの軍と小競り合いを起こし、両国は一触即発となっていた。


「これまでの戦争とは比べ物にならない大きな戦いとなるだろう。そうなれば、国王様の出陣も近い」


国王が出陣すれば、兵の士気は上がり戦争を優位に進める事ができるだろう。

だが、それが出来ない事だとかの場にいる三人は知っている。


「もうあまり時間がない。いつ魔女討伐の命が下ってもおかしくない」


「そんな、フィーメルンはまだその域には達していません」


声を荒げてそう言ったのは、リーナだった。それをナターシャがなだめる。


「落ち着きなさいリーナ。予想はしていたことよ。間に合わせられなかった私が悪いの」


そう言いながらもナターシャの表情は曇っていた。

フィーメルンの実力が想定よりも伸び悩んでいることはナターシャが一番よくわかっていたのだ。

すると、二人の前に座っていたウエスドがニヤッと笑った。


「私もそう思う。だから、こうして二人を呼んだのだ。

もしかしたら、この状況を打破できるかもしれない情報を掴んだからね

求道者の翡翠を知っているかな?」


今度は、二人揃って首を横に振った。















週二、三回のペースでの更新を目指してのんびり書いていきます。

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