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森の中の…

作者: 神名代洸
掲載日:2016/10/12

当たり前の生活の中でまさかあんなことがあるなんて思いもしなかった。


そう、それはちょうど一年前友達数人と夏休みの思い出を作りに山に遊びに行ったときのことだ。テントは川の近くに張り、川で魚を釣ったりして遊んでいた。

僕がその時何気にあたりを見回した時、遠くに一人で立っている女性の姿が見えた。女性は夏だというのに長袖を着ており、こんな暑いのに合わない服を着てるんだなぁと首を傾げた。

その時はそれ以上見ている事はなく、釣りに夢中になっていた。

再度見た時には見えなかったので、帰ったとばかり思っていた。

けれどもその日の夜、仲間く数人で花火をして遊んでいた時のことだ。またあの女性が同じ場所に立っていた。

しばらくするとおいでおいでと手招きするようになり、僕は誰に向かってやっているのかわからなくて周りを見ていた。けれども彼女の存在に気づいているものは一人もいないようで、呼ばれたのば僕だと気がついた。


そっちに行きたくもないのに僕の足は女性の方へと歩みを進める。

友人達は僕に気づいただろうか?

僕が森の中へと歩き始めていることに…。

そう、女性は森の中にいるのだ。


1歩、又1歩と足は歩みを止めない。

僕は怖くてたまらなかった。体の自由がきかないからだ。

何故?どうして?

疑問符ばかりが頭をかける。

それでも足は歩みをやめない。

そして女性の場所まであと数百メートルのところまで近づいた時、初めて友人の声が聞こえた気がした。「おーい。何処にいくんだよ。そっちに何かあるのか?」

それには答えられなかった。

喋ることができなかったのだ。

他の友人達もようやく僕の異変に気付いた様だ。僕の方へと歩いて来る。しかし僕の方が歩みが早い。どんどん引き剥がしていく…。夜の森はマズイ。

獣が出やすくなるからだ。


友人達は懐中電灯を片手に僕の後を追った。

僕は知らない女性のそばまでだいぶ近づいていた。顔が髪で隠れててはっきりとは見えない。どうやら下を向いている様だ。

格好も行動も不気味でしかなかった。

それでも僕は歩みをやめない。


空気が何処となく変わった気がした。

半袖では寒くなってきた…。

そして女性の目と鼻の先までやってきてしまった。

ここは何処だ?


大きな岩を登った。

その先は真っ暗で、僕を飲み込もうとしている。

真っ暗なすぐ先に女性はいた。

オイデオイデをしている。

片足が前に出そうになった時、ようやく友人達が追いついた。そして両肩を掴まれ体の力が抜けた。


「何やってんだよ!お前。どこにいくつもりだったんだ?」「あっ、そのっ。」「そっちは崖だよ。落ちたら死ぬぞ!お前。」確かに僕が今いる場所は小高い場所にある大岩の真上。そこからみえる眼下は真っ暗な穴…。僕を飲み込もうと待っているかの様だった。僕はその場で腰を抜かしてしまった。

見るとあの女性はいない。

一体どこに行ってしまったのか…?

わからないが、今回は運良く友人に助けられたことになる。

感謝しかなかった。



それから僕は友人達に支えられ、テントが張ってある川のそばまで戻ってきた。

そのテントはグシャグシャになっていた。

何故?

分からない。

あの女性のせいなのか?

みんなわからないと言うふうに頭を抱えていた。

そこで僕はさっき起こったことを友人達に話して聞かせた。


「それ、やばいやつじゃないか?霊とかって…。」「確かにそうかもしれない。どうする?すぐ帰る?」「あったりまえだろ!帰るに決まってる。またなんかあったら怖いだろ!」みんな黙々と片付け始めた。

夕方ということもあり、少し薄暗くなっていたので、ランタンと懐中電灯を使い、手分けして片付けた。

荷物を車に積んで、帰宅しようと皆車に乗った時、遠くに女性の姿を見た気がした。


「あそこ…。いる。」「マジか?何処だよ。」「あそこだよ、あそこ。」そう言って指差した時、女性の姿は消えていた。


「あれ?確かにあそこにいたんだけどな〜?」

「うわっ?!」

友人の一人が車の中で叫んだ。

女性が車のすぐ前に立っていたからだ。

しかも寄って来ようとしている。

みんな真っ青になった。

運転手は慌ててバックでアクセルを踏む。

しかし女性の足が速く、どんどん距離が近づいていく。乗っている仲間はわーわー悲鳴をあげている。

このままでは追いつかれる。そう思い、逆に前進して避けながら逃げようとした運転手の友人は猛スピードで走り出した。

女性の横をすり抜けることができたと思った。

しかし実際は女性をすり抜け走り去ることに成功する。

皆安堵した。


しかし、運転手の顔が真っ青だ。

助手席に座っていた友人は運転手を上から順に見ていた。そして、そこにいたのは…あの女性だった。

額はパクリ割れている姿が見えた。


「うわっわっ。」

車は止まっていたので慌てて車から飛び出した。その様子を後ろから見ていた僕達はただならぬ様子に慌てて車を降りた。

「た、たすけて、くれよ。」

残された運転手は足を掴まれているため動けずに、そのまま車は走り出した。



何処へ向かって走っていくのか…。

友人はその後姿を消した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 序盤のおいでおいでしてくる女の行動に、意味が分から無い事で不気味さを醸し出しています。 [気になる点] テントがぐしゃぐしゃだった時点で、実は幽霊が良い奴で川の氾濫から守ったとか勘違いして…
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