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幸せ。

作者: 三笠 広生


 どうも、三笠宏生です。久しぶりの投稿ですね。いやはや、中々筆を持つ気になれなかっという言い訳を一つ。


 まぁ、そんなこんなで短編どうぞ。


 その日、生まれて初めてキスをした。大好きな彼とキスをした。


 心臓が痛いほど早く脈打っている。彼の唇の感触など分かるはずもなく、緊張と羞恥で頭が沸騰しそうだった。だが、嬉しかった。彼と繋がれた気がしたからだ。


 目線を上へ上げると彼も顔を真っ赤にしている。目が合うと恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑んだ。

 自分の恥ずかしさを誤魔化すように私は彼に抱きついた。彼の胸元に顔を埋め、私は表情を隠した。


 彼とキスをした日、それは雪が降る肌寒い日だったが私と彼は手を繋いでいた。その繋がれた手の平は温かかった。



――――それから、1年が経った。


 そして、私と彼は別れた。切っ掛けは何てことはない、些細なすれ違い。


 よくあること……そう、よくあることだ。芸能人だって離婚や破局などで騒がれたりしていることが多いし、当たり前のことなのだ、夫婦という仲から男女という仲に戻るのは。


 そう考えると夫婦で人生を共に過ごせる人と言うのはこの上なく幸せなことなのかもしれない。


 『幸せ』。――運がよいこと。また、そのさま。めぐり合わせ。運命。と辞書などに書いているがどうなのだろう。

 まぁ、彼と出会ったことは幸せだったと言える。私の初めての彼だったし、彼と過ごした日々を思い出してみると悲しい気持ちになるが不思議と幸福感のような気持ちでいっぱいになるのだ。


 吹っ切れたと思っていたが、きっと私はまだ彼のことが好きなのだろう。別れるときあんなに泣いたのに。もう、一生分泣いたと思ったのに。思い出したらまた、鼻の奥がちくりとした。

 駄目だと思い、俯きかけていた頭を上げる。あの時誓ったのだ、彼のことでもう泣かないと。

 頭を上げた私の瞳に映ったのは清々しい位の青空だった。目元を拭い、一度大きく深呼吸する。そして私は前を向いて歩き出す。


――雄二さん、今日も空が綺麗ですね。

 

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