第8話:準備と合宿?
あぁ・・・、もう収拾つかんなw
学園祭の大まかな打ち合わせは終わり、今現在は割り振られたお金を小等部生徒会にて、どう使うか摸索している。
取り敢えずは、教師に聞くのがいいだろうと思って、マリ姉に意見を聞く。
「マリスネ先生の意見を、参考に聞いてみてもいいですか?」
「そうねぇ、やっぱり、各学年に分配するのは当然として、部活動や生徒会にも余裕を持たせるべきだと思うわ。」
まぁ、それしかないよな、生徒会に余裕を持たせるために、出来る限り詰めていきたいのだがね。
「ではやはり、それぞれの学年に適当に分配するしかありませんね。」
皆同意らしいね、さてどうするか。
「では・・・取り敢えず、各学年で何をやるかを決めてもらい、その時改めてまた決めましょう。」
「じゃあ、私は担任教師たちに伝えておくわね。」
まぁ、決まった後でまとめて、予算をどれくらい振り分けるか、そもそも実行可能かどうかも審議しなくてはならないから・・・
私は気付かれないように溜息を吐いた。
はい、次に自分達の学年の出し物決めです。
フォウカがまとめているからか、意見はドンドン出ていた。流石だな。
今頃だが、中等部、高等部は各クラスでの出し物に対して小等部は学年だ。理由は人数の関係やら、出来ることも限られてくるからだとか、まぁ色々だ。
大体意見は出たようだ、もう多数決になっている。
劇か・・・、まぁ在り来りだな、物語はもう決まってるようで、直ぐに役回りが決められる。
まぁ私は、音響でいいかな。
「フォウカ、私、音響をやりた「却下ね。」
「え?、酷い・・・。」
即却下は酷いと思うのです。
「今、貴女を王子役か、姫役かで言い争っているんだから。」
フォウカの指差す方を見ると、何やら熱弁しているようだ、王子役側は女子、姫役が男子と綺麗に分かれている、勘弁して欲しいのだけれども。
「あの・・・辞退は「無理ね。」
「デスよねー。」
「辞退何てしてみなさい?、暴動が起こるよ?」
「どれだけ、主役やヒロインをさせたいんですか!」
けれど、真面目なのだから、いいこと?なのかな・・・
結果は、王子役だったみたいです。ありがとう女子達、一応言っておくと、姫役はアルになったみたいです。頑張ってねアル。
各学年が物事を決めると同時に資金分配が生徒会で行われ、、私は、いやアルもそうなのだが、校内をあっちへ行ってこっちへ行って忙しい限りだった。
「規模が規模だから、思った以上に忙しいな。」
「アース会長は、各所を回ってますし、劇の準備も学級委員達と連携して行ってますから、仕方が無いですよ。」
「劇の準備と言うなら君の方が大変そうだ、私もそうだったけれど、1から衣装を用意するとは・・・。」
それを聞いた、アルは思い出したのか涙目でこっちを眺めている。
「アース会長・・・今からでも変わってくれませんか?」
「済まないね。」
悪いとは思ってる。でもね、アル、私も嫌なんだ。
資金分配が順調に行われ、各学年が慌ただしくなっている頃、私とアルはまた、高等部の生徒会室に呼ばれた。
こんな忙しい時になんだと言うんだ。
「よし、生徒会メンバーで強化合宿に行くぞ。」
はい?、何を言ってやがるんですか、この人は?
合宿?、生徒会が?、この忙しい時期に?
馬鹿なの?死ぬの?
一言言ってやらなければ。
「会長、今何処でも忙しい時期に入っているはずですが、私達が離れて大丈夫何ですか?」
「心配はないぞ、そういうと思ってな、見回りは風紀委員に、指揮は職員と残った生徒会が行う。」
クッ・・・、対策済みだったか、どうやら今回も避けられない運命のようだ。
横のアルが私の肩に手を置いて「諦めましょう。」と声を掛けてくる。
同時にシルビィがアルを睨めつけているが、アルは気付いてないようだ。
「合宿先は、俺とガズルが行った、都山だ。」
サムさん曰く都山とは、ラポンド近くに存在し、緑が多いのだが、魔物が多く人が生活するには向かず、手付かずになっている山、らしい。
「じゃあ、今日行くぞ、早く準備をしてこい、俺達はもう出来ている。北門から直接出るぞ。」
はぁ!?、いきなり過ぎだろ、ああもう、何でこんな目に・・・
各自、挨拶や準備を済ませ北門に向かうと、小さい荷物を持った、ガズルと会長がいた。
「ほぉ・・・、思った以上に早かったな、だが、行動が早い女は嫌いじゃないぞ、に比べて、フーバーの奴は何故遅い。」
別に会長に好かれても嬉しくはないのだが、私が早いのは当然だ、バックパックには、大体何でも入っているのだ。
「会長、この賭けは私の勝ちですな。」
「グヌヌ、フーバーめ、男のくせして何でこんなにも遅いのだ。。」
この先輩達は後輩で何をやらかしているんだ。
まぁガズルくんは私に賭けていたところを見ると・・・、なかなかの目を持っているじゃないか。
と関心していると、続々と集まってくる。
何か、アルが会長に怒られているようだが・・・可哀想な限りだ、ああ・・・私も用事を済ませなければな。
「ガズル先輩、ガズル先輩?」
「ぬ?、何だオキューリア?、質問か?」
「いいえ、違いますよぉ〜、さっき賭けをしていたようですけど。何を賭けていたんですか?」
「あぁ・・・、魔導車の運転をな、あれは少々面倒なのだ。」
魔導車とは、魔結晶の魔力を動力とする物で、形は馬が居ない馬車のようだ。
ついでに言うと、魔導車に使える魔結晶は流通しにくい為にかなり高いらしい。
「まぁ、魔結晶にはもう魔力が注いであるから、実際には運転だけだ。それでも面倒なのだがな。」
ガズルくんの説明を簡単にまとめると、途中から山道が荒れているために、慎重に運転しないと、スリップするらしい。
「では、行くぞ、乗り込め。」
中は結構広い、ワゴン車より少し大きいくらいの広さだ、空間系の魔法で広げているんだろうと、自己完結しておこう。
結構快適だなぁ、と思っていたら中等部の副会長、メイ・グラスプがチラチラこっちを見ている、赤いフレームの眼鏡がチカチカしていて少し眩しい。
目を合わせると、そっぽを向いてしまう、その度に前に垂らした緩く編んである三つ編みが、尻尾のように揺れるのを見ると、とても和む。
でも何なんだろうか・・・、嫌われる事はしていないと思うのだけれど。
「メイ先輩、どうしたんです?、ソワソワしているようですが、私で良かったらお聞きしますよ。」
「あのぅ・・・その・・・。」
可愛いな、うん、フォウカはカッコイイ系だからな、可愛い系は初めてだ、シルビィ?、そんな奴は知らん。
「実は、私可愛い物に目がなくて・・・。」
私もだよ。可愛い物を愛でたくなるのは、この世の理ですからね、しょうがないね。
「だからその・・・、あなたを膝の上に乗せたいの。」
え?・・・
え!?
「ちょっと、メイ!、私のアースちゃんに何を言っているの?」
「こんな可愛い動物の独り占めは、もう犯罪よ、シルビア会長は、もう少し自重すべき。」
メイ先輩、怖いっす、さっきの可愛いメイ先輩はどこへ行ったの・・・
アル、ヘルプ!
どうやら、男性陣で盛り上がっているらしい、振り向きもしない。
この後あえなく、メイ先輩の膝の上に乗せられ、ひたすら頬ずりされたり、撫でられたり、シルビィが私の絶対領域に手を入れようとしたので、アイアンクローで撃退したりと、濃厚な時間を過ごしました。
気付いたら寝ていたらしい、シルビィに何かされなかったか不安だ、ゆっくりと目を開けると・・・
「あ、おはようアースちゃん。」
「シルビア会長・・・、少し近すぎませんか?」
うん確かに近い目と鼻の先だ、でもね。
「そう言うメイ先輩も、鼻息が荒いと思うのですが・・・。」
「興奮していますからね、しょうがないですね。」
また、目覚めさせてはいけない魔物を、私は起こしてしまったようだ。
「メイ!、いい加減に私のアースちゃんを返しなさい。」
「シルビア会長は私よりも、アースと一緒に居たのでしょう?、ならいいじゃない。」
いやぁ・・・、その理屈は可笑しい、て言うかね。
「私は誰のものではないんですが・・・、やめてくれませんか、人をもの扱いするのは。」
「「はい、すみませんでした。」」
威圧をするとやはり、素直だな、これも《カリスマ》の為せる技なのかな・・・
「おい、ガールズトーク中悪いがもう着いてしまうぞ、準備はしとけよ?」
ガズルくん、これはガールズトークじゃないと思うよ、いや、よく知らんけど。
着いた・・・、うん山だね。緑が綺麗だ、もう夕方だからな左の空を見ると、夕焼け空が広がっている。
「さて、取り敢えずコテージを出すか。」
そう言って会長は地面を強く踏みしめる。
そして、僅かに発光しコテージが3つ現れる。
お洒落だなぁ、ウッドデッキかっこいいとか思ってたら。
「じゃあ、お前達、学部ごとに別れてコテージを使え、食料も2人一組で自分達で採れよ、中には最低限の生活用品くらいは用意してあるが、基本的には自分達で何とかしろ、明日の朝には訓練だからな、寝坊・・・は言われなくとも分かるな?」
と、まくし立てるように言ってくる会長に、声を荒らげる者がいた。
「会長!?、異議ありです。学部ごとと言うことは、アースちゃんは、男と衣食を常に共にするという事ですか?」
「あぁ・・・、そうだが?、何か問題でもあるのか?」
「会長、本気で言っているんですか?、アースの身の危険の事を何も考慮されていないような気がするのですが。」
身の危険って・・・アルに失礼過ぎだろ。
アルも何とか・・・、この男顔真っ赤である。
「だがな二人共、これはあくまでも、訓練なのだ。それに、アルの奴は間違いを起こすにも、やり方がわからんぞ。」
そうですね、そもそも私達の学年では保健の授業は、だいぶ浅いところをソフトにやっている。
そう言われたらこの2人も何も言えんだろう・・・
まぁそんなこんなで、夕飯を求めて、レッツハンティング!
「その、アース会長・・・、僕、狩りとかやった事が無いんですけど。」
「私もないよ。」
暫しの沈黙は、ドシンとう言う地鳴りで壊された。
震源が近い・・・、ゆっくりと顔を見合わせる、アルは明らかな青ざめている。
そして、近くの巨木が薙ぎ倒された・・・
そこには、猪がいた。
何だ猪か・・・、でかくね?、大きさ10mは超えているだろう、口からは何やら蒸気みたいなの出てるし、背中から木とかキノコとか、苔とか生えてるし。
正直な事言うと・・・怖すぎです、本当にありがとうございます。
「アース会長、じょ、、どうしましょう。」
頼りにならないってはっきり分かんだね。
まぁ、自分より恐がってたりする人見たら、落ち着くじゃん?
無事にグロッキーは直ったわけで、取り敢えず、仮面脱ごうか。
既に薄暗い森の中に、一筋の光、いや実際には光っているわけではないのだが、彼女の美貌はそれほどに輝いて見えたのだ。
アルは、今初めてアースの素顔を見る、卒倒しそうだった彼は一気に現実に引き戻される。
いや、彼からすればもう意識が飛び、夢に囚われているのではないのかと思っているのだが、傍らにて硬直する猪を見ると、きっと現実なのだろうと否が応でも実感させられる。
アルでさえソレなのだ、獣である、いや訂正しておくと、魔物に至った獣であるこの猪では・・・
気絶と覚醒を繰り返している。
「グルォォォオ!?」訳が分からない声をあげる猪・・・、呆然と佇むアル、状況がカオス過ぎてどうしようか、内心悩んでいるアース。
・・・マジでどうしようか。
「『獣よ、その身を我に捧げよ。』」
取り敢えずこんなんでいいだろ。
おや・・・猪の様子が・・・
発光する猪はだんだんとキレイな円形を型どってゆく。
やがて、光も止み、そこにあったのは、緑色の宝玉であった。
(【召喚石ですね、その言葉の通り、身を捧げたようです。】)
あぁ・・・、そう言う・・・。
私が言ったのは食料になって欲しかっただけで・・・
(【これはかなり珍しい現象のようですよ。】)
まぁ、ならいっか。
その後はいつもの如く後始末をしたのは言うまでもない。
まだまだ訓練