第10話:不穏な影と初めてのダンジョン
戦闘あります。
描写が思ったようにいかなかった。
アースたちが合宿へ行っている頃・・・
とある酒場に、明らかに異様な集団がいた。
彼らは、ギルド『アザダス』のメンバーたちだ。
しかし、ギルドとは名ばかりの犯罪集団、殺し、盗み、人攫い、テロ行為等を繰り返す。
言わば、闇ギルドというものだ。
しかし、このアザダスと言うギルド、まだ結成して1年にも満たない。
そんなギルド長、ダックは焦っている。
「ああ、クソ!、このままじゃあ、ギルドが潰れちまう。」
と言うのも、このギルド、実は、とある闇ギルドの傘下に入っているのだが、成果が乏しいために解体、もとい、処分の可能性が出てきているのだ。
ダックは、それで頭を悩ませ、爪を噛んでいるのだ。
だがそこに、若い奴らが情報を持ってくる。
「ダックさん、ビックニュースっスヨ。」
「あん?、どうせまた、ズファーの野郎が女孕ませたとか、そんなんだろ?。」
「ちげぇますよ、確かにズファーの奴は記録更新を狙ってるみたいッスけど、そんな話じゃないんですって。」
ダックは、あまり期待せずに話を促す。
「へい、実はラポンドの、ナンバーワンギルド『神の審判』の、ガキ共が、祭りを、それもかなりの規模で開くらしいんですよ。」
ダックは、口元を歪める。
神の審判と言えば最高峰のギルドだ、そしてその学園は優秀な人材の宝庫と聴く、じゃなくとも、貴族や王族等も居るという噂だ。
そんなギルドが祭を開く。
これは、チャンスだ、優秀な人材が居るからこそ守りが堅い、これは当然の事。
だがガキはガキ、お祭り気分の能天気な状態だったならば、俺達でそこを大勢で攻めにかかれば・・・
「オメェら・・・、その学園、潰しに行くぞ!」
有象無象は歓喜する、狩りの時間だと、蹂躙の時間だと。
合宿は学園祭当日まで詰め込まれた。
学園とはうまく連携を取りつつ、良い具合にこの日を迎えられた。
記憶結晶と通信結晶をリンクして、学園と繋ぐ。
準備はもう出来ている。
後はこの無駄にデカい扉を潜るだけ・・・
「ガーハッハッハ、こんなダンジョンなぞ、俺達が一捻りにしてくれるわ。」
初対面のガズルくんのテンションに戻っている。
まぁ・・・、見た目は、普通なんだがね。
「会長、あれは?」
「ガズルはな、気が昂ると、あぁなってしまうのだ。一応は戦えるぞ、寧ろこのモードの方が動きは良いとまで言えるな。」
自信が付くが故の慢心は死と直結していそうなんだが・・・
まぁ楽しそうなので口は噤んでおこう。
「と言うよりも、このバトルドレス・・・、いつ用意してたんですか?」
と言うのも、今の服装は当日に、いきなり配布されたのだが、サイズもピッタリな上にかなりの性能を秘めているようだ。
白を基調として、関節の節々にサポーターが付けられ、普通のYシャツに見えるそれは、希少金属を限界まで細め編まれたもので、少しの事では斬られないだろうと容易に想像できる。
装飾もうるさ過ぎず気に入っては居るのだが、若干一名文句のあるヤツが居るようだ。
「ちょっと会長、この服は会長が用意されたんですよね?」
「フッ、そうだ、なかなかの物だろう?、デザインも俺が考えた。これを、これからは、生徒会役員専用の制服にしようと、教師達にも持ちかけてみるつもりだぞ。」
ほぉ、会長は随分と意外な才能を秘めていたようだ。
「ええ、性能は申し分はありません・・・、ありませんが・・・。」
シルビィは、グッと手を握っている。
「これでは、このパンツタイプでは、戦闘に必死になっているアースちゃんの下着が覗けないじゃあないですか!」
コイツ・・・、視線を感じ取ってはいたが、そんな事を、していたのか。
「シルビィ、死にたいようですねぇ?」
「え?、いやぁ、アースちゃん、これは罠です。会長が私に仕掛けた、巧妙な罠です。」
「遺言はそれでいいんですね?、では逝け。」
その後、少女の断末魔が森に響いたと言う。
現在、ダンジョン内。
中は所々で松明が灯され、どこかどんよりとした、ジメッとした、はたまた、進めば進むほど、ゾクッとする涼しい風が流れる様な、一種の異様な空間が作り出されていた。
そんな薄暗い空間の向こうに光る目がいくつかある。
凶暴化したゴブリンだ、何が原因かは分かっていないらしいが、数百年前から魔物が凶暴化したらしい。
だからこそ、ギルドが発展したので皮肉なものなのだが、そんな事を考えているうちにも、時間は進むもので、ゴブリンたちは群れて走って来ている。
まぁ・・・、そのゴブリンたちは前衛に一瞬にして切り裂かれる訳なんですが。
地獄絵図です。
前衛はシルビィとガズルくん、中衛は私と会長、後衛はメイ先輩とアルと言う陣形、なのだが、基本シルビィたちが瞬殺して行くので、私には、しばらく役目は無さそうだな。
アレ?もしかしてダンジョンとか、チョロイ?
フラグじゃないよ、うん、フラグじゃ・・・
その後も、魔物達は来たが、どんな強敵でも、ガズルくんが大剣で相手の武器ごと斬り落とし、シルビィが細切れにする。
私のところへ来ても、光弾と銃弾によって蜂の巣と、ヌルゲーじゃん。
アル達はひたすら強化するだけだし、これはサクサクです。
「ハッハッハ、やはり他愛ない物よな、ダンジョンというものは、鎧を使うこと無く終わるのでは無いか?」
「油断は禁物だぞガズル、もしかしたら、突然変異型が出る可能性だってない訳では無い。」
サムさん曰く、突然変異型とは、特別な能力を保有し、能力値が高く、見た目に通常とは異なる変化が齎された魔物のことらしい、スライムやオーガ、元の能力値の高い龍種などの突然変異型も過去には確認されたとか。
「まぁ、そうなのかもしれんが、その時はその時で切り伏せるだけの事。」
鼻を鳴らしながら言ったセリフは、頼りになると思う反面、フラグでは?と言う不安が残る。
先に潜って行くと、再び無駄にデカい扉がある。
「いよいよクライマックスですね。」
「後ろは任せて。」
「何、恐れることはないわ、俺が叩き切ってやるからな。」
「だから、油断するなと言っているだろうが。」
「私、帰ったらアースちゃんと結婚するわ。」
「寝言をほざく余裕があるのシルビィ?」
各々が扉の前で話し出す。
確かな勝利への確信を込めて。
そして、今開かれる。
重厚な無駄にデカい扉はギィっと雰囲気は有るが、耳障りな音を上げる。
開けた場所だ。神殿と言う言葉がピッタリ当てはまりそうである。
その中央には3mはあるだろう騎士が剣を地面に突き刺し、仁王立ちしている。
ガズルは1歩前へ出る。その顔には既に慢心など無く、あるのはただ勝利への渇望。
シルビアもまた前に出る。その顔にはふざけなど無く、あるのはただ仲間を守りたいという切なる思い。
何を隠そう一番危険なのは前衛であるこの2人、後ろの仲間を守るのもこの2人なのだ。
その覚悟は生半可なものでは無いのはもうわかるだろう。
ガズルは何処から取り出したのか赤いマントを翻す。
そこには、漆黒の鎧を纏いし黒騎士がいた。
鎧は光が反射せずに取り込まれているのではないのかと言うほどに、黒く、瘴気を放っている。
シルビアはブルードクイーンを地面に突き刺し、片手でそれを支える、するとどうだろう、どこぞの魔法少女の様に、腕、脚、腰、胸、頭の順で換装される。
だが換装されるのは、フリフリのドレスではない。
そこにあるのは、空色の鎧、曇りは無く、触ったら吸い込まれそう、そういう印象を受けるほど澄んでいる。そして何も無かった左手にはタワーシールド。
「---OooohhhhHHーーー!!!」
ガズルは咆哮する、自身を鼓舞するように、そしてそれが合図になり、シルビア達は翔ける。
鎧騎士はゆっくりと剣を抜き、構える。
初撃はガズルだった。
地面を抉るほど強く踏み込み、鎧騎士に強く叩き込まれる。
だが、鎧騎士は軽々とそれを受け止める。
鍔迫り合いに持ち込まれたガズルは次第に押され始める。助ける様にシルビアは膝の裏に剣を入れる。
態勢が崩れた鎧騎士を押し飛ばしたガズルが再び、その剛剣振るう、態勢を立て直せない鎧騎士は肩から腰にかけて斬撃を貰う。
ガズルはこの時点で奇妙に感じる、「肉を切った感触がしない。」と。
「亡霊騎士か。」
鎧は次第に修復される。
「チェンジ!」
サルメニアの合図で、前衛2人が大きく後に下がる。
「「『超爆発』。」」
中衛2人は同時に魔法を唱える。
爆発が鎧騎士を包む、その間に後衛が前衛を回復させ、障壁を張り直す。
「高火力で消滅させるしかねぇな。」
「でも、そんな暇なんか与えては貰えなさそうですよ。」
爆風が2つに割れ、所々が溶けた鎧騎士が姿を現す。目は朧に赤く光り、感情があるかは不明だが、怒っているように見える。
「ボロ鎧が!、グラスプ、フーバー、お前達は今から、完全詠唱での、火属性魔法を準備しろ!
オキューリア、俺達が後衛2人の穴埋めをしながら本来の役目も担うぞ!」
「了解。」
私は短く返事をした、次の瞬間に、鎧騎士が猛スピードで突っ込んできた。
「させない。」
シルビィが私の前に立ち、シールドを構える。
「グッぁ・・・。」
シールドで受け止めたが、その衝撃を完全に止めることは叶わず壁近くまで追いやられる。
鎧騎士は怯んだシルビィに何度も攻撃を加える。
全てはシールドによって阻まれているが、徐々に体力が削られているのが見て取れる。早く助けないと。
私の友達を助けないと!
私は咄嗟に剣を召喚する。
全力で剣を振るった、背中がガラ空きだった鎧騎士は直撃を受けると地面に体を打ち付けられた。
シルビィはその隙に抜け出せたようだ。良かった。
ガズルは怯んだ鎧騎士に向かって漆黒の瘴気を纏わせた剣を振り下ろす。
「AaaaHhh!!。」
瘴気の渦は鎧騎士を捉え、侵食する。
「駄目だ、まだ足りない。」
あれではまだ時間稼ぎにしかならない、
「ハアアァ!」
突如鎧騎士の周りで大規模な爆発が起こる。
後衛2人がやったのだろう、振り返るともう立っているのも辛そうだ。
「やったか!?」
会長それはフラグ!
鎧騎士がその身を溶かしながらこちらへゆっくりと近付いてくる。
会長・・・、なんて事をしてくれたんだ!!
「くらいなさい!」
シルビィがブルードクイーンを高く上げ勢い良く振り下ろした、するとどうだろう?、いきなり激流が現れ、鎧騎士を襲った。
鎧騎士の周りの熱量が限界値まで達した。
激流はその温度により一気に蒸発する。
その爆発的なエネルギーは私達を吹っ飛ばした。
壁に激突、世界が回った気がした。
遠い所でそれなのだ。その中心たる鎧騎士はもう形も残ってはいない。
・・・勝ったのだろうか?
実感が湧くまで数秒要した。
「終わったな。」
「ああ・・・、もう疲れた。」
その後はドロップアイテムを回収したり。
ヒールポイントで回復してからポータルで外へと出たのだった。出たらあの無駄にデカい扉は綺麗さっぱり消えていた。
すると、学園側から1本の連絡が入る。
労いのことばだろうか・・・
だが予想に反してそれは残酷な物だった。
「学園が闇ギルドに襲撃されている。」と言う。
うんわからんかった。
描写ってムズイね




