表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強のヒーロー ~天才が異世界で本気を出す~  作者: 研究者@双黒
第一章 聖なる星の輝き~黄金の道しるべ~
9/18

第九話 旅立ち?

「頼みたいこと?」


千晴は颯太に聞き返す。


「ああ、お前にしか出来ないこと(?)だ。頼む」


「……その(?)が気になるけど、まあ良いわ。何をすれば良いの?」


「城から俺が抜け出すために、他の奴らの気を引いて欲しい」

…………。


一瞬の沈黙。


まるで、そこだけ時間が止まったかのような静けさだった。


「はぁ!?颯太、何言ってんの!?」


「もう嫌なんだよ。束縛されるのは」


颯太は千晴の目を見て、はっきりと言った。


その目はまるで、颯太の過去を映し出しているかのような、哀しい目だった……。


千晴はそんな颯太の何かを感じ取ったかのように頷く。


「決行は……明日だ」


「あ、明日?……分かったけど…私は、具体的に何をすれば良いの?」


「城で事件を起こしてくれ。大きめの。俺も少しは……仕掛けに関しては協力する」


「う、うん」


千晴は、颯太が自分に頼ってくれた嬉しさと、颯太が居なくなってしまう哀しさで、複雑な表情を見せた。


「……」


流石の鈍感颯太も、千晴の気持ちに気付いたのか。


「……考えといてやるよ」


一言、そう言って千晴の頭を小突く。


「あ……」


千晴は颯太を見上げたが、もう颯太は千晴の目の前から消えていた。


千晴は、先程の颯太とのやり取りを思い出し、頬を赤く染める。


しかし、そんな千晴に憎悪の目を注ぐ影に、千晴はまだ気付いていなかった……。


*大広間*


「きゃあ!」


突然、千晴が大声を上げた。


その声に反応し、クラスメートや兵士達も、続々と集まっていく。


「あ、あそこ……!炎が!」


千晴が指をさした方を見ると、確かに巨大な炎が上がっていた。


「皆の者!消火じゃ!」


皆動揺している中、ハビルだけが冷静に指示を出す。


青魔法の使える者は一斉に魔法を放ち、回復魔法持ちの者は魔力の枯渇を防ぐ為に、魔力を回復させていく。


千晴は、皆の目線が炎に集中しているときに、隠れて大広間を抜け出した。


「……颯太。本当に、行くつもりなの?」


「ああ。ま、いつか会えたときは、よろしくな」


颯太は無表情のまま千晴に答える。


「……」


「じゃあな。……千晴」


そう言って、颯太は風と共に消えていった。


千晴はしばらく空を見つめ、そして小さな声で泣いた。


(……死んだら、許さないんだから)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ