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最強のヒーロー ~天才が異世界で本気を出す~  作者: 研究者@双黒
第一章 聖なる星の輝き~黄金の道しるべ~
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第四話 危機一髪

(この殺気……尋常じゃない)


颯太は、本能的にそう感じた。


(この殺気を二人が出しているとは考えにくい。何かに巻き込まれたと見て良いだろう)


そこまでは良い。


ただ、問題なのは……。


「こんな特徴的な殺気を出す奴……アイツしかいないだろ」


*森小屋*


「さて……。貴方たち二人は、彼がいないと機能しませんよね?まあ、彼がいてもただのお荷物に過ぎませんが。フフッ」


ここからでは見えないが、確かに『奴』は笑っている。


「何が……したいの?」


千晴は、怪我をしている美月を庇うように前に出た。


「おや、塵が何をしているのですか?貴方なんて、私が指一本動かすだけであの世逝きですよ」


『奴』は、千晴に短刀を突き付ける。


「くっ……」


流石の千晴も、それには対抗出来ずにいる。


「私が求めているのは、貴方たち勇者の特別な力や能力です。ですから、貴方たちに用はありません」


『奴』は指を鳴らす。


すると、二人はあっという間に拘束されてしまった。


続いて短刀を三本取り出した『奴』は、千晴の手首を切り始めた。


「い、いやっ!やめて!」


「まあ、取り敢えずこのくらいにしておきましょう。次は、貴方です」


『奴』は美月に向き直る。


そして今度は、美月の手首を切り始めた。


「いやっ!」


また、少し切ったところでやめる。


二人は痛みに呻き、苦しむ。


その光景を『奴』は笑いながら見ているのだ。


「放っておけばその内死ぬでしょう。では、存分にお楽しみ下さい」


『奴』は、あろうことかその場に寝転がった。


美月は、まだ回復速度が速い方だが、千晴はそうでは無い。


その為……。


「うっ……」


尽きるのも速い。


「おやおや。では、まずは貴方から……」


「させねぇぞ?裏切り者」


やはりこういう時に頼りになるのは、颯太だ。


「裏切り?ハハッ。笑わせないで下さい。私は元々、この国に忠誠を誓った覚えはありません。私は、『魔王』側の人間だ!」


「最初から、俺達を強くする気なんてなかった訳か、フィル」


『奴』。


それはつまり、フィルのことである。


「ええ。まあ、貴方は最初から私を疑っていた。騙すのも、やや困難でしたしね」


「ああ、そのことなんだが。俺は、騙されてたんじゃなくて、騙されたふりをしていたんだよ。もしものとき、怪しまれずに行動するために。だからその分、今回も動きやすかったしな」


「はぁ。全く、貴方には敵いませんね。では、ここで勝負といきましょう。命を落とした方が負け。分かりやすいでしょう?」


「ああ」


二人は一気に戦闘態勢に入る。


「……死なないでよね。工藤君」


千晴が、誰にも聞こえないくらい小さな声で呟く。


自分を治療してくれた颯太に感謝してのことなのか、恋愛感情があってのことなのかは分からない。


ただ。


「死なねえよ。やりたいことをやり終えるまでは、絶対にな」


颯太がその言葉に答えたのは、紛れもない事実である。

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