第十三話 レベルアップ
書いてる途中、一回全部データ消えました。
哀しかったです。虚しかったです。物凄く。
「なあ、クレア」
「はい。何でしょうか?」
「俺達は……何処に向かっているんだ?」
そう。
此処は、見渡す限り草、草、草!
で、たまに緑色のスライムが現れたりする感じだ。
「確か此処を進んでいくと、街があったような気がするんだが……。俺の気のせいか?」
颯太は、此処周辺の地図は全て暗記しているつもりだ。
だから、道を間違えることは無いはずなのだが……。
「気のせいでは無いと思いますよ。私も、そのように記憶しています」
それを聞いた颯太は、頭を悩ませる。
「……まさか」
そう呟いてから、スライムを一匹掴み取った颯太。
クレアは目を見開いて颯太を凝視する。
それもそのはず、スライムは、肉を溶かす固有能力を持っている。
普通の人間なら、わざわざ自滅の道を選ぶことは無い。
「ちょっと、ソウタさん?貴方、正気ですか?」
クレアは颯太に声をかける。
「正気だ。スライムの能力は、全て奪った。溶けないぞ」
「溶けないぞって……そんな」
クレアには、と言うより、普通の人間には考えられないことだが、確かに言っていることは正しい。
「あれ?そう言えば、颯太さんのステータス見せて下さいよ」
クレアが言うと、颯太は思い出したように頷く。
「そう言えば最近、見てないな」
クドウ ソウタ LV86
HP7000/7000
MP10000/10000
魔法 無属性 〖操作〗
スキル 強奪 探索 解析 飛行 契約 意思疎通 創造 透過 透視 転移 七色吐息 魔力交差 怪力 絶対暗記 肉体溶解
称号 異世界人 チート 操りし者 次元を超えた者 鈍感 過去を封じる者
「……なんだこりゃ」
まず第一声は、この言葉だった。
これを見て驚くなという方が無理である。
颯太本人でさえ、衝撃を受けている。
「何をどうすれば、こんなステータスが出来上がるんですか……?」
「お、俺に聞くな」
二人の周囲に、異様な空気が漂う。
「……?」
すると颯太は、自分達の周囲に気配を感じた。
クレアも同様らしく、顔を見合わせて頷く。
さっき出会ったばかりの二人だが、何故か思っていることが分かる。
「行くぞ」
颯太の掛け声に合わせて、同時に飛び上がる。
「我の名において。咲け。銀華」
クレアが呪文を唱える。
それに続いて、颯太も攻撃の準備をする。
「使ってみるか」
颯太は、試し撃ちも兼ねて、七色吐息を使用することにしたらしい。
「朱っ!」
颯太が叫ぶと、同時に炎が放たれる。
その炎は、颯太周辺の草等々を燃やし尽くした。
「恐ろしい……」
それを見たクレアは、自分がその炎に当たったらと考えて、身震いするのであった。