第十二話 出会うpart1の3
時間取れたので、頑張って書きました。
誤字脱字等ありましたら、ご指摘御願いします!
あの大蛇をクレアが殺した。
颯太に、その真実は受け入れがたい。
既にチートの域を超えてしまっている颯太でさえ、手が出せなかった相手だ。
目の前の華奢な少女が、本当に大蛇と戦闘出来るのか。
颯太はクレアに、疑いの目を向けた。
「疑っていらっしゃるのですね。まあ、無理は無いでしょうが。……確か、私のステータス、ご覧になりましたよね?あれ、実は全てじゃないんです」
「……全てじゃない?どういうことだ?」
クレアの言葉に疑問を抱く颯太。
確かに颯太が見たステータスは本物だった。
偽造された様子もないし、偽物とは思えない。
クレアは、颯太の心を読んだかのように言う。
「ステータス自体は本物です。只……」
クレアは、何かの魔力操作をしてから、颯太にステータスを見せた。
クレア・アトリー LV69
HP 3500/5000
MP 2000/2000
魔法 銀属性
スキル 錯乱 絶対破壊
商号 黄金の星使い 破壊の女王
お気付きだろうか、ステータスが変化しているのを。
いちいち戻って見るのは面倒臭いという人のために、前に颯太が見たステータスも表示しておく。
クレア LV69
HP 3500/5000
MP 2000/2000
魔法 銀属性
スキル 錯乱
商号 黄金の星使い
「……スキルと称号が…増えた?」
そう。
絶対破壊、破壊の女王と言う、新たなスキル、称号が現れたのだ。
「まさか、それで大蛇を……」
「ええ。その通りです。私は、左手で触れて破壊と念じた物を、問答無用で破壊します」
クレアは近くにあった大きな石に触れる。
すると、大きな音を立てて石が砕けた。
「こういう感じです」
「でも……何で、村人達を助けなかったんだ?」
颯太の疑問は尤もだ。
「彼等は……私の両親を、殺しました。大蛇が現れて直ぐに、囮にしたんです」
「……成る程な」
颯太は、小さく溜め息をついた。
「じゃあな。俺は約束を果たさなかった訳だから、もうサヨナラだ」
颯太はクレアに背を向け、部屋を出ようと歩き出す。
「あ、待って!」
何故かクレアから声がかかった。
「なんだ?」
「あの……やっぱり、仲間にして下さい……」
消え入るような声で言ったクレアは、そのまま一人で膝を抱えた。
ブツブツと独り言を言っているようだが、内容は良く聞き取れない。
「あー、良いぞ。お前の神みたいなスキル欲しいし。それに……」
「そ、それに?」
「いや、やっぱり何でも無いわ」
クレアは残念そうな声を出していたが、颯太は知らん顔をしている。
勿論、颯太には、乙女心を理解しようという気持ちのカケラも無い。
だから、クレアが抱き始めている気持ちにも、気付く筈が無いのである。
「クレア!置いてくぞ」
「え?あ!待って~!」
完全に弄ばれているクレアをからかうかのように、強い風が吹き抜けていった。
「ソウタ、何処に行くつもり?」
「さあな。そんなの知らん」
今度はクレアが、違う意味で溜め息をつく。
全く計画性の無い颯太に、つくづく呆れるクレアであった。