第十一話 出会うpart1の2
送れてスミマセン。
颯太は、草原の真ん中に、前を見据えて立っていた。
「過去……ねぇ。そう簡単に他人に知られちゃ、困るんだけどな……」
しかし、そう言った颯太の目には、少しだけ哀しみの色が見えた。
ゴオオオオオオオオオオオ!
「汝ノ願イヲ、聞キ入レヨ」
轟音と共に現れたのは、巨大な蛇、つまり、大蛇だった。
「此奴が……あの魔物か」
颯太はそう言って、相手を睨み付ける。
しかしその際、絶対に目を合わせない。
「黙ル気カ?」
大蛇はそう言って目を赤く光らせると、真っ赤な光線を出した。
四方八方に飛び回るその光線を避けながら、颯太は大蛇を倒す方法を考えていた。
(この勝負、先に相手に攻撃を相手に当てた方が勝ちだな)
直感的にそう感じた颯太は、今はとにかく逃げることにした。
(必ず、動きが遅くなるときが有る筈だ)
そして、その時が来た。
しかし、颯太も焦っていた。
そう、大蛇の目を見てしまったのだ。
「!?」
その瞬間、視界がぐにゃりと歪んだ。
★★★
「もう、あの子はダメね。何をしても、成長していかないわ」
「ああ。でも、颯太が居なくなったって、俺達には珠璃がいる。いっそのこと……颯太を、殺してしまえれば、楽なんだが……」
え……?
嫌だ、死にたくない……。
「しょうがないわ……。私も協力するから」
「今、颯太は寝ている筈だ。行くぞ……」
誰か……。
助けて……。
ガチャ。
「なっ!?颯太、何で此処に!?」
「嫌だ!僕はまだ死にたくない!」
「五月蠅い!お前なんて、必要ないんだ!」
父さんの手に光るもの。それは……
ナイフだ。
いやだいやだいやだいやだ!
「うわあああぁぁぁぁぁ!!」
「ヴッ!」
もう、無我夢中だった。
咄嗟に、机の上にあったカッターナイフを投げつけた。
よりによってそれが……。
心臓に突き刺さるなんて、思わなかったから。
「貴方!?」
母さんは取り乱してしまったのか、カッターナイフを抜いてしまった。
その瞬間……。
父さんは、死んだ。
「いやああぁぁぁぁぁ!!この悪魔!」
「うるさいなあ。そんなの、父さんと母さんの方じゃないか。俺のことを殺そうとしてさあ。安心しなよ、母さん。父さんと同じ道を辿らせてあげるからさ」
心の底から、俺の狂気が沸き上がってくるのが分かる。
俺は父さんの近くに落ちたナイフを拾い、母さんのもとへゆっくり歩を進める。
「そ、颯太……?ご、ごめんね。大切にするから、ね?」
「黙ってくれるかなあ。母さん。耳障り。バイバイ」
「きゃああああ!」
★★★
「……さん!…うたさん!颯太さん!」
クレアが颯太に何度も呼びかける。
「うぅ、」
颯太がゆっくりと目を開けた。
「やっと気付きましたね。良かったです」
「俺は、あの後……?」
「大蛇……キング・スネークは、私が殺しました」