第一話 prologue
中学一年一学期初回中間テスト一週間前。
中間テスト一週間前。皆、学校に残って自習をしたり、先生に質問したりと、テストに向けて準備を始めている。
只1人を除いて──。
「工藤君。貴方、今日も残っていかないの?もう中間テストの一週間前なのよ」
そう言ったのは、クラス委員長の桜庭千晴だ。
全く授業を聞かずに居眠りをし、朝のチェックテストも合格点を取れずに毎日補習を受けている工藤颯太を心配して言ったことなのだが、その返事はいつもこうだ。
「うるさい。もう子供じゃ無いんだから、自分のことくらい自分で管理できる。お節介もいい加減にしろ」
千晴は何か言い返そうとするが、周りの女子達がそれを止める。
バカを相手にしても仕方が無い、と。
颯太はそれに対して、言い返すことも無く黙っている。
結局颯太は、一週間の間、全く自習をすることが無かった。
※
中学一年一学期初回中間テスト期間
そしてとうとう、中間テストの日がやってきた。
一年E組は、初めての中間テストのことで大騒ぎだ。
担任教師の杉原真弓が教卓に立ち、テストの説明をしている。
「じゃあ、まずは代数からです。初めての中間テストで緊張しているかもしれませんが、普通のテストと同じですから、頑張って下さいね。それでは 問題用紙と解答用紙を配布します。まだ開かずに、机の上に置いておいて下さい。名前は、始めのチャイムが鳴ってから書いて下さい」
そして……
キーンコーンカーンコーン──。
代数が始まった。
皆一心不乱に問題と向き合い、シャープペンシルを動かしている。
そんな中、いち早く問題を解き終えたのは……
工藤颯太である。
千晴は、颯太が解き終えた瞬間を目にした。
その驚きは、想像を絶するものだ。
同様のことは、その後の教科でも起こった。
千晴はその時はまだ、こう思っていた。
早く解き終えても、正解しなければ意味が無い、と。
しかし、順位発表の日。
〈第一回中間テスト順位〉
一位 工藤颯太 500点/500点
二位 桜庭千晴 426点/500点
三位 西江月花 384点/500点
四位 白里涼太 352点/500点
五位 神山智葉 348点/500点
以下略
信じられなかった。
あれだけ成績の悪かった颯太が一位で、それも満点なのである。
「嘘でしょ……。あり得ない……」
今回のテストは、結構難易度が高かったはずだ。
先生達もそう言っていた。
(なのに……何故……?)
「ホラホラ、取り敢えず全員教室に戻れ!」
先生がそう言うと、皆教室へと戻っていった。
※
教室には、まだ杉原は戻っていなかった。
散々颯太をバカにしていた女子達は、男子に責められている。
そんな騒がしい教室の床に、突如として魔方陣が現れた。
幾何学模様が描かれていて、金色に輝いている。
一年E組の者達は皆、その魔方陣へと吸い込まれていった。
ちょっと進みが早かったですかね。