第68話「ポン太の恋わずらい」
ポン太とコンちゃん、決闘です。
愛し合う二人は……しかし闘うわけですね。
ポン太、決闘に勝ったらコンちゃんとデート(結婚?)です。
ポン太が勝つんでしょうか?
やっぱりコンちゃんが勝つのかな?
お豆腐屋さんにおつかいです。
夕飯のお味噌汁に入れる豆腐をもらうんです。
「あれ……」
お隣……っても結構離れているんですが……
お豆腐屋さんは工事中です。
「あの……おばあちゃん、いますか?」
中に入るとお店は営業中みたいです。
おばあちゃん、ニコニコしながら、
「あら、あんたかい、今日は何にするかい?」
「お豆腐を……おあげももらえるとうれしいです」
「コンちゃんの機嫌とりかい、あんたも大変だね」
「おあげがあればいいから、簡単かんたん」
ふふ、今ごろコンちゃん、TV見ながらクシャミしてます。
鋭いから、帰ったら疑われそう。
「ねぇ、おばあちゃん、お店どうなるの?」
「ああ……改築してんだよ」
「改築?」
「ほら……ちょっとー!」
おばあちゃんが奥に声をかけると……ポン太とポン吉です。
「二人とも、なにやってるんですか?」
「ボクとポン吉はここに雇われたんです」
そういえば……ぽんた王国から引っ越す時にそんな事言ってましたね。
ポン太、わたしからお鍋を受け取るとお豆腐を入れながら、
「これ、ボクが作ったんです」
「ほほう……」
お鍋とは別に、お皿に冷奴で登場。
一口……むむ、なかなかです。
「ポン太、上手ですね」
これにはおばあちゃんが、
「いや、もうじいさんもわたしも、やる事なしだよ」
笑顔のおばあちゃん。
褒められてポン太も嬉しそうです。
「ポン吉はなにやってんですか?」
「オレ?」
言われてポン吉、一度引っ込みます。
おあげを持って帰ってきました。
「オレ、これ作ってるぜ!」
「なるほど……」
「揚げるの、超楽しい~」
ふふ、ポン吉もここで労働の喜びを覚えたみたいですね。
ぽんた王国の時は遊んでばっかりでしたよ。
おばあちゃん、ポン吉の頭をなでながら、
「今、店をぽんた王国みたいにしているのさ」
「はぁ……藁葺きの?」
「うん……ニンジャ屋敷もやるんだよ」
「ポン太たち、案内やってましたもんね」
お豆腐屋さん、すごい事になりそうです。
改築終るの楽しみですね。
わたしがおあげを食べていると、
「見回りであります」
「わーい、シロ姉~!」
やってきたシロちゃんに、ポン吉飛びついています。
「ポン吉……本官、今、職務中であります」
「シロ姉、オレをタイホしていいよ」
「では……」
わ、わたし、シロちゃんを止めます。
ポン吉の言う「タイホ」はそれとは違うんですよ。
きっと「一緒にいたい」でしょう。
それにシロちゃん……「タイホ」の瞬間に目の色変わりました。
手には銀玉鉄砲なんだもん。
シロちゃんの「タイホ」は「発砲」です。
それも「即」「早撃ち」なの。
『ポンちゃん、何をするでありますか!』
『ポン吉はタイホしてもらって、一緒にいたいんですよ』
『撃っていいのかと思ったであります』
『シロちゃん、タイホって発砲じゃないんだよ』
『大抵の犯人は抵抗するに決まっているであります』
『そ、そうかもしれないけど……』
ポン吉、両手を差し出すのに、シロちゃん手錠かけます。
『「わっぱ」はつまらないであります』
『シロちゃん……』
シロちゃん、今はミニスカと言えどもポリス姿なんですから、しっかりしてください。
ポン吉、ニコニコしながら、
「じゃ、シロ姉の家で調書をとるんだよな」
「しょうがないでありますね……本官調書は苦手でありますよ」
シロちゃんとポン吉、行っちゃいました。
ポン太が元気のない顔で、
「コン姉はどうしてるんですか?」
「コンちゃん? お店でボンヤリしてるんじゃないかな?」
「こっちには来ないんです?」
「……」
最近お豆腐のおつかい、わたしばっかりかな。
コンちゃん、出かけると、いつ帰って来るかわかりません。
気分屋さんですからね。
でも、ポン太がへこんでいるのもかわいそう。
「おばあちゃん」
「なんだい?」
「ポン太、荷物持ちで借りてっていいですか?」
おばあちゃん、わかってくれたみたいです、うなずいてます。
ポン太の表情もパッと明るくなりましたよ。
ま、さっきポン吉も連行されました。
「おばあちゃん、ポン太とポン吉、今日はこっちでごはんしますね」
「おお……なら、もっとお土産持たせるかねぇ」
おばあちゃん、夕飯のおかずの煮物を鍋一杯分けてくれましたよ。
わたしとポン吉、お鍋を持って帰還です。
夕飯はポン太・ポン吉もいて、盛り上がりました。
お風呂も終ってTVも見て、あっという間に寝る時間。
レッドとみどりが退場して、店長さんも早めにお休み。
たまおちゃんとシロちゃんに合わせてポン吉もお布団へ。
わたし、ポン太、コンちゃん、ミコちゃん残りました。
なんとなくトランプやってます。七並べ。
「洗濯当番」賭けて勝負しょうぶ!
コンちゃん不機嫌ですよ。
「誰じゃ、5を止めておるのは!」
それはわたしです。
ふふふ、コンちゃんの髪うねってます。
「あの……コン姉」
「なんじゃ、ポン太、おぬしか、5を止めておるのは!」
「いいえ……その……」
「なんじゃ? 今、ここに陰湿なヤツがおるのじゃ」
「もしもボクが勝ったら、デートしてくださいっ!」
途端にコンちゃんの髪、ウネウネがすごくなります。
「やはりおぬしか……さっさと5を出すのじゃ」
はて、ポン太が5、持ってるんでしょうか?
わたし2枚は握ってるんだけど。
ミコちゃんに視線送ります。
『ミコちゃん5、何枚持ってます?』
『2枚』
『ポン太は持ってませんね』
『ポン太くんは、コンちゃんが好きなのね』
『ですね』
『パスの数もあるから、勝てるんじゃないの?』
なるほど……だからこのチャンスを活かしてデートの約束ですね。
コンちゃんもどうせボンヤリしているだけなんだから、デートしたらいいのに。
村でデートなんて、お散歩するだけですよ。
コンちゃん、髪をウネウネさせながら、
「ポン太、おぬし、下衆野朗じゃの」
「……」
「わらわの弱みにつけこんで、デートの約束かの?」
ポン太、9を出します。
なんとなく繋がりました。
でも、コンちゃん1回堪えただけで、またピンチみたいです。
絵札か小さい数字しかなさそう。
「わらわ、5がいいのじゃが……」
わたしもミコちゃんも出す気ゼロです。
洗濯当番、賭かってますから。
「ボクが勝ったら、デートしてください」
『ポン太くん、なかなかやるわね』
『ポン太、頭いいもん』
コンちゃん、パスの「つまようじ」を出しながら、
「卑怯者め……そんな事までしてデートしたいかの」
わたし、よくわからないんですが……デートくらいしてあげたらいいのに。
「わらわ、そんな卑怯者、嫌いなのじゃ」
「ポン姉はどんな男が好きですか?」
「わらわはこれでも女じゃぞ、わらわよりもたくましい、強い男がいいのじゃ」
「デート……してくれますか?」
「卑怯者は嫌いなのじゃ」
「じゃあ、ボクが勝ったら勝負してくれますか?」
「はぁ?」
「ボクがコン姉と勝負して、勝ったら結婚してくれますか?」
ポン太、欲張りすぎ。
デートの約束が結婚になってます。
見つめ合うコンちゃんとポン太。
「よかろう、勝負して勝ったら結婚してやろう」
『ちょ……コンちゃんいいんですか!』
『ゴット・シールドでへっちゃらなのじゃ』
『インチキじゃないですか~』
『わらわ、雌狐なのでかまわんのじゃ』
ポン太、カードを出します。
5……持ってないはず。
ジョーカーです!
わたし、カード出さないといけなくなりました。
「なぬっ! ポンがおさえておったのかっ!」
責める視線が痛いです。
髪もすごいうねってます。
結局勝負はポン太が勝ってコンちゃん洗濯当番でした。
そしてポン太とコンちゃんの決闘も決まったんですよ。
決闘は駐車場です。
「ポンちゃん、何があるの?」
「店長さん……昨日トランプ勝負でいろいろあって……」
「ふーん、それでポン太くんとコンちゃんが決闘なんだ」
「ですね」
「しかし……コンちゃんはいつも通りだけどポン太くんはなに?」
「それ、私も聞きたかったんだけど」
お客さんもいないので、ウッドデッキのテーブルにわたし、店長さん、ミコちゃん、レッドで見物してるんですよ。
「ああ、ポン太の格好……ニンジャ屋敷で案内の仕事をしてたから」
「ああ、遠足の……はいはい」
「きゃー、めがねニンジャすてきー!」
レッド、もうハイテンションでキツネ耳になってます。
でも、視線の先はシリアスな空気です。
久しぶりに西部劇決闘モードなの。
「ポン太、来るがよい……」
「コン姉、覚悟っ!」
ポン太、手裏剣攻撃。
コンちゃん、後方ジャンプで避け。
「ゴット・アロー」
うわ、子供相手になんて攻撃。
って、ポン太、刀を抜いて弾いちゃいました。
わたしもみんなもびっくりです。
「うむ、ポン太よ、なかなかやるのう!」
「結婚ですから」
「わらわのゴット・アローを弾くとは……どこで修行したのじゃ」
「長老に……」
「ふむ……ただのニンジャ屋敷のアトラクションではなかったようじゃの」
「ボクは……人間を滅ぼすために修行してたんです!」
うわ、すごい事言ってます。
「長老は人間を滅ぼすように、昔、卑弥呼という方から使命を受けたそうです」
なるほど……昔、そんな事、あったんですか。
あれれ、ミコちゃん、真っ青になって立ち上がりました。
店長さんジト目で、
「ミコちゃん、どーゆー事かな?」
「むむむ昔は人柱にされて恨みの一つもあったんですっ!」
「恨みの一つ」で人類滅亡……ミコちゃんなら可能かも。
「わーん!」
なんだか久しぶりにミコちゃんの「泣き」。
走ってお店に……階段上がる足音……押入れにこもったみたい。
ミコちゃんが行っちゃってる間に、コンちゃんとポン太のバトルはヒートアップ。
ポン太強いですよ。
コンちゃん結婚かもしれません。
「ねーねー!」
「レッド、今、いいところだから」
「コン姉、なにやってるの?」
「結婚を賭けて決闘してるんですよ」
「ちょーたのしそー!」
レッド、行っちゃいました。
って、輪ゴム銃を持って戻って来ましたよ。
「レッド、それ持ってきちゃダメでしょ」
輪ゴム銃は封印のアイテムなの。
でも、お目付けのミコちゃん、押し入れに入ってるからいいのかな?
「ぼくもいく~!」
「あ!」
わたしと店長さんびっくりです。
レッド、激戦の中に突入しました。
コンちゃんの目、レッドに向きます。
ポン太、刀を振り下ろしました。
でも、刀はコンちゃんの頭に当る直前に止まっちゃいます。
ゴット・シールドです。
「むむ……ポン太の勝ちかのう」
おお、コンちゃん結婚しちゃうのかな?
やってきたレッドを抱きあげて、
「これ、レッド、危ないではないか」
「ぼくもしょうぶするする~」
「むう……ほれ、勝負してやるかの」
「せなかあわせ、じゅっぽあるいてしょうぶ」
「わかったのじゃ」
コンちゃん、術で銀玉鉄砲出しました。
勝負開始。
わたしも店長さんも、ポン太も勝負を見守ります。
最後の一歩。
振り向くレッドとコンちゃん。
むむ、レッド、早いです。
はて、コンちゃんが接待なのかな?
パンッ!
レッドの額にペイント弾命中。
倒れるレッド、目を閉じて、
「やられた~」
ニコニコ顔で死んでます。
コンちゃん、呆れ顔で近付いて、レッドを起こします。
額のペイント弾を拭きながら、
「これ、ポン太」
「は、はい……」
「すまぬ……おぬしよりもレッドとデートなのじゃ」
「は、はぁ……」
ポン太、ポカンとしています。
コンちゃん、レッドを抱いて、
「これ、レッド、おぬしの方が早かったと思うのじゃが」
「コン姉うてませぬ~」
「レッドもなかなか漢じゃのう」
ああ、ポン太、崩れ落ちました。
「ポン太、大丈夫?」
「ポン姉……レッドに学びました」
「ほら、元気出して」
「うう……ボクはどうやったらコン姉とデートできるんだろう……」
「かわりにわたしとデートしますか?」
「わーん!」
泣きながら行っちゃいました。
あれだけ元気なら大丈夫でしょ。
わたしの気持ちはグチャグチャですけどね。
「ねぇねぇ、ポン姉!」
「なになに?」
「オレ、アニキみたいにシロ姉とデートしたい」
今度はポン吉とシロちゃんが決闘です。
しかし……デートの約束にいつも「決闘」ばっかですね~