偶然の再会
朝、明子が起きると、誠治は、いなかった。
明子は、着替えてホテルのロビーに行った。
朝食を食べようと食堂に行くと、バイキング形式だった。
明子は、自分の皿に、山盛りに料理をのせた。
(バイキングは、好きなの何でも食べれていいよね)
そう思いながら、席に着こうとすると、見覚えのある後ろ姿があった。
髪の長い、その後ろ姿は、伊東だった。
「昨日は、どうも伊東さん。同じホテルだったんですね」
そう明子が、声をかけて、同じテーブルの席に着いた。
「どうも」
一言、言って伊東は食事を続けた。
沈黙の二人。
明子が、食べながら話しかけた。
「私の主人とは、仲が良かったんですか?」
伊東が答える。
「はい、俺たちのクラスは、みんな仲が良かったです。特に男達は、とても、そうだったんで、いつもツルンでました」
「そうなんですね・・」
明子は、そう、返事をした。
どこか伊東が、寂しそうに見えた。
伊東が唐突に言う。
「同窓会、来ないほうが、よかったかな・・」
「え、どうしてですか?」
明子は、聞き返した。
「何か、あの頃の仲間に会ったら見えてくるものが、あるような気がしたんですよ。でも、俺には何も見えなかった。みんな幸せそうなのは、何よりですけど」
そう言って、伊東は席を立った。
「御主人に、誠治に宜しく伝えてください。縁があれば、また会おうって」
そう言い、伊東は去って行った。




