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いじめられっ子世にはばからない 其の肆

 こんにちは。

 

 まだ5月だというのに今日はとても暑かったですね。

 

 しかもあなたのクラスは体育の授業があったのでしょう?


 こんな暑い中運動させられて可哀想に。


 こんな暑い日には汗をとてもかくと思ったので更衣室にタオルと下着を置いておきました。


 使っていただけたでしょうか。


 ああそれと、あなたにしつこくまとわりついていたケダモノどもは私が排除しておきました。


 これでようやく安心ですね。


 他にも何かあったら私に連絡してください。


 どんなものでも用意します。


 どんなことでもいたします。


 だって愛するあなたのためですから。


 私はあなたのためならば何でもできます。


 愛するあなたのためなら腕も脚も内臓も血も骨も何もかも差し上げられます。


 だから私だけを見ていてください。


 私以外の人と関わらないでください。


 私だけを愛していてください。


 私はあなたをとても愛しているのだから。


 愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してル愛しテル愛シテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテル




 


      アイシテルヨ


           ■ ■ ■ ■ さん


 

        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 

 「ほうここが学校か。なんだか懐かしい気分じゃのう」


 「おい。ここではしゃべんなっていったろ。ヘッドフォン捨てるぞ」


 「捨てんといて!!」


 翌日、俺はまあ学生なので当然のことながら学校に登校していた。


 さっきから何度も曲を再生してこの不快なジジイの声をかき消そうと試みているのだが、一向に曲が流れてこず、逆に不快な「無駄じゃ。無駄無駄。ハハッ、バーカバーカ」という声が増すばかりであった。


 もういっそのことこのヘッドフォン捨ててしまおうかとも考えたが、先週買ったばかりなので捨てるのは気が引ける。結構いい値段したんだよ(泣)


 「まったくおぬしは物を大切にするという考えがないのか?」


 「うるせー。物は大切にしてもポルターガイストジジイは大切にするなって先生に習ったんだよ」


 「なんとまあ。ひどい教師もいたもんじゃ。そんな教師はわしがクビにしてやろう」


 「そんな権限お前にねーよ。何様のつもりだよ」


 そんなかんじで学校にいる間憎たらしいジジイの相手をしなくてはならなくなってしまった。


 ヘッドフォンを外してしまいたいが、俺のヘッドフォンからジジイの声が漏れてしまう。

 もしクラスメイトに聞かれでもしたら大変だ。ただのいじめられっ子からジジイの声マニアの薄気味悪いいじめられっ子へ降格してしまう。どっちにしてもいじめられていることには変わりないが、なんかこうあるんだよ。最後の砦というかプライドが。


 ひたすら無心になってジジイのくだらない言葉を聞き流していること数時間。気が付けばLTE、じゃなかったLHRの時間になっていた。ジジイの言葉攻めという苦行のせいで途中危うく悟りを開きそうになってしまったが別に俺は新たな宗教を開くつもりはないので何とか踏みとどまった。危ない危ない。

 いやでも宗教関連って意外と儲かるって話もあるよな……


 まあそんなことは置いておいて、LHRの議題はどうやら文化祭の出し物についてらしい。

 そういえばまだ何にも決めてなかったっけ。

 まあ俺はいつもの通り何も関与しないけれど。

 リア充ども、せいぜい頑張れや。俺の分まで。


 「えー文化祭実行委員の二人は前に出てください」


 「武道(たけみち)君、行くよ!」


 あーでもどうすっかな、文化祭当日。学校に行ったところで何にもすることないしな。

 去年は確か文芸部と漫研の部誌だけとって空き教室でずっと携帯ゲームしてたな。

 今思えば授業ないなら学校に来る意味なかったんじゃ……


 「武道君! 聞いてるの!?」


 そうだ! なんて勘違いしてたんだろう。

 文化祭の日にわざわざ行く必要性なんて全くないではないか。

 わざわざ学校に行って暇な思いをするよりも家で遊んでた方がはるかに有意義だ。

 やべえ…… 世界の解答に至った気がする。


 「武道君! 君も文化祭実行委員でしょ!?」


 さっきからうるせえなこの女。いい加減早く前出ろよ武道君とやら。

 お前のせいで俺がこんな至近距離で罵声を聞く羽目になってるんだぞ。


 「もう! さっさと行くよ!」


 突然俺の腕が掴まれて前へ引きずり出された。


 ……ええ、とっくに気づいていましたとも。

 だけど残酷な真実から目を背けたくなるのが人情ってもんでしょう?


 そう、俺は文化祭実行委員何ぞという委員会の中でもトップクラスに面倒くさい役割に任じられてしまったのである。これを不幸といわずしてなんと言う。


 さすがに前に出るのにヘッドフォンをつけたままというわけにもいかないので音声の出る部分をティッシュで詰め込み、音を遮断しておいた。

 あれ? 最初からそうしておけばよかったんじゃ……

 

 それから文実の俺たちは文化祭に関するさまざまな事案を提案、議決、決定していったとさ。

 めでたしめでたし。


 ……いや全然めでたくねーし。



 


 

 

 

 


 


 


 


 


 



 

 


 


  

  


 


 


 


 


 


 


 


 


 

 


 

 


 


 

 

 

  


 


 


 


 


 

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