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いじめられっ子世にはばからない

 初めての投稿です。拙い文章ですがよろしくお願いします。

 

 ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ


 もぞもぞ うーん


 カチッ

 目覚まし時計は午前7時を示していた。


 つまり起床時間、一日の始まりである。


 まだ脳みそが半分も起動していないまま、目覚まし時計の液晶画面に表示されている日付の部分を確認する。今日は5月25日、月曜日、週始めだ。


 もしかして今日は祝日だったりして~と淡い希望を抱くも、カレンダーの日付には非情にも黒々とした25という数字が書かれているだけであり、特に国民の休日らしい記述はなされていなかった。


 窓を開けて外の様子を見ても台風どころか大雨にすらなっておらず、嫌がらせのように雲ひとつない青空が広がっている。


 つまり、これから5日間長時間にわたって学校という名のプリズンに閉じ込められるというわけだ。なんで熱出ねーんだよ。昨日はちゃんと寝る前に修行僧のように冷水浴びて髪も乾かさずにいたというのに。死ねエエエエ俺。


 自分の無駄に健康的な体を呪いつつ、朝食の準備されているであろうリビングルームへと赴いた。



 今朝の朝食は食パンにチョコクリーム塗りたくったやつとベーコン2枚というありふれたシンプルなものだ。他の人から見たら少なすぎると思われるかもしれないがそれは当たり前である。


 これから死地へ赴くのだから食欲なんてあるはずもない。


 父親は俺が起きる前にとっくに出勤しており、母親ももうすぐ出勤時刻なのでバタバタしていて忙しそうだ。

 ただし大学生の姉は午後まで授業がないため今もぐうたら寝ていることだろう。


 このやろう、のんきにひとり寝やがって。俺が学校行く前にわざと起こしに行ってやろうか。


 「今晩父さんも母さんも帰るのが遅くなるから自分で何か買って食べてね。それじゃあ行ってきまーす」


 と母親が急いだ様子で玄関から飛び出していったのを見計らって自分も学校への支度を始めた。


 ただし、これがなかなか進まないものである。


 できる限りぎりぎりまで学校へ行かず、家でだらだらしたいのだ。


 しかも体育のある日となればなおさらだ。もういっそのこと体育は全部サボタージュしてやろうかとも思ったのだが、今の時代成績表がご丁寧にも自宅まで郵送されてきやがるので体育の出席日数まで親にもろばれである。逃げ道はない。


 だらだらしているとあっという間に時間は経つものでもう午前8時、そろそろ行かないと遅刻してしまう時間帯である。


 俺は鏡の前で大仰に溜息をついたあと、自宅を後にしたのだった。



 俺が登校している間に学校が木っ端みじんに破壊されていて休校になるというわずかな可能性を信じていたのだがそれをあざ笑うかのごとく学校はそびえたっており、正門付近では生徒会役員たちと泣く子も黙る体育教師があいさつ運動なるものをしていた。


 あいさつ運動とは生徒と教師が正門に立って登校してくる生徒たちひとりひとりに挨拶をするという活動だ。


 この活動は生徒と教師、または生徒同士のコミュニケーション図ることを目的としている、というのは建前で本当は学校近隣にご住まいの方たちに「ほらっうちの学校挨拶盛んでいいところでしょ。だから文化祭とか体育祭とかの準備でうるさくしてもクレームつけんといて!」ということを暗に主張することを目的したものだ。


 要するに学校側のイメージ戦略のために生徒を巻き込んでいるに過ぎない。


 生徒会役員だけがするのはまだいい。

 

 しかし、このあいさつ運動というものは定期的にクラスで当番が回ってくるものであり、それに参加しなかった者はペナルティで更衣室の清掃を1週間続けなくてはならないのである。俺の実体験だ。


 いやっホントにあいさつ運動とかマジ何なの? 

 そんな正門にずらーと並ばれて挨拶とかされても圧がかかって怖いだけなんですけど。

 それに一瞬とはいえ多くの人たちに注目されるのは本当に息苦しいんですけど!


 地獄のゲートを通過後そのまま懲罰牢(教室)に入ろうかと思ったのだが、まだ5分ほど時間に余裕あった。そういうときはトイレの個室にこもり、精神統一を行うのが習慣である。


 大丈夫だ落ち着け、たかが7限までの授業だ。


 学校が終わるまで適当にやり過ごせばいい。


 時間に換算すればええーと、そうだ、たったの500分つまりおよそ8時間しかない。


 あれっ、それ相当長くね。


 一日の3分の1じゃん。


 しまった。逆に気分が落ち込んでしまった。


 だ……大丈夫だ。ちゃんとここに時間つぶし用アイテム(携帯)がこのかばんの中に……ってああああああ塾用のカバンにいれっぱだったあああ。


 どうする。今日はもうサボるか?


 自分の中の悪魔が囁いてきた。


悪魔1「もうサボっちゃえよ」


 ああそうだな。このまま学校にいても死んでしまうしな。


悪魔2「サボっちゃえって」


 よしっ今日はこのまま本屋へ行こうか。


悪魔3「サボったほうが身のためだぞ」


 あれっ俺の中の天使が来ないんですけど。


 さっきから悪魔しかやってこないんですけど。


 いや違うからね。俺にだって良心ぐらいあるはずだ。


 すると、自分の中の天使が遅れて登場した。


 おおやっときた、やっときた。俺の天使。


天使(魔神)「もういっそのことみんな殺してしまえばいい」


 ……いやいやなんかすごいのが来たぞ。


 悪魔よりやばいのが来たぞ。魔神っておい。


 自分の頭の中に突如現れた魔神を再び封印しようと奮闘していると、気が付けばもうSHR開始2分前だった。


 もう教室に行くしかない。結局サボったところで学校側がそのことを親に報告するから最終的にばれるのだ。仕方ない腹をくくろう。


 俺、この戦いが終わったら結婚するんだ。(ギャルゲーの中で)


 と思い切り死亡フラグをあげながら俺は懲罰牢(いや処刑台かな?)へと足を進めた。

 学校の敷地内の椿の木に止まっていたカラスが俺を馬鹿にするかのごとく鳴いていた。



 最後まで読んでいただきありがとうございます。 

1週間に1回ぐらいのペースで更新していくつもりなのでよろしくお願いします。

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