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恐竜物語  作者: せりもも
セイスモサウルス(ディプロドクス)

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 二人は、おじいちゃん恐竜の顔の所まで走っていった。


 ところが、いつまで経っても、いきつかない。

 痺れをきらした孫のモーモが、2人を咥え上げ、連れて行ってくれた。



 ようやく、顔の所まで行きついた。すると、年老いた恐竜は、薄目を開けた。


「やあ、よく来てくれた」


「大丈夫ですか? 何かしてもらいたいことは?」

聞きながら、圭太は膝ががくがくした。


 もし、このおじいちゃん、どこか痛かったら?

 他人の痛みが、圭太には、耐えられなかった。テレビで、悪いやつが、正義の味方にやられるだけでも、泣きたくなるほどなのだ。



「おじいちゃんを起こしてよ。群れをおいかけなくちゃ、いけないんだ」


おじいちゃん恐竜に代わって、モーモが、説明を始めた。


「この辺の、シダや木の葉は、あらかた食べ尽くしてしまった。セイスモサウルスの首は、あまり上へと伸ばすことができないから、木を倒して、葉を食べたりする。そうでなくても、僕らの群れが葉を食べ尽くすと、木が枯れてしまうんだ。だから、群れは、また、大移動を始めたんだ。次の食料を求めて」


 たしかに、辺りには、裸の木や、倒された大木が見えた。


 おじいさん恐竜が、ためいきをついた。

「いいんだ。わしは、もう、駄目だよ」


「悲しいこと言わないでよ、おじいちゃん! だから、ハッピーだいちゃん♡  を呼んだんじゃないか。恐竜の力ならどうにもならなくても、道具の力でなら、何とかなるかもしれないじゃないか!」


 大きな目をうるうるさせて、モーモが抗議した。


「そうですよ。私たちにできないことなんかありません!」


きっぱりと、おねえちゃんが言い切った。まるで、白蛇が乗り移ったかのような調子の良さだ。



 圭太も、できることなら、この年老いたセイスモサウルスを、何とか再び立ち上がらせてあげたかった。けれども、そんなことができるのだろうか? 何しろ相手は、体重数十トンもある、史上最大の恐竜なのだ。



 「ちょっと、おねえちゃん、どうするんだよ」

圭太は、おねえちゃんににじり寄った。


「いい考えがあるの」

まかせておけと言わんばかりに、おねえちゃんが胸をどんと叩いた。


「大型トラックで引っ張るのよ」


「えっ!」

圭太は不安だ。


 トラックって……。


「でも、このセイスモサウルス、とっても、重いんだよ」


「だったら、トラックを何台ももってくるだけのことよ」


 くるりとカイバを振り返った。

「さ、カイバ、白蛇に伝えて。大型トラックを百台、運転手を百人」


「リョウカイ、リョウカイ」


 カイバは、くるっと向きを変えた。スーパーおろち目がけてふわふわと飛んでいく。






 どっかーん! ギーッ!

 バリバリバリバリッ!


 カイバが見えなくなって、すぐだった。圭太たちの目の前に、スーパーおろち号が突如現れ、鼓膜が破れるような音を立てて停車した。


 「迅速第一、スーパーおろち。トラック百台、運転手付き、おまちどうさまーっ!」


列車の急停車の音に負けないきんきん声で、白蛇が怒鳴る。



 スーパーおろちの後ろには、たくさんの貨車の下枠が連結されていた。その一つ一つに、大きなトラックが乗っている。


 1、2、3……。

 本当に、100台、ありそうだ。


 トラックたちは、いっせいにエンジンをふかし始めた。静かだった平原が、たちまち、機械の音でいっぱいになる。


 やがて、トラック達は、平原に降り始めた。先頭から1台ずつ、慎重に。

 騒然とした平原には、ガソリンの匂いが立ち込めている。









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