透明
掲載日:2026/06/17
コンビニの傘はすぐ盗まれる。
私はまた傘を買って、誰かに盗まれるのを待つ。
突然の豪雨。
決まって私はコンビニに行く。
いつも変な目で見られる。
私はビニール傘を3本買った。
店を出る。
傘立てを埋めていく。
私はびしょ濡れのまま走る。
シャツと短パンが水を吸って重くなる。
私は幸福感を感じる。
いいことしたなあ、いいことしたなあ。
翌日に傘は何本残っているのだろうか。
これがいいんだ、楽しいんだ。
一日仕事を頑張ったであろうサラリーマン、朝から必死に勉強したであろう大学生。
一見普通の人ですよ。とアピールしている顔立ちが、何も言わずに傘をさす。
私の傘を。
歩き出すその顔が、また普通の人に戻る顔が、たまらなく好きで。
気持ち悪い顔。
明日も雨が降るらしい。
また傘を買いに行こう。
今度は灰皿の横で。
ただその顔を眺めるために。




