第9話 水源発見!
夢野真穂(魔法少女プルシェリア)
クラス:魔法使い +使い魔イルカの「フリッツ」
お肉を焼くは良いんだけど、私、飲み物が無いとご飯食べられない質なんだよね。
「はあ、喉渇いたなあ」
「それなら、先に水源を探したら良いキュイ」
「でも、もしかしたら出口が近かったりするかもしれないじゃない。水源が出口と反対側かもしれないじゃない」
「出口はまだまだ遠くキュイよ」
……今、何て言った?
『出口はまだまだ遠く』?
前に『出口はどこかわからない』って言って無かった?
「ねえ、フリ……キュイ。ちょっと聞きたい事があるんだけど」
「なんで今、わざわざ僕の名前を呼ぶのを避けたキュイ?」
「そんな事よりさ、あんたやっぱり出口がどこか知ってるんでしょ? ねえ、隠さずに教えなさいよ!」
「僕は知らないキュイ。でもプルシェリアが召喚した案内星が教えてくれてるんだキュイ!」
さっきからくるくる回転しながら出口の方向にふわふわ漂っている掌大の星。
出口の方向に浮かんでいるんだろうというのはわかる。なにせここまで一本道だったのだから。だけど、どう考えても、この星を見ただけで出口までの距離がわかるとは思えない。
「いい加減な事、言わないでよ。この星を見ただけで出口までどれくらいかわかるわけないじゃない」
「さすがに出口までの距離は僕にもわからないキュイ」
「はあ? あんたさっき、出口までまだまだ遠いって言ったじゃないの!」
「だから、案内星をちゃんと観察すればわかるんだキュイ!」
回転している案内星をキュイがヒレで指す。でも、どう見たって、ただクルクルと横向きに回っているだけにしか見えない。
「これが何だって言うのよ!」
「よく見て欲しいキュイ! 回転軸が上に傾いているんだキュイ。その案内星は出口に導いてくれるのだから、それが傾いているって事は、ここは出口よりも低い場所にいるという事なんだキュイ」
あっ! 理解したし凄い理論的。
……く、悔しい。こんな変なイルカに知能マウント取られた。
「ねえ、もしかしてだけど、それって、この洞窟内で宿泊しないといけないかもって事?」
「間違いなくそうなるキュイ。だから食料と水の確保は大事なんだキュイ!」
「私、こんなモンスターがうろちょろしている場所の、それも土の上なんかで寝れる自信が無いんだけど」
「そんなの魔法でふかふかの寝床を作れば良いだけの話キュイ」
あっ、そうか!
あれ、なんでだろう。なんか私、さっきからアホの子扱いされている気がする。
泣けてきそう……
「プルシェリアは、きっと疲れてきて思考能力が落ちてしまっているんだキュイ。早く水源を見つけて、食事を取って、ゆっくり休む事をお勧めするんだキュイ」
「ありがと。そうするわ……」
考えてみれば、私はあの時に死んじゃって、それでこの世界に来たのよ。だから、今生きているのはこの世界なんだよね。明日になったら以前の世界に戻れるってわけじゃない。だったら、一日でも早くこの世界に慣れるしかないんだ。
ならば、やる事は一つ。この魔法の力で極力快適に生活してやるんだ!
「ミラクル マジカル ラララララ! 飲み水の湧く場所を教えて!」
マジカルスティッキの先の星の飾りがクルクル回り、そこから小さな星が一つぴょんと飛び出し、クルクルと回り出した。出口を指している星はピンク、水源を指している星は水色。うん、わかりやすい。
「あれ? 水源を指してる星、回転に角度が付いてない。しかも回転が速い」
「この感じ、恐らく同じくらいの高さにあるんだキュイ! しかも、ここから近い場所キュイ!」
「キュイ! 行こう!」
「僕の名前は『フリッツ』キュイ!」
水! 水! 水! 水があればとりあえず生活はできる!
ここまで一本道だったのに、途中にY字路があってから、やたらと通路に分岐がある。だけど、案内の星が私たちを導いてくれているから迷わない。魔法って便利だなあ。
徐々に徐々に、案内星の回転が早くなってきている。恐らく目的地はすぐそこ。
細い通路の先に、少し広い部屋のような空間が見える。
ん? あの団体さんは何だろう?
「た、大変キュイ! 案内された水源って、ゴブリンの居住地だったん――」
「ミラクル マジカル ラララララ! 全部卵になっちゃえ!」
マジカルスティッキの先の星の飾りがクルクル回り、そこから小さな星が大量に噴き出した。小さな星は真っ直ぐゴブリンに飛んで行き、次々に光に包んでいく。
光が全て消えると、地面には大量の卵が落ちていた。一つ一つ拾い上げ、無言で壁に叩きつけて行く。
「す、凄いキュイ……あれだけのゴブリンを一瞬で……」
「私の大事な飲み水をこんな連中に汚されたらたまらないからね」
「おお! ここの壁から水がチョロチョロ出てるんだキュイ」
「ミラクル マジカル ラララララ! 洗面台になれ!」
マジカルスティッキの先の星の飾りがクルクル回り、そこから大きな星が一つ飛び出し、水が出ている部分の壁に吸い込まれて行く。その後、星の輝きが消えると、蛇口と陶器の受け皿ができた。
恐る恐るという感じで蛇口から出ている水を手に取り、口に含んでみる。乾ききった喉に、水が沁みていくのがはっきりと感じ取れる。
水がここで確保できたという事は、この空間を封鎖してしまえば、私だけの部屋が作れるという事だと思う。キュイは魔法が切れた時の話をしているけど、魔法を切らさなければ問題無いわけだし。
「よし! ここをキャンプ地とします!」
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