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ノスタルジック・ダンジョン  作者: 敷知遠江守
第1章 魔法少女プルシェリア①

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第4話 ゴブリンが!

 緑色の肌、尖った耳、吊り上がった大き目、角ばった顎、背は子供くらい。明るくなった部屋の入口に、そんな奇妙な人が立ってる。


「ねえ、キュイ。あれ、何?」


「僕の名前は『フリッツ』キュイ!」


「いや、そんなの今はどうでも良いのよ。あれは何って聞いてんの!」


「あれは『ゴブリン』キュイ! 非常に危険なモンスターキュイ!」


 ゴブリンが手にした錆び錆びのナイフを左右にゆらゆらと揺らしてこちらを威嚇している。大きく開かれた口からはギザギザした歯が覗いてる。口の端から涎がポタリ、ポタリ。怖いという気持ちと、気色悪いという気持ちが同時に襲ってくる。


「このままだと襲ってくるキュイよ?」


「ど、どうしたら良いの?」


「プルシェリアは魔法少女なんだから、魔法で姿を変えさせたら良いキュイ!」


 魔法で姿を変えさせるってどうやって?

 ほんと、こいつ、指示があいまいなんだよね。使えないなあ、もう!


 じりじりとゴブリンがナイフを構えた状態でこちらににじり寄って来る。


 やばい! やばい! やばい!


「早くしないと襲われちゃうキュイよ?」


「うっさいわね!」


 ……落ち着け、落ち着け私。

 えっと魔法は例の恥ずかしい奴でしょ。姿を変えさせるって? 何に?


「キシャシャシャ!」


 ゴブリンがこちらを見て涎を垂らして笑った。


 何、今の。気色悪ぅ……

 せめてハンプティダンプティみたいに可愛い奴ならねえ。

 そうだ!


「ミラクル マジカル ラララララ! 卵になれ!」


 マジカルスティッキの先の星の飾りがクルクル回り、そこから小さな星が噴き出した。小さな星は真っ直ぐゴブリンに飛んで行き、ゴブリンの周囲をクルクルと周回。

ゴブリンは光に包まれ、どんどん小さくなっていく。半分くらいの大きさから、さらに半分くらいの大きさに。最後にぎゅっと一か所に集まったかと思ったら、ぱっと弾け飛んだ。

 地面には卵が一つ残されているだけ。


「ねえ、キュイ、この魔法って解けるの?」


「僕の名前は『フリッツ』キュイ!」


 うるさいなあ、もう。キュイキュイ言ってるんだから、キュイで良いじゃん。


「この魔法って解けるのって聞いてるじゃん! 私の質問に答えて!」


「僕もプルシェリアのためを思ってやってるんだキュイ……だから、そんなに怒らないで欲しいキュイ……」


「悪かったわよ。気を付けるわよ。で、どうなの?」


「プルシェリアの変身が解けると、魔法は元に戻るキュイ」


 つまり、変身を解く場合、この卵から遠く離れたところで解かないといけないと。……ん? 待てよ?


「ねえ、もしもよ、ここでこの卵を壁に叩きつけて割ったらどうなるの?」


「もちろん元に戻った時に、ゴブリンは壁に叩きつけられた状態になるキュイ」


 説明を最後まで聞かずに壁に卵を叩きつける。壁には割れた殻から黄味がべちゃりと垂れる。


「あ……」


「何?」


「……残酷キュイね」


「だってあれ、モンスターなんでしょ? それとも茹で卵にでもして食べたかった?」


「姿を変えたモンスターを食べるのはお薦めしないキュイ。変身を解いた時にお腹の中でモンスターに戻るキュイ。最悪の場合、お腹が破裂しちゃうキュイ」


 うっ、想像しただけで吐き気が……


 ん? 垂れた黄味の下で何か光ってる。何だろう?

 大きさは小石大。宝石のようだけど、何やら薄紫にぼんやりと光ってる。


「ねえ、これ何?」


「それは魔石キュイ」


「魔石? って何?」


「この洞窟が生む石キュイ。その魔石の欠片がモンスターになるんだキュイ。だから、魔石は中の魔力を抜かないと、いずれまたモンスターになってしまうんだキュイ」


 もしかして、これがあの年増女神が言ってた『モンスターから獲得できる素材』ってやつ?

 魔石から魔力を抜く? どうにも雲を掴むようなふわふわした回答が多くて、もやもやするなあ。


「ねえ、もしかして、その魔力っていうのを使って、私も魔法を使っているの?」


「違うキュイ。プルシェリアは凄いキュイ! 自分の中で魔力を生成する事ができるんだキュイ!」


「え? 私はこのダンジョンと同じ事ができるって事?」


「ちょっと何言ってるかわからないキュイ」


 ……この棒でボコボコに殴ってやろうか、こいつ!


「じゃあ、聞き方を変えるわね。私はどうやってその魔力を生成しているの?」


「食べて、眠ると生成できるキュイよ!」


「ああ、カロリーの事を言ってるのね」


「ちょっと何言ってるかわからないキュイ」


 ムキィィィィ!

 ……ふう、ふう。落ち着け、落ち着け私。


「じゃあ、魔法を使えば使うほど、疲労が蓄積しちゃうって事?」


「使わなくても疲労は蓄積するキュイよ? お腹もすくし、眠くもなるキュイよ?」


「そうでなく! いつもよりって事!」


「誤差の範囲キュイ。魔法は使っても使わなくても、結局お尻から出てきちゃうキュイ。キュイキュイキュイ」


 デリカシーの欠片も無いのか、こいつは……

 はあ。イライラさせられたせいでお腹空いてきちゃったな。


「ねえ、キュイ。お腹空いてきちゃったんだけど、食べ物ってどうすればいいのかな?」


「僕の名前は『フリ――」


「ああ、はいはい、フリッツね。わかった、わかった。で、食べ物ってどうすればいいの?」


「ここはダンジョンの中キュイよ? 食べる物なんてそう簡単に見つからないキュイ」


 へ?

 えぇぇぇぇぇぇ!?

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