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ノスタルジック・ダンジョン  作者: 敷知遠江守
第3章 魔法少女プルシェリア③

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第11話 新たな水源

夢野真穂(魔法少女プルシェリア)

クラス:魔法使い +使い魔イルカの「フリッツ」

「出口に向かって出立しようは良いんだけど、次の水源ってどうやって探れば良いんだろう? ここで前みたいに案内星を出しても、ここを指し示すだけでしょ」

「それなら簡単な話キュイ。出口に向かって歩いて行って、別の水源の方が近くなれば、その時に星の向きが変わるキュイ」

「なるほど。でもそれって、別の階だったりしないの?」


 今の階だから何とかなっているものの、これ以上強力なモンスターがゴロゴロ出現するようなところに水源があると言われても、そこまで辿り着ける気がしない。そもそも地上を目指そうと言っているのに下層を指示されたらどうしようもない。


「うぅん、確かにその可能性はあるキュイ。まあ、不安ならここの水を持って行けば良いんだキュイ」

「そっか! 魔法で水筒を作って、そこに入れていけば良いんだ! 頭良いじゃん!」

「それほどでもないキュイ! キュイキュイ!」


 照れてクルクルと前転するキュイを見ていると、なんだかほっこりしてしまう。腹の立つ事も多いけど、一人だったらどうにもならなかっただろうから、そう考えればキュイには感謝しかない。


「水筒の水が無くなる前に次の水源が見つかると良いキュイね」


 ……なぜそこで不安を煽るんだ、こいつは。


 ◇◇◇


 以前狩ったうり坊。実はここまで、皮を風呂敷みたいにして、肉を包んで持ってきていた。うり坊とはいえ、かなりの重さがあり正直しんどかった。その皮を魔法でなめして縫製までしてもらい、いくら入れても重さの変わらない魔法の鞄(マジカルポシェット)を作成。そこに、うり坊の肉、魔法で作った缶ビール、これまた魔法で作った水筒に水をたんまりと入れ、冒険の準備は万端。出立する事になった。


 ところが……キュイが変な事を言ったせいか、丸二日、新たな水源は見つからなかった。ここまで何度か水源を探す水色の星は向きを変えている。だが、湧いているというよりは土壁を湿らせているという程度しか水量が無い。試しに蛇口を作ってみたのだが、ポタリポタリと雫が垂れる程度。結局、元の道に戻って出口に向かって歩く羽目に。そんな事を繰り返し続けてしまった。

 しかも、その間にも普通に敵は出る。その都度、卵に変えて床や壁に叩きつけて魔石を回収。疲れたら適当な行き止まりを見つけて部屋を作って、持って来たビールをかっくらって寝る。

 そうやってここまで来たけど、そろそろ魔法で作ったマジカルポシェットの中身も乏しくなってきている。


「あっ! また水源の星が向きを変えた。今度の水源はどうだろうね」

「なんだか星の回転が早いキュイ! もしかしたらかなりの水量があるかもキュイ!」


 出口を示すピンクの大きな星はゆったりと回転しているのだが、その隣の水色の星がクルクルと元気に回転している。これまでみたいな水の染みの時の反応とは全然違う。


「もし使えそうな水源だったら、私、真っ先にお風呂に入るんだ」

「それが良いキュイ。お風呂に入った後の方がビールを呑んでる顔が楽しそうなんだキュイ」

「えへへ、わかる? 風呂上がりの一杯って最高なのよ! キュイもそういうのわかると良いのにね」

「僕の名前は『フリッツ』キュイ!」


 出口とは全然違う方向なのだが、ここは水源の方が大事。思わず足早になってしまう。

 お風呂。お風呂。


「これは、川キュイね」


 ……そりゃあ、案内星の動きも早くなるはずだよ。


「何で洞窟に普通に川が流れているのよ!」

「洞窟内に川が流れているのは結構ある事キュイ。川の流れでできた洞穴なんてかなり一般的なんだキュイ」


 確かに鍾乳洞の成り立ちはそんな感じだって聞くけど、そんな学校の授業みたいな事を今言われても。


「しょうがないなあ。それでも水があるだけマシか。一旦ここをキャンプ地にしましょう」


 腰に下げていたマジカルスティッキを手にした私の前に、かなり慌てた感じでキュイが立ちふさがった。


「ちょっと待つキュイ! それは止めた方が良いキュイ!」

「なんでよ! 水が豊富にあるのよ? これで暫くは水に困らなくて済むじゃない」

「プルシェリアは何もわかっていないんだキュイ。川は危険キュイ。水だけ汲んでさっさと離れる事をお勧めするキュイ」


 人を迷惑キャンパーみたいな扱いしおってからに。河原でキャンプはアウトドアの醍醐味じゃない。川のせせらぎを聞きながら眠りに入るとか素敵だと思うなあ。まあ、イルカにはわからないだろうけど。


「こんだけ水があるんだから宿泊はダメとしても、温泉を作ってちょっと浸かるくらいなら良いよね?」

「お薦めはしないんだキュイ。でも、プルシェリアがどうしてもそうしたいと言うなら、僕は止めないキュイ」

「わかった。長居はしないから。ちょっと温泉に浸かるだけだから。ね」


 無言。賛同もしないし、許可も渋々という感じ。でも良いんだ。のんびり温泉に浸かって、ここまでの疲れを癒すんだ。日帰り温泉みたいなものよ。


「ミラクル マジカル ラララララ! 露天風呂になれ!」


 おほぉ! これよこれ! 河原の横の天然露天風呂!

 わあ、湯気が立ってる! 湯の加減も少し熱めで最高!


「ふひぃ。極楽極楽……キュイ、あんた、こっち向いたら殺すからね」

「プルシェリアは何もわかっていないんだキュイ……」


 うるさいなあ、こいつ。

 どうせだから、湯に浸かりながら、お酒呑んじゃおうかな。さすがにそれはキュイが黙っていないか。

 でも良い湯だなあ。

 少しヌルヌルしてて、良質の湯って感じ。


 ……ん? あれ? ヌルヌルしてて?

 入った時こんなにヌルヌルしてたっけ?

 え? これ、温泉じゃない!?


「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ! うわっ、うわっ! ス、スライムが!」

「言わんこっちゃないキュイ」

「あわわ……魔法で、魔法で……」

「水辺はスライムとヒルの有名な生息地なんだキュイ。ちょっと考えればわかりそうキュイ」


 だったら最初からそう言いなさいよ! このクソイルカが!


「ミラクル マジカル ラララララ! 卵になれ!」


 マジカルスティッキの先の星の飾りがクルクル回り、そこから小さな星が大量に噴出。あっちにもこっちにも飛んで行き、次から次へと卵に変わっていく。


「嘘っ! こんなにいたの!? ヤバぁ!」

「素っ裸でいたら風邪ひくキュイよ。さっさと服を着て、次の水辺を探すキュイ」


 とりあえず、ここの卵を全部潰して、魔石だけは回収しておこうっと。私は転んでもタダでは起きないのだ。


『プルシェリアのレベルがあがりました。魔力と体力が回復した。敏捷が上がった。知力が上がった。最大魔力が上がった』

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