11、王宮での夜
◆王宮の夜──君は僕のもの甘く狂おしい檻
広間から続く廊下。
静寂の中、フィリップはアリシアの手を強く握り締めていた。
「今日は侯爵家に戻る日だと思っていた?」
アリシアが答えられずに俯くと、フィリップの瞳は深い夜のように冷たく輝く。
「残念だが、君の家はこの王宮だ。
僕が君を守るために作った逃げられない檻だよ。」
彼の声は低く、甘美で、どこか凄絶な響きを含んでいた。
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部屋に入ると、すでに部屋はアリシア仕様に完璧に整えられている。
窓には厚手のカーテン、床には柔らかい絨毯、壁には殿下が選んだアリシアの肖像画。
ベッドは広く、いつも殿下が纏うムスクの香りが漂う。
フィリップはゆっくりと近づき、アリシアの腰に手を回しながら深く唇に唇を押し付けた
「この檻は、誰にも破らせはしない。
君がここにいる限り君は安全だ。
そして、僕だけのものだ。」
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そのままアリシアの肩にキスを落とし、彼の掌は柔らかく、しかし強く君の体を包み込む。
アリシアが少しでも離れようとすると、フィリップの目が鋭く光る。
「逃げられない。
君の心も身体も、僕が全部持っていく。」
彼の声は震え、そして甘く響く。
「だから、僕のものになってくれ。
ずっと、僕だけの君でいてほしい。」
◆侯爵家からの密かな報告
侯爵家では、アリシアの帰還が叶わず、侯爵夫妻が深くため息をついていた。
「フィリップ殿下の溺愛は想像以上だ。
だが、あまりにも過剰で我々ではどうしようも出来ない。」
使用人たちも、アリシアの新しい生活を聞くたびに恐怖と驚きを隠せなかった。