第63話「記録武装:セブンス・オーバーライド」
興味を持って覗いていただきまして、ありがとうございます。
作品ナンバー3。
ゆっくり投稿していきたいと思います。
《対“オーバーザーバー”、第一段階戦闘領域:転写済》
そこは空間でも時間でもない、記録の“合間”に存在する戦場。
この世界には、物理法則も、魔力の流れも、過去も未来も存在しない。
ただ、“観測されたもの”だけが力を持つ。
「やっとだな。やっと……この拳で未来を殴れる」
ゼインが静かに、《パラドクス・ドライブ》を構える。
その拳は、あらゆる矛盾と可能性を内包したまま、「今」だけを強く肯定する力。
《敵性存在:確定。記録武装起動——開始》
空間のひずみが《オーバーザーバー》の影を増殖させ、無数の「正しすぎる未来」が攻撃として放たれる。
■
最初にその中へ突入したのは、リオンだった。
「射線、4次元屈曲確認……でも、撃てばいい。撃ち抜けば、それが俺の“未来”になる!」
《ツイン・アーカイヴス》が光を裂き、複数の時空のパターンを同時に貫通する。
その弾丸は《自己否定された可能性》さえも打ち抜く超観測弾。
——過去、自分が恐れていたものを乗り越えた彼にしか扱えない力だった。
続いて、シアが展開する《ルーメン・クロニクル》。
彼女の記録は、世界のあらゆる“光”を参照・反射・偏向し、まるで図書館の知識がそのまま魔法になったような戦術を形にしていた。
「あなたが全記録を管理しているなら、逆に言えば……それを読み替えればいいのです」
彼女は静かにページを捲る。
“未来を否定された光”が《オーバーザーバー》の影を焼き払った。
■
「次は私の番ね」
セラ=アーデルが高く《イグジスト・コード》を掲げると、彼女の記録が空間に浮かび上がった。
——異世界転移以前の人生。研究。逃亡。孤独。
それらの苦痛すら、“記録”として武装化した彼女の力は、“存在そのもの”を書き換えるエディット・スキル。
「あなたの観測は、私たちの本当の姿を見ていない」
“記録にない未来”を上書きするように、セラの一撃が《オーバーザーバー》の装甲を貫く。
■
「終わらせるな……まだ、この物語は、続いてるんだ!」
レーフィ・シュタインベルクは《リベル・ノート》を構え、空間に文字を刻む。
彼女の武装は、すべての戦いの“意味”を剣にする力。
戦う理由も、守る想いも、記憶も、悲しみも——
「ここに書く。この一撃は、悠真たちと一緒に歩いた道の証!」
振り下ろされた剣が、空間そのものに“意志”を刻み、戦場を再構築する。
《オーバーザーバー》の演算が乱れる。
■
そして、静かに立ち上がったのはエリン・グレイス。
彼女の手にある《グレイス・クォート》は、すべての“観測された感情”を記録・具現化する力。
「私は、みんなの想いを綴る。言葉のひとつひとつが、力になると信じてるから」
彼女が空間に綴ったのは、仲間たちとの日々。出会い。約束。
その言葉の列は、まるで詩のように美しく、しかし鋭く、《オーバーザーバー》の“絶対”を断ち切っていく。
——言葉の力。それは、全記録の根源。
エリンの綴る《セブンス・ストーリー》が、記録の外側に新たな物語を描く。
■
「……よし、準備は整ったな」
最後に悠真が《インデックス・ゼロ》を構え、深く息を吸い込む。
「俺たちの選択は、間違ってなかった。それを証明するのは、これからだ」
七つの記録武装が、七つの光となって、彼の背後に展開する。
そして今、観測を超えた七人の力が——《オーバーザーバー》に挑む。
「行くぞ、みんな。最終観測戦、第2段階——開始だ!!」
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