第49話「観測者たちの戦場」
興味を持って覗いていただきまして、ありがとうございます。
作品ナンバー3。
ゆっくり投稿していきたいと思います。
──終末回廊。
各々が創記の試練を越えた瞬間、空間そのものが震えた。
時間の流れすら歪んでいるこの場で、異なる試練を超えた七人の存在が、同時に“ひとつの収束点”へと至った。
《警告:観測干渉値が閾値を超過──観測者と被観測対象の境界が曖昧化中。》
エーリカの声がこだまする。
だが、その警告すら──もはや無意味だった。
彼らはそれぞれ、記録武装を顕現させていた。
「記録武装:発現」
悠真の背後には、幾何学的な紋章が輝き、その中心から変化自在のエネルギーブレードが伸びていた。
彼のギアは**《クロノ・リフレクター:レコード・イレイザー》**。
過去に観測されたあらゆる動きを一瞬だけ“再演”し、“記録の差異”として干渉を無効化する力を持つ。
「こっちはもう準備完了だ。エーリカ、全感覚リンクを解除、外部制御もいらない。」
《了解。……やっと、君が本気になったわね、ユウマ。》
セラは白銀の機構体をまとい、掌に浮かぶレンズを通して“空間そのもの”を折り曲げる。
彼女のギア**《ミスティア・インテグラル:観測主機エクシア》**は、複数視点を同時に保持し、因果を結び直す力を持っていた。
エリンは微笑みを浮かべ、彼女のギア**《ルミナス・アーカイブ:夢記の綴弓》**を手にする。
心象と夢の断片を“記録”として具現化し、敵の認識そのものを歪ませる力を持つ。
「この世界がどれだけ歪んでも、私の見たものは消せない……それが“真実”になるのよ。」
ゼインは片目を閉じ、額に刻まれた記録紋章からコードを繋ぐ。
彼のギア**《ネクサス・デコーダ:オーバーレコード》**は、対象の記録を逆照射し、記録以前に遡る“存在否定”を可能にする。
「消える前に──俺が記録してやるよ。」
「リオンの戦場」
リオンは口元を引き締めながら、赤黒く輝く大剣を背負って立つ。
《リマインド・エッジ:戦刻の刻印剣》。
失われた仲間の記録を自らに刻み、その刃に“過去の戦闘経験”を上乗せして戦う力を持つ。
「お前たちの声、剣に乗せる。今度こそ、誰も──失わせねぇ。」
「交錯する真実と虚構」
突如、空間の中心に“虚像”のような存在が現れた。
《……観測者たちよ。ようこそ、“再記録領域”へ。》
その声はどこか優しく、同時に冷たい。
現れたのは──“リ・オブザーバー”。
かつて《観測者》だった存在が、自らの視点を多層化し、他者の記録に干渉する“再観測者”へと変質した異形。
その姿は人間の形をしていながら、常に七つの視点が空間に重なり合って存在していた。
《君たちが何を記録しようとも、観測しようとも……“私はそれをすべて書き換える”。それが“観測上書き”。》
そしてその背後──
“虚像の結晶”から、さらに三体の影が現れる。
観測干渉によって顕現した“上書き記録体”──かつての敵であり、既に“消えたはずの存在”たち。
■《黒の観測体:ヴァン・アーグ》
■《赤の記録改変体:リシア=ヴェルネ》
■《灰の思考干渉体:ノウ=マージ》
「これは……まさか、すべての“削除された記録”が再構築されてるのか!?」
悠真の声に、エーリカが即応する。
《否。これは“上書きの試練”。記録を手にした君たちが“本当に必要な記録”を選び取る試練。》
「始まる“再観測戦”」
七人の仲間たちは、自然と背を合わせるように布陣を整えた。
この戦いはただの“敵との戦い”ではない。
これは、記録という名の“自我”と“未来”を守る戦い。
観測する者として、記録する者として──そして、世界の目撃者として。
「来い……お前が何度書き換えようと、俺たちは何度でも、記録し直す。」
悠真の声に呼応し、全員の記録武装が光を放つ。
終末回廊が戦場と化す。
《──戦闘モード:全記録戦域〈フルレコード・フィールド〉展開。》
観測者たちの戦いが、ここに本格的に始まった。
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