第36話「再会の扉」
興味を持って覗いていただきまして、ありがとうございます。
作品ナンバー3。
ゆっくり投稿していきたいと思います。
――無音の空間に、ひとつの扉がゆっくりと開かれる。
まるで歯車のように軋む音を立てながら現れたのは、五つの通路を通過した者だけに許される“終末回廊”の最奥。
そこに、最初に姿を現したのは悠真だった。
記録の通路で見たすべてが、未だ胸に重く残る。
だが、もう迷わない。
自分が誰で、なぜここにいるのか。
その答えを得た今、前を向いて進むことができる。
「……来るかな、みんな」
と、最奥の広間に足音が重なる。
《やっぱり先に来てたのね、悠真》
凛とした声と共に、現れたのはシア。
かすかに傷ついたマントを翻しながらも、その目は確かな決意に満ちていた。
「シア……無事でよかった」
《犠牲ってのは、ただ何かを失うことじゃない。どう生きるかって話だったのよ》
次に現れたのは、セラ。
記録に閉ざされた過去を暴き、真の自己と向き合ったその瞳は、今までよりも遥かに優しく、強かった。
《悠真、シア。……会えて、良かった》
「セラ……!」
続いて現れたのは、エリン。
儚げな雰囲気の中に、確かな光を宿した少女は、無言で二人に微笑む。
そして、その後ろから最後に姿を見せたのは、レーフィ。
「遅れてごめん。通路の“真実”ってやつは、ちょっと厄介だったから」
彼女はいつもの皮肉めいた口調を装いながらも、その表情の奥にほんの少しだけ、温もりが滲んでいた。
五人はそれぞれ、異なる試練を乗り越え、互いに再び対面する。
一人一人が抱えていた葛藤や痛みは、もう“ただの過去”ではない。
それは確かな意味を持った、彼らの“現在”を形作る礎となったのだ。
「……そろった、ね」
「うん、全員……無事で、本当に良かった」
その瞬間、広間の中央にあった台座が淡く光を放つ。
中央に浮かび上がるのは、円環を描くように重なった五つの紋章――それぞれの通路で手に入れた“鍵”が共鳴していた。
「これが、次の扉……?」
彼らの前に、新たな道がゆっくりと開いていく。
その向こうに何が待ち受けているのか、誰にもわからない。
だが、もはや怯える者はいない。
「行こう、みんな」
悠真の言葉に、他の四人がうなずく。
この瞬間、五人はようやく“選ばれし者”ではなく、ひとつの“運命共同体”として結ばれたのだった。
そして、静かに、確かに――彼らは、扉の向こうへと足を踏み出した。
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