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第28話「深界層アルディアと再起動の扉」

興味を持って覗いていただきまして、ありがとうございます。

作品ナンバー3。

ゆっくり投稿していきたいと思います。

ラグナ・リリスが深界層への潜航を開始すると同時に、艦内の雰囲気が一変した。

それは圧迫感というより、まるで「空間そのものに意志が宿っている」ような感覚だった。


《深界層・アルディア圏域への侵入を開始します。周囲の空間構造は“意図的に生成された迷宮型”。警戒を》

エーリカの報告に、艦内の各部署が一斉に緊張する。


「意図的に……? つまり、誰かが作ったってことか?」


悠真の問いに、セラが端末を確認しながら頷く。


「古代の設計ログが断片的に読み取れる。ここは“最終記録保管層”……何かが、この場所を“守ってる”」


「それって、敵がいるってこと?」


エリンが腕を組みながら問う。


「少なくとも、歓迎はされてないね」

シアが剣の柄を軽く叩いた。


その時、艦内スクリーンに巨大な構造物が映し出された。


それは、まるで神殿のように精緻で、だが深海の闇に溶け込むような存在感――


「……あれが、“再起動の扉”」

レーフィが呟くように言った。


《構造物内に旧世界の記録端末、およびコアユニットの痕跡を確認。アクセスに認証が必要です》


「私が行く」

レーフィが一歩前に出た。

「ここは、私の……記憶の中にある」


彼女の言葉には、どこか覚悟の色が混ざっていた。


「俺たちも行くよ。独りにはさせない」


悠真の言葉に、微笑むレーフィ。



扉が開くと同時に、彼らを迎えたのは“記憶の光”だった。


膨大な映像記録。

崩壊した世界。

人工海底都市。

そして、人々の絶望と、最後の希望として建造された魔導潜水艦――《プロジェクト・ラグナ》。


その中に、ある少年の姿が映っていた。


「……それ、俺……?」


悠真が凍りついたように立ち尽くす。


映像の中で、彼――悠真と酷似した少年は、深層記録に鍵を与えられていた。

「選ばれし者」ではなく、「記録を繰り返す者」――


《彼は、唯一“繰り返し記憶を託されてきた”存在。ラグナの記録者にして、未来の観測者》

エーリカの解析が告げる。


「俺は……転移したんじゃないのか……?」


「違う。あなたは“戻った”の。断絶された時間の彼方から」

レーフィの瞳が、静かに揺れた。


セラが隣に歩み寄る。


「この艦も、あなたも、そして私も――“再起動のための布石”だったのね」


「じゃあ、この“扉”を開ければ、何が起こる?」


「すべての記録が統合される。そして、“観測の意志”が目覚める」


「それは……この世界にとって、良いことなのか?」


答えはなかった。

沈黙の中、扉の中央に刻まれた“認証孔”が淡く光る。


悠真が手をかざすと、艦内全体が共鳴を始めた。


《最終認証確認。“観測再起動”プロトコルを実行しますか》


その問いに――


「俺は、もう逃げない。再起動するよ。この世界の記憶を、繋ぐために」


《認証確認。再起動開始》


深界層全域に、光が走った。


ラグナ・リリスの中枢が解放され、艦そのものが変化を始める。

艦の外装が展開し、新たな浮遊構造と融合し、“進化”するような動き。


「これは……ラグナの“真の姿”……!」


誰かがそう呟いた瞬間、世界がわずかに軋んだ。


――その先に待つものは、新たな敵か、それとも答えか。


だが、扉は開かれた。


そして物語は、再び加速する。

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過去の2作品も、興味がありましたら覗いてやってください~。

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