表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/110

第103話「深淵の門、再び」

興味を持って覗いていただきまして、ありがとうございます。

作品ナンバー3。

ゆっくり投稿していきたいと思います。

《エネルギー循環系、正常。中枢航行炉、再始動完了》


 


《艦体自己修復率、81%。魔導結界層の一部に亀裂あり》


 


次々と点灯していくコンソールの光が、

再び《ラグナ・リリス》の命が脈打ち始めたことを告げていた。


 


「間違いない……目覚めたんだな、ラグナ」


リオン=カーディアは、かつて自分の座っていた副艦長席に手をかける。

その背後ではエリン=グレイスが、記憶装置の起動を補助していた。


 


「だが……この反応、妙に重い。

まるで艦そのものが、“底なしの何か”に触れているみたいだ」


 


《接続ログ:深淵域より干渉波検出。未確認魔導式との接触を記録》


 


「深淵域……ゼインたちが向かったあの最深層か」


 


そのとき、ブリッジのメインモニターが自動的に切り替わった。

そこに映し出されたのは――黒霧に包まれた空間。


虚空に浮かぶ“門”のような構造体が、ゆっくりと開いていく。


 


「これは……?」


エリンが息をのむ。


 


《観測不能領域“門番機構”からの信号受信。対象:ゼイン=コード、シア=ファルネウス》


 


映像が切り替わる。

そこには、次元の狭間を渡るゼインとシアの姿があった。


 


◇ ◇ ◇


 


――数時間前、深淵域・第零階層


 


シア=ファルネウスは、身体を魔導障壁で覆いながら、歪曲空間の干渉波を遮断していた。


ゼイン=コードはそのすぐ隣で、艦外用の魔導端末を用いて、次元門への接続を試みていた。


 


「ここが……“門番”のいる場所……?」


「厳密には、“門そのもの”が生きている。俺たちに試練を与えてるんだ」


 


その瞬間、次元空間が歪む。

まるで心臓が脈打つように、門の奥から“意志”のようなものが流れ込んできた。


 


《――資格なき者、退け》


 


「来たな……!」


 


ゼインが構えを取る。

その手には、かつてリオンから託された“識別印章”が輝いていた。


 


「だが俺は、“記憶を捨てた”ことでここに来た。

もう迷いはない。前へ進む!」


 


黒の風が渦巻く。

虚空から現れたのは、かつての《異端技術》で構成された魔導兵――虚数戦騎ヴァルグレア。


 


シアが駆ける。

雷撃を纏った蹴りが、ヴァルグレアの装甲に衝突する。


「ゼイン、今のうちに!」


 


「任せろッ!」


ゼインは印章を掲げ、魔導式を展開する。


空間が断裂し、反転するように《ラグナ・リリス》の座標と接続する閃光が走る――。


 


◇ ◇ ◇


 


「ゼイン=コードとシア=ファルネウスの座標を捕捉。

現在、次元融合ポイントに到達中」


《航行炉に波動干渉。転送軸が開きます》


 


リオンは静かに立ち上がる。


「――連れて帰るぞ。俺たちの仲間を、全員」


 


その瞬間、ブリッジの艦内照明が一段暗くなり、

魔導回路が深紅に染まる。


 


《外部接続中の構造体が“艦の中枢”へと接続を試行中》


 


「……何者かが、《ラグナ・リリス》を“媒介”にしようとしている?」


 


「深淵が……艦を使って、現世へ出ようとしてるの?」


 


エリンの声が震える。だが、リオンの目は静かだった。


 


「だからこそ、今――俺たちがここにいる」


「……ええ。必ず止めましょう。

だってこの艦は、誰かの犠牲の上に成り立ってるのだから」


 


再起動した《ラグナ・リリス》が、

深淵との最終対話へと舵を切る――。

ブックマーク・評価・いいね、出来れば感想とレビューをお願いします!

モチベーション向上のため、よろしくお願いします!!

過去の2作品も、興味がありましたら覗いてやってください~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ