苺
藤原 雪音はまどろみの中にいた。
奇妙なほどに心地よく、そして穏やかだ。
だが、そんな時間にも終わりはくる。
段々と現実が夢の世界に侵食していく。
(……硬い。)
彼女は背中から感じる硬度に不快感を覚えた。
岩の様にごつごつとしていて、ベッドには適さない。
彼女はようやく目を開けた。
そこは『闇市』の北区だった。
先程いた場所とは少しばかり離れているようだが、上品な装飾は紛れもなく『闇市』のそれだった。
一つ違和感があるとすれば、そこが阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた事だけだ。
(なんだ? 人が逃げ回っている。死体もそこかしこに転がっているし、壁や天井も破壊されている。)
彼女は自身の姿を見た。
その姿は、周りにあるようなしたいと何ら変わらない様な様相を呈していた。
つまり、皮膚は剥げ、内臓は体外に撒かれ、四肢は存在しなかった。
誰かが彼女を見れば、それは下手人にやられたのだと思うだろう。
だが、その姿は彼女自身が作りあげた物だった。
自己再生はまだ終わっていない。
今作られているのは、脳と目と内臓と骨くらいだ。
だからこそ、死体の様に見える。
これから死ぬ者と、再生する者。
その途中だけを切り取れば、どちらも同じに見える。
彼女はしばらくの間そうしていると、突然悲鳴が響いた。
そうではなかった。
耳が再生したのだ。
そして腕や足なども再生し、ほとんど元に戻った。
問題はただ一つ。
彼女は一糸纏わぬ姿をしていた。
生まれたままの姿で徘徊する訳にもいかないので、そこら辺の死体から服を剥ぎ取り、それを着た。
その死体が鏡を持っていたので、それで自分の姿を確認すると、どうやらおかしな事があった。
「髪の色が……、変わっている?」
それは血の様にドス黒い赤。
彼女の黒髪に赤みが帯びていた。
「まあ、いい。取り敢えず、散策か。マナちゃん無事かなぁ。」
彼女が寝ていたのは巨大なホールのような所だった。
彼女は直感的に、オークション会場だと思った。
恐らく元は上質なカーペットでも敷いてあっただろう場所は、至る所がボロボロにされており、周囲には瓦礫が転がっていた。
既に客は全員が避難を終えており、避難できなかった客は死体になっていた。
「しっかし、随分とデカいオークション会場だなぁ。」
藤原 雪音が会場を見渡していると、突然爆音が鳴り響いた。
それに連鎖する様に、上空から悲鳴が聞こえてきた。
「助けてぇぇ! 落ちる! 落ちた! 死ぬぅぅぅ! お嬢様ぁぁぁぁぁ!!」
それは若い女性の声だった。
藤原 雪音は反射的に『U・F・O』を出し、それをキャッチしようとした。
しかし、それは若い女性が持っていた木の剣に弾かれた。
幸い、その女性は反発力のお陰で助かった様だった。
それに間髪入れず、別の物が落ちてきた。
仮面の男だ。
彼は頭から地面に激突したが、すぐに起き上がった。
「ふぅ…......助かりましたね。......おや? あなた先程の........何で生きてるんです?」
「生き返った。」
「正真正銘の化け物ですね。」
「あ、あの〜」
そこで木の剣の持った女性が声を上げた。
「仮面の人、さっきまで理性が死んでませんでした? 何を普通に喋ってるんですか? あ、私の名前は雫 愛美です。」
「あ、これはどうも。私は藤原 雪音です。」
「私も自己紹介したほうがいいですかね?」
「いらねぇよ、ぶっ殺す。」
藤原 雪音が『U・F・O』を構え、一触即発な雰囲気の中、それを止める様に爆音が鳴った。
「クソッ! 何なんだ? さっきから!」
「これはー、『暁の化身』がー、暴れているのー。」
藤原 雪音がその声が聞こえた方向を向くと、そこには気だるげな表情をした女性がいた。
「『暁の化身』?」
「それはー。」
「おい、藤原。そいつと会話するな。」
さらに声が増える。
そこには先生と、白スーツの男がいた。
「何なんだ? 何が起こっている? 何でここに先生が?」
藤原 雪音が後退ると、何かを踏んだ。
「うぎゃっ!」
それは寝転んでいた少女だった。
どことなく肉付きのいい少女だ。
藤原 雪音に踏まれた事で目を覚ましたようだ。
なぜこんなところで寝ていたのか、それは誰にも分からない。
「……。」
「藤原、俺が説明しよう。」
先生が声を上げる。
「あれはついさっきの事だ―――」
先生、東雲 銀時、そして木城 瑠璃は、『暁の化身』を警戒していた。
お互いにアイコンタクトを取り、一時休戦とした。
『暁の化身』が居ては、どうしようもない。
最大の脅威を排除するため、三人は協定を結んだ。
だが、無意味だった。
「ふむ、どうやらお前たちは教える気がないようだな。」
『暁の化身』からすれば、三人が『龍の逆鱗』について知っているかどうかは関係がなかった。
ただ己に利するか、それだけだった。
それは『能力』を解放した。
「『PLASMA』」
現れたのは炎。
煌々と紅蓮に輝く炎だ。
尋常でないのはその大きさだ。
天まで昇る白色の柱は、邪魔者を排除せんと三人に襲いかかった。
「と、まあこんな所だ。」
「なるほど? よく生きていましたね。」
「ああ、俺の『能力』、『Parasite』は寄生した対象のエネルギーを吸収できる。それで軽減できた。まあ……。」
先生は右腕を藤原 雪音に見せる。
そこには腕が付いていなかった。
「膨大なエネルギーに肉体が耐えきれなかったがな。ともあれ、右腕欠損だけで済んでよかったよ。」
「ヤバいっすね。」
「そうだ。ヤバい。だからこそ、今は協力しないか? 『暁の化身』を倒さないと全員死ぬぞ。」
藤原 雪音は一瞬考え込んだが、直ぐに結論を出した。
「他の人達もそれでいいならいいですよ。」
「ここにいる全員に申し出る。『暁の化身』を倒すため、協力しないか?」
彼女が周りを見ると、誰が異論を唱える事もなさそうだ。
ここにいるのは7人。
「7人でどうにかなるか……?」
「あのー、もう一人ー、来ると思うー。」
「何っ!?」
「生命探知にー、引っかかったー。」
その時、風を切るような音が上空から聞こえた。
それは重力による加速に加え、更に加速をしていた。
超速降下で降り立ったのは、どことなくヒーローのような恰好をした男だった。
「HA! HA! HA! お待たせした! 私はジャスティスウィング! ヒーローだ! 私が来たからにはもう大丈夫だ! 恐ろしい化け物に身を縮こまさせられることはない! 私は強きをくじき、弱きを助ける! 私がヒーロー! ジャァァァスティィィィィス!! ウィィィィィィング!!!」
「うるさ。」
「だが、一人増えたところでな……。」
「おっと! そこのナイスガイ! 私が居ればどんな問題も解決さ!」
「でもー、周りにはー、もう誰もいないー。彼をー、使うしかないー。」
「あの、少しいいですか?」
雫 愛美が手を挙げた。
「私、非戦闘員なんですけど。」
「…………それじゃー、作戦会議をー、始めよー。」
「無視!? 本当に!? 私戦えないって言ってんのに!?」
「えいー、『Designer』」
『悪魔』が『能力』を発動させる。
その『能力』は、過去に彼女がとあるデザイナーから奪った物だ。
『Designer』は、物体を生み出す『能力』。
生み出した物体の耐久度は低いが、その分幅を利かせる事ができる。
『悪魔』はそれを用いて、円卓を作り出した。
席の順番は『悪魔』、藤原 雪音が踏んだ少女、藤原 雪音、雫 愛美、白スーツの男、先生、仮面の男、ジャスティスウィング、そして『悪魔』へと戻る。
「さてー、まずは自己紹介をー、しようかー。じゃあー、私からー。私の名前はー、■■■■■■■■■■ー。よろしくー。」
「は? 今なんて?」
「気にしないでー。次―、時計回りでー。」
「あっはい! 私ですね!」
『悪魔』の右隣に座っていたのは藤原 雪音が踏んだ少女。
「わ、私は松坂 結梨と申します……。えっと、『魔女会』に所属していて、『丑』の担当です……。よろしくお願いします。」
彼女は話している内に緊張が解れたのか、話し始めは噛んでいたが段々とスムーズになった。
「あ、それと、チーム名を決めるなら、『ストロベリーズ』が良いです。理由は今苺が食べたいからです。」
「それ、決める必要ありますかね?」
仮面の男が横槍を入れる。
それに反論したのは松坂 結梨ではなく、藤原 雪音だった。
彼女は立ち上がり、仮面の男に吠えた。
「チーム名はいるに決まってんだろ。ごみの癖に一丁前に茶々を入れてんじゃねぇよ!」
「藤原、席に着きなさい。」
「おっ『火星人』が先生みたいなことしてんな。いや? 本当に先生だったな。」
藤原 雪音をたしなめようとした先生に、今度は白スーツが噛みついた。
「あ゛あん? 地球人が舐めやって……。」
「お? やるか? 『暁の化身』が居なきゃお前は私に負けてたのによぉ。」
「うわぁ、この人たち協調性の欠片もない……。これならまだお嬢様に振り回される方がましかも。」
「HA! HA! HA! 元気がいいな!」
「仲裁をしなさいよ、ヒーローでしょ?」
「HA! HA! HA! 強大な力に圧倒される弱者を救うことがヒーローの役目さ!」
「もうやだぁ、この人たち……。」
「あのぅ、『ストロベリーズ』は無しでも……。」
松坂 結梨のか細い声は、怒声と罵声の飛び交う円卓に弾かれ、誰の耳に入る事も無かった。
見かねた『悪魔』は、一つの『能力』を発動させた。
「『Explosion』」
円卓が爆発した。
「さてー、落ち着いたのでー、自己紹介をー、再開しますー。」
円卓の8人は、先程までの喧騒が嘘の様に静まり返った。
爆発を受け、冷静になったのだ。
今は争っている場合ではないと。
「私は藤原 雪音。所属とかは無い。」
「なあ、少しいいか?」
白スーツの男が手を挙げる。
「お前は『龍の逆鱗』に何を求めるつもりなんだ? 他の奴らは所属から何となく分かるが、お前は違う。」
「え、求めるとかは無いけど。」
「え?」
「いや、なんか親友二人がそれ絡みで変な事に巻き込まれてるっぽいから探してるだけ。『龍の逆鱗』自体に興味はない。」
「はー、愚か者の所業だな。」
「好きに言えば? 愚者でもなんでもどうでもいい。私はただ平穏が欲しいだけ。マナちゃんとメグちゃんがいればそれで幸せだから。」
それだけ話すと、手を振って次を促した。
「あ、私は雫 愛美です。所属は『愛の果実』。まあ、『暁の化身』を倒すまではよろしくお願いします。」
「はいー、じゃあ次ー。」
「ああ。」
白スーツの男が話しだす。
「私は『Golden Ring』の東雲 銀二だ。よろしく。」
「次―。」
「俺は『火星人』、曲 玉だ。」
「へぇ、『火星人』にも名前があるんだな。」
またしても東雲 銀二が茶々を入れる。
だが、今度は曲 玉が怒ることは無かった。
「まあ、地球上で活動するには名前がある方がいいからな。」
「ん? じゃあ本名じゃないのか。」
「ああ、本名は#U21だ。」
「そうか。」
「じゃあー、次―。」
仮面の男が立ち上がる。
そして仰々しく礼をした後、自己紹介を始めた。
「私は『Another World』のヒック・ヘンダーソンでございます。以後お見知りおきを。」
「最後―。」
「HA! HA! HA! 私が最後とは趣深い! やはりヒーローは遅れてやってくるものだからな!」
「ジャスティスウィングはー、さっき自己紹介してたからー、飛ばすねー。」
「待って欲しい! 本名を言っていない! 右左 平二だ! よろしく!」
「よしー。それじゃー、纏めるよー。」
『ストロベリーズ』
【警戒】 『悪魔』 ■■■■■■■■
【悲嘆】 『魔女会』松坂 結梨
【驚愕】 『愚者』 藤原 雪音
【愛慕】 『愛の果実』 雫 愛美
【恐怖】 『Golden Ring』 東雲 銀時
【嫌忌】 『火星人』 曲 玉
【激怒】 『Another World』 ヒック・ヘンダーソン
【歓喜】 『ジャスティスウィング』 右左 平二
「結局『ストロベリーズ』になったんですね……。なんか申し訳ないです。」
「何だ? このコードネームみたいな奴。俺が【嫌忌】?」
「コードネームだよー。」
「私は『愚者』で決定なのか……。まあ、いいけど。」
「私が【愛慕】って、絶対名前だけで決めましたよねっ!」
「HA! HA! HA! いいじゃないか!」
「ふむ、何でも良いのですが、私が【激怒】とは納得できませんね。」
「いや、俺とあんたは『能力』的に順当だろ。」
そうして、『ストロベリーズ』は結成された。
管制室にて、『Golden Ring』の二人と、『魔女会』の二人が睨み合っていた。
お互いの『能力』を警戒し、緊張が続いていた。
それを破ったのは、『魔女会』の上代 美衣奈。
「LA〜LA〜LA〜……。」
それは歌だ。
彼女の大きいとは言えない掌に、兎をモチーフとした様なマイクが握られていた。
上代 美衣奈が歌い始めると同時に、何処からか音楽が鳴り出した。
それに追従するかの如く、影が歪み始める。
揺らぎ、靡き、やがて影は顕現する。
その影が波北 修三郎に襲いかかった。
「っ! これが魔女の持つ『音楽の力』、か!」
波北 修三郎は眼前に来た影に対し、一切の回避行動を取らなかった。
影が波北 修三郎の顔面を切り裂こうとする瞬間、影が切断された。
だが、完全に切断しきれた訳では無かった。
中途半端に繋がったその影は、軌道を歪めながら波北 修三郎の腹部を切り裂いた。
切り裂かれた彼の服が、血に染まっていく。
とてつもない出血量だが、波北 修三郎はそんな事を意にも介さず、手を握ったり開いたりしていた。
「ふむ……、やはり鈍ったか……。」
「ふんっ! まあおじいちゃんをイジメるのは趣味じゃないわ。次で終わらせてやる!」
上代 美衣奈はもう一度歌い出す。
今度は先程よりも多い量の影が、波北 修三郎を襲った。
またもや波北 修三郎は動かない。
動けないのだ。
彼は年老い、その身体は既に病魔に蝕まれている。
その上、腹部を負傷した。
彼はもう、動けない。
そして、無数の影が波北 修三郎を覆い尽くした。
「やったか……?」
「ふむ、やはり衰えたか……。歳は取りたくないのぅ。」
「!」
それでも、その男は生きていた。
無傷だった。
先程切り裂かれた傷も癒え、五体満足の状態だった。
「なんでっ!」
「なるほど……、これが波北 修三郎の力、というわけね。」
古崎 愛美がボソリと呟く。
その声を聞いた上代 美衣奈は波北 修三郎から目を離さず、聞き返した。
「つぐみ姉様、知ってるの!?」
「彼は四天王最強の男。かつては『天狗』と恐れられていたそうよ。」
「ガハハハッ! ワシも有名になったものだな!」
(なーに笑ってんだ? この爺さん。さっさとこいつら殺せっ!)
波北 修三郎が右手を前に出す。
そして、攻撃が始まる。
その一瞬前、地震が起こった。
「な、なに!?」
全員が戸惑い、そして周囲の物に捕まった。
管制室には映し出されていた。
炎が。
巨大な炎が。
それが、管制室目掛けて移動を始めた。
「……なあ、爺さん。」
「……なんじゃ?」
「……あれ、ヤバくね。」
「……ヤバいのう。」
「こんな所にいられるかっ! 俺は逃げるぜ!」
「それは得策とは言えませんわ~。」
声が響く。
それは『魔女会』と『Golden Ring』の丁度間にいた。
「誰だお前は!」
「わたくしは『愛の果実』、一ノ瀬 愛美ですわ~。」
一ノ瀬 愛美がいつの間にか現れていた。
「この子、どこから……。」
「おい、そこのお前! 敵ならぶっ殺す!」
「あれはそう……、少し前の出来事ですわ〜。」
一ノ瀬 愛美が唐突に語りだす。
「は? 聞けよ!」
「美衣奈、落ち着きなさい。隙を見せたのがいけないのよ。」
一ノ瀬 愛美と雫 愛美は仮面の男――ヒック・ヘンダーソン――と対峙していた。
ヒック・ヘンダーソンがその呪詛を撒き散らそうとしたその時、炎が壁を突き破り、迫ってきた。
その炎が3人を焼き尽くそうとした時、全員がその『能力』を駆使し、生き残った。
一ノ瀬 愛美が発動した『能力』。
それは『Flexible Sword』の端から2番目の『能力』。
そこに位置する眼が黄色に光った。
それは転移の『能力』だ。
自分の居べき場所へと自動で転移される『能力』。
そして、彼女は管制室へと来たのだ。
「そういう訳ですの〜。」
「こいつ……! マイペースだな。」
「と言う訳で、全員で協力しますわ〜。」
皆、協力する事には抵抗がある様だが、そうしなければ『暁の化身』を倒す事が困難であると理解している。
だからこそ、誰も異論を唱えない。
「そうだな、それじゃあ作戦会議でも――。」
南原 総司がそう言いかけたが、途中でそれは遮られた。
遠くから異音が聞こえる。
それはだんだんと近づいて来ている様で、大きくなっている。
どうやらそれは人の声に似ている。
いや、人の声だ。
叫び声が近づいて来る。
「――ぎゃああああ!! 助けてぇぇ!!」
全員、外に出る。
そして空を見上げた。
人が降ってきていた。
「ああああああ!! クソッやるしかない! やってやる!」
それは女だった。
彼女が地面に激突する寸前、叫んだ。
「次元間移動!」
彼女らは次元間を移動し、別の場所へと瞬間移動できる。
しかし、距離に制限があり、遠くの場所まで行くことはできない。
だからこそ彼女は地面とキスをする寸前で次元間を移動したのだ。
現れた場所は、古崎 愛美の足元。
その瞬間、彼女の横に強力な衝撃があった。
「どうもですわ〜。わたくしは一ノ瀬 愛美ですわ〜。」
「ああ、これは丁寧にどうも。私は木城 瑠璃だ。」
「あなた『龍の逆鱗』を所持していますのですわ〜。」
「い、いや……、持っていない。」
「あなたがこの方の足元に転移して来たのには理由がありますわ〜。」
「それは偶然だ。」
「『龍の逆鱗』同士はお互いに引き合いますわ〜。あなたはどうやら『龍の卵』ではないですの〜。つまり、『龍の逆鱗』を所持しているとしか考えられませんわ〜。」
「……。」
沈黙が続く。
だが、そんな余裕は誰も持っていない。
『暁の化身』がすぐに迫って来てしまう。
「はぁぁぁ……、そうだよ。私は『龍の逆鱗』を持っている。」
それを聞いた全員、目の色を変えた。
しかし、この場ではだれも動かない。
『暁の化身』を打ち倒すまでは。
そして、戦いは始まった。