第0話 壊された日常
初めて書くので少々お見苦しいところがあるかもしれせませんが、楽しんで頂けたら幸いです。
第0話ということもあって短いです。ご了承ください。
「斉藤走馬」
「はい!」
何度もやらされた練習どおりに卒業証書を受け取り、自席に戻る。
席に座ると後ろから声をかけられた。
「めっちゃ緊張するんだけど」
話しかけてきたのは神崎春美。入学式で一目惚れしてから3年間。
この式が終わったら告白しようと思っている。
慌てて何か言葉を返そうとしたその時、聞いたこともないような大きい音が聞こえ、驚く暇もなくとてつもない衝撃に襲われた。覚えているのはここまでだった。
眩しい。目を開くと見覚えのない景色が広がっていた。
体も動かない。まるで何十キロもあるおもりが体にのっているかのような感覚だった。
「先生!走馬さんが目を覚ましました!」
誰かが叫ぶとすぐに誰かが駆け寄ってくる音が聞こえた。
どうやらここは病院らしく、先生と呼ばれた男は医者だったようだ。
その医者からあの日俺の身に起こったことを説明された。
クラバト帝国という地球外の星からの威嚇攻撃に巻き込まれたこと。
奇跡的に外傷が少なかったが頭に強い衝撃が加わったことで1年以上眠っていたこと。
そして・・・俺以外はだれひとり助からなかったこと。
「春美もですか?春美も助からなかったんですか?」
「その春美という子が誰なのかはわからないが、あの場にいた君以外の者は全員爆撃によって死亡したと聞いている」
「そんな・・・」
医者の話を聞いた瞬間とてつもない喪失感と怒りが湧いてきた。
どこにぶつけたらいいのかわからない感情に暴れたくもなったが、1年以上眠っていた俺の筋肉は布団を何十キロもあるおもりだと感じるほどに衰弱していた。
何もできない自分の無力さに、さらに怒りが湧き、ただ泣くことしかできなかった。
もし面白そうだなと思っていただけたら。第1話を楽しみにしていてください。