たとえ一握りでも
◯pixivにフリー台本として載せているものになります。
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沢山の人が暮らすこの世界。
沢山の思想が渦巻いて。
小さい頃、両親は言った。
「他人の痛みがわかる人間になりなさい」と。
「自分がされて嫌な事は他人にしてはいけない」と。
大きくなった今、沢山の事を学び、経験し、出会って、別れて。
ふと振り返る。
私はこれまで生きてきて、どれだけの思いを汲み取り、どれだけの思いを捨てたかと。
どれだけの言葉を並べ、ナイフを突き立てたかと。
取捨選択。と、いい言葉で纏めても、手から溢れた思いは砂のように落ちて形をなくして。
そのあまりの多さに呆然とする。
せめて、この手に残った砂たちは大切にしたいと、ゆっくり宝箱に移して。
大切に抱きしめる。
今度こそ、溢したくない。
傷付けたくない。
今度こそ、ナイフじゃなく、花をキミに届けるよ。
だからどうか笑ってくれませんか。