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転生したらエルフの姫でした8

「え…女の子…?」

8歳位の女の子がこちらを真っ直ぐな目で見つめてくる。


「ぉお〜ようやく出てきたね。この子が新しい属性の精霊だよ〜。見た目はまだ小さいなぁ…名前は分かる?」

サンの質問に女の子がしばらく黙った後首を横に振る。


「サン、名前ってどうしたらいいの?」

「んー、この子の場合新しい属性だから前任者も、いないからねぇ…ルーズが考えていいと思うよ?」

良いのだろうか。

その子をチラリと見るとこちらをジーッと見つめている。そもそも何の属性なんだろう……


「そもそも何の属性なの?」


そう聞くと女の子が地面をポンと叩く。

地面から瞬く間に1本の木が生えた。


「ぉおー!これは樹属性になるのかな…?初めて見たよ!この魔法自体成長を促すっていう形での術式も入ってるけど、生み出すって形もあるみたいだし…面白いなぁ」

生えてきた木を眺めては嬉しそうに足でチョイチョイと触っている。サンでもハッキリと分からないらしい。

名付けかぁ…んー……

自然…緑…木…リーフ…


「リーフなんてどうかな?」

そう聞くと女の子は頷いてくれた。

良かった。

「じゃあ改めて、リーフ宜しくね。えーっと私はルーズって名前で、こっちがサンだよ。」


「よろしくねぇ〜」

尻尾を振りながらサンがリーフの足元に移動する。


「よろしくお願いします。」

リーフがぺこりと頭を下げる。


お!?うぇ!?

「しゃべったぁぁあ!!」



「そりゃねぇ〜精霊は生まれた時からある程度の知識はあるんだよ。持って生まれてくる力が強い分、何も分からない状態だと危ないでしょ〜」

やれやれと頭を振りながらサンが話す。


なるほど…確かに…。

そうなんだけど、話さないから話せないのかな?と思ってて……

まぁでも、いきなり訳も分からず魔法をぶっぱなされても困るし、群れて育つことも無いからかぁ…。



「魔力を送ってくれていたのはルーズ様かサン様でしょうか?」


「いや、私じゃなくて父様だよ。父様が光の精霊王だからね。サンも光の精霊だけど今は私の事を守ってくれる為、使い魔になってくれてるんだよ」


「そうなのですね。」


「ねぇ、リーフ。ここだと1人だし、私たちと一緒にこない?」


そう聞くと、リーフはしばらく下を見つめ考えた後にこくりと頷く。


良かった。 父様との約束も無事に果たせそうだ。

11日かかった道をまた、戻るにしてもリーフの体がまだ小さい為どうしよう…歩くスピードもまだ遅いだろうし。


「ねぇサン、あのねリーフを乗っけれる位大きくなる事って出来る?」

その提案は予想外だったのかあからさまに嫌そうな顔を向けてくる。


「出来るけどさぁ。んー…。あれ疲れるんだよねぇ」


大きくなるのは、魔力をその分使うから疲れるのだそうだ。

「お願いっ!リーフも魔力があるにしても歩幅はやっぱり小さいし魔物に襲われたら困るしさ…お願いっ!」

手を胸の前で叩いてチラッと目を開けて伺う。

しばらく考える素振りの後に、仕方ないと観念したのか横に転がりながらこちら見てる。



「猫使いが荒いなぁ〜まぁ魔物に襲われたりはないと思うけど移動速度が遅くても危ないしなぁ。分かったよ。任せて。」

サンがそう良いクルッと空中で宙返りをすると、大型犬を二周り大きくした位の大きさに変身する。


「おぉ!凄いサンのモフモフ度が毛が伸びて進化した!ただ落ちないようにしなきゃだね。」


リーフに魔法で蔓の紐をを出してもらって乗ってもらい、風圧で飛んでいかないように風魔法で、リーフを覆う。

動物と幼女の組み合わせが、可愛い……癒される…



行きは11日かかった道だけど、帰りは8日で帰ってこれた。

大きくなったサンが早くて…途中楽しくなってきたのかどんどんスピードを上げられて……走ることも鍛錬になるからと1日ぶっ通しで寝る時とご飯以外ずっと走った。

流石に帰りは魔物除けを使ってても何も言ってこなかったのが救いかなぁ……


ヘトヘトになりながら無事に戻って来れて父様が、出迎えてくれる。

「おかえりルーズ、母様。そして初めまして。新たな精霊よ。とりあえず話の前に荷物を置いて着替えでもしておいで。疲れただろ?」


その言葉に甘えて、リーフと軽くシャワーを浴びて着替えて父様が待つ部屋に行く。サンは疲れたから休むと来なかった。


「父様お待たせしました。こちらが新たな精霊のリーフです。」


「初めましてリーフ。私は光精霊の、ルイです。ルーズの父になります。君が生まれたことが分かって魔力を送ってたんだけど、無事にこうして会えて嬉しく思うよ。君の生まれた使命は分かるかい?」


「初めまして。ルイ様。使命…ですか……。分かりません。」


「ちょっといいかな?」

父様が確認しリーフのおでこを触り目を閉じる。


「やっぱりか…リーフ…君が生まれた使命なんだけど、どうやら精霊樹がゆっくり弱まってきていて、その精霊樹を守るためみたいだね…精霊樹が弱まるなんて初めてだよ…」


「父様、少し良いでしょうか?使命とは…?」


「そもそも精霊とはこの世界を守るため精霊神が作ったものだというのは分かるね?だから新しい属性が生まれるってことはこの世界に何か起こっているということなんだ。だから生まれると同時に使命があるんだよ。」


「リーフの場合は精霊樹の為ということですね…精霊樹が弱まるとどうなってしまうのでしょうか?」


「んー…初めてのことだからハッキリとは言えないけど精霊が減ってしまうね…そうなると加護を与えることも減ってしまう。加護を与えることで魔法が使えて魔物と戦えるからね。無くなると、全ての生き物が暮らせなくなってしまうね。でも弱まるにしても理由があるはずなんだ…」


魔物との戦いで魔法を使えなくなるのは確かに大問題だ。

理由が分からないと、リーフがいくら魔力を注いでも……。

「ルーズ、そんなに悩まないで。まだゆっくりとだから大丈夫だよ。とりあえずもう寝て明日また話そう」


確かに。考え過ぎてしまう。

父様におやすみなさいと声を掛けてリーフと部屋に戻る。


夜中目が覚めてリーフが部屋に居ないことに気付く。

リーフを探してると外の樹の上にいた。


「リーフ。どうしたの?」

そう声をかけるとこちらに気付いたリーフが魔法でロープを丸型に作り降ろして同じ高さまで上げてくれる。

それに乗りリーフの横に座る。


「ここの土地は落ち着きますね。魔力で包まれているから樹もしっかり生きていて。」


「そうだね。それに父様が魔力を送っていたから、父様の魔力で満ちているから落ち着くのかも……ねぇ、リーフ。リーフはここに来て良かった?使命のこととかさ……」

出会ってからリーフは笑ったり不安な顔とかも無くずっと無表情だったからどう思ってるのか聞いてみようと思った。


リーフがお風呂に入って居なかった時サンが言ってたことも、ずっと気になっていた。


『リーフ…あの子にはまだ感情が無いみたいだねぇ…同じ属性で数が増えると自我が無く漂うだけになるから、それは分かるんだけど、あの子の属性は1人だけなのに、笑うとか悲しむとか表情を変えることが無い。名前も無かったってのも気になる…。ルーズあの子と友達になってあげてね。自我も無く感情も無いのは悲しすぎるから……』


その時のサンの寂しそうな声がずっと頭に残ってて…。

ずっと長く生きてる分、サンは沢山経験してきたんだろう。

私なんかが想像もつかない事も。三角テントの時嬉しそうに話していたけど、そのテントを作ったドワーフも、もう居ない。

長く生きる分、見送る事も、置いていかれることも増えてしまうのだから……


「良かった…のかは分かりません。ただすべき事が分かったのは良い事だと思います。」


「…リーフは、楽しいとか悲しいとか思うことはある?」


「私には楽しいとか悲しいっていう感情が分かりません」


やっぱりそうなんだ。でも楽しいとか嬉しいとか感情も無くただ使命をこなすだけなんて余りにも寂しい気がする。

ロボットじゃないんだから、リーフにも笑って欲しい。

喜んで欲しい。一緒に楽しいこととか。色々経験して欲しい。


「そっかぁ…ねぇリーフ…私と外の世界に行こう。

手伝って欲しいことがあるんだ。」


「手伝いですか?私でも出来ますか?」




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