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転生したらエルフの姫でした。6

そのまま、しっかり気配を読みながら進むも何度か魔物と遭遇してしまう。

ポイズンスネーク、フロッグマン、ゴブリン、オーガ。

印象的だったのがフロッグマン。

見た目が気持ち悪すぎてびっくりした。

人型で緑色、顔はカエル。ただ目が血走っており粘液を飛ばしてくる。その粘液がまた臭すぎて……

鼻から匂いがなかなか離れない。


様々な生ゴミを混ぜ合わせ発酵させてなんか色々いじくりました。って位の強烈な匂い。

風の魔法を使い囲み圧縮し爆殺させてもらった。

サンが「あー、粘液材料になったのに。」と残念そうに言う。

「粘液?」


「そっ。魔核を貫いて死んだらあのネバネバだけこそぎ落とすんだよ!」


「すみません。あれに触りたくないです。」

想像したくも無いので首を横に振り拒否する。

少し残念そうにサンがするも本当に無理…。


そのまましばらく進み休む際、三角のテントを出した時にサンが

「ぁあ!!あの子のだね!完成していたのか…私が手伝ったんだよ。どう?ねぇすごいでしょ??」

と尻尾を振りながら聞いてくる。

あの子のと言う言い方が気になるし、そもそもこれって凄く貴重なアイテムなはずなんだけど…。


凄いし助かってますと言うと手を腰に当て、「ふふーん。むふーん!」と嬉しそうで可愛いかった。


何日も魔物を狩りながら進む。

狩って食べれる素材は森だけに苦労しなかった。

植物は勿論、普通の鳥より大きく、凶暴だけど美味しい、ホロ鳥を見つけて仕留め血抜きし食べる。



森に入り10日程たった頃、黒い霧がでてきた。

周りが見えないから風魔法で周りをしっかり探知しスピードを上げながらしばらく進むとようやく人影が見えた。



「どうして助けてくれなかったんですか!!」

びっくりして見ると、前世で看取った患者の家族さん……。

どうしてここに…?あ…れ?

もう歳でどうやっても延命ができない、何度説明を行うもパニックになり聞いてくれなくて…


他の家族の方に説明して、看取ることになったけど、

人が亡くなる時って疎遠だった家族でも話に入り結構揉める事もあるし、何より体の状態や寿命を受け入れる事が心情的にどうしても難しかったり……。

その気持ちが物凄く分かるだけに説明するのも話すのも辛い。


本人の意思を尊重したくても家族さんの意向のが反映されたり。

全てに寄り添う事の難しさは本当に感じていた。


精神病で殴られる事も沢山あった、罵倒を浴びる事も……。その度に病気だからと理解し支えるけど、家に帰り1人になると、ふと考える。

私はこのままこの職で良いのだろうかと。


愛されたい必要とされたいと願っていた子ども時代。


大人になって介護士になれて感謝して貰える仕事で。

ありがとうと言って貰えた時の嬉しさ。

思い出は胸にあり、亡くなる事が悲しく思う事もあった。

私にはこの仕事は向いてないのかもしれない。

辛くて、悲しくて。


あぁ……考えがまとまらない。

黒い霧が身体にまとわりついて、身体が沼に沈むように重く感じる。



…………あれ?私どうしてここに…?

そもそも、私何してたんだっけ…



ぁあ、沈んでいく。動けない…

まとわりついてた黒い感情が私を絡め取ろうとしてくるように動く。


「大丈夫じゃよ。」

そう聞こえ、シュンじいが最後に渡してくれた、メダルが光る。その光が不思議と暖かく心地良い…。

ゆっくりと自分の意識が戻ってくる。


ぁあ。そうだ………


1人の力で出来ることは限られている。

だから人は家族を作り、友を作り、託していくんだ。

思いも気持ちも未来も……。

その中で最後の最後に、その人にとってまた、その周りの人にとって最善な道を選びほんの少しでもいいから寄り添えたら……

少しだけ視界が晴れる。

「ルーズこっちにおいで。大丈夫だから」


知らない声…でも何だろ…落ち着く…

その声に導かれるように、足を進める。

途中泥に足を取られ転びそうになるけれど、必死に足を動かし進む。


霧がブワァァァァアと晴れ、身体に付いていた泥が消えていく。

視界が拓けるとそこは、幻想的な光景だった。

大きな樹があり、透き通った川が流れている。

エルフの村も水は綺麗だったけど、ここはまた違う綺麗さがある。

花が咲き乱れ苔が露をおびて光っている。

たまに花びらが散った水の中をスゥーと流れるように色とりどりの魚が泳いでいる。


思わず見とれてしまう。帰ってきたって気持ちすら不思議と湧いてくる。


「ルーズ?」

その声に後ろを振り向くと、美男子が立っていた。

エルフのような耳に、白というかプラチナみたいなキラキラとした髪。

青色の綺麗な水を反映したような綺麗な瞳。

ぁあ……直感でわかる。父だ。

「とう…さま…?」

「そうだよ。可愛いルーズ。おいで。」

優しい笑顔で手を広げてくれる。

そして、ゆっくりと抱きしめてくれる。


「大きくなったねぇ…。母様のニアは元気にしてるかい?」


「うん…元気だよ…会いたかった…」

そう言った時自分の目から涙がポロポロとこぼれ落ちる。

大変だった。ここにくるまで。鍛錬もだけど不安も大きくて…サンも母様も行けばわかると言うけれど…本当に父様に会えるのかな…とか。

母様はいつも忙しそうで好きだけど寂しかったんだなぁとしみじみ思う。

前世は家族との繋がりがそこまで無かったら、転生してから期待もしてたのかな…。


「そっかぁ。僕もだよ。それと……母様出てきて良いですよ。」

そう父が話すとサンが現れた。あれ?召喚してないのに。

「ふふ、ルイよ久しいなぁ。元気…とは言えないが会えて良かったよっ。もう出てきて良かったのかい?」


「はい。ルーズ僕の話を聞いてくれるかい?」


頷くと父が話始めた。


自分が光の精霊王であること。昔母のニアも外に出ようと試練を乗り越えこの地に来たこと。

そこで色々話すうちに仲良くなったと。


「普通エルフ達は僕を見ると崇めて、恐れ多いとなかなか話してくれないんだよ。でもニアは違った。真っ直ぐ目を見ながら1人でずっとここに居て寂しくは無いのでしょうかって…寂しいって考えがそもそも無かっただけに面白くてね」


母様は村に帰った後にも何度も父様に会いに来たそうだ。


嬉しそうに父様は目を細める。


精霊自体、実体がある訳では無く子どもを誰かと作ることは無く、ゆっくりと時間をかけて魔力を体の内側に集めて次の代の精霊を作り引き継ぐのだそう。


父様の場合は実体を得るかわりに沢山の魔力を削る事で母と、この地で暮らすことを選び、そして私を授かった。その代償として父は多くの魔力を失った。


精霊としての生き方より、母と子を作り家族になることを選んだと。ただ魂が他の世界から来たことは予想外だったこと。母様とは前もって精霊との間の子とは、周りに言わないように決めていたこと。

母様に時が来たら父に私が会いに行くように言うようにお願いしていたと。



父様の顔を見ると困ったように笑う。


「本当はもう少し長く意識があるように調整してたんだけどね。どうやら新しい属性の精霊がこの世界に産まれたらしくてね。こんなこと初めてだがら早めに来てもらったよ。それにまだ、産まれたばかりで力が弱いからね、そちらにも魔力を割いて守ってるんだ。暫くここでルーズに魔法を教えることもしたかったしね。」



新しい属性の精霊…?どういう事なのか。

精霊神が作ったってこと…?

父様も初めての事でよく分からないらしく。


色々聞いてまだ整理出来ないけど、とりあえず私はエルフと精霊の子になるのか……。

エルフってだけでもほかの種族に比べ珍しいのにそこに精霊の子も加わると余計珍しい。だから母様もおじい様も教えてくれ無かったんだろうなぁ…

ある程度私が力をつけて自分を守れるまで。

魔力がでも無くなりそうってことは…。

「父様はいつか消えちゃうってことですか?」


私がそう聞くと頭を撫でながら

「んー……。消えるってのは正しくなくて。魔力に戻るんだよ。後少しは、一緒に居れるよ。それに魔力に戻る時も少しは意識が残るよ。」


「そんな…」

サンの方を見るもサンも首を横に振る。


「ルーズ、君が産まれて君に会えたこと。僕はとっても満足してて、今凄く幸せなんだからね」

そう言って父様は抱きしめてくれた。




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