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いざ、商業ギルド〜福祉用具店を開きます〜8

馬車に乗り、次の面接に備えて考えて居るとアクアが嬉しそうにこちらを見る。

「どうしたの?」

「ルーズ様も大きくなられたな〜と改めて思って」

ん?身長が伸びたかな?

「ふふ。やっぱり何でも無いです〜」

何なんだろ…

嬉しそうだからとりあえずいいかな?



家に戻ると、ショーンがモリーの所から戻ってきており報告を受ける。

荷物を確認し、キッカの木だと分かると目の色を変えて飛びつく勢いだったそうだ。

「大変喜んでおられました。ただ流石に無料で貰う訳にはいかないとの事でリフォーム費用からキッカの木材分は安くしておくと言っておられました。カウンターの出来にしても期待しててねと楽しそうに話しておられましたよ」

嬉しそうな様子が目に浮かぶ。

「分かった。ありがとうショーン。ソイは?」

「ソイなら面接に来た方達と、奥の部屋でお待ちです」

まだ時間には少し早いけど揃ってるなら始めようか。


「分かった。面接は私とサハラとサンでするからショーンとアクアとリーフは子どもたちをお願い」

私がそう言うとショーンがサハラとサン呼びに行ってくれる。

少し待つと、サハラがサンを抱っこして現れる。

「お待たせ致しました」

「さて、少し早いけど行こうか」


扉を開ける前に、ソイを呼び今から面接を始める事を伝える。

「私が色々聞くから、ソイはサポートしてあげてね」

「はい!分かりました!」

中に入ると、8人が座っている。

年齢層にしても幅広くソイと一緒の10代〜50代くらいまで。

身体状態や何が得意か、どんな仕事をしたいかを1人1人聞いていく事に。


「私は鉱山で出荷の帳簿管理をしていましたが、休みも無く朝から晩まで働き通しだったので倒れてしまい。その際に石に強く顔を打ち…」

顔に残る大きな傷を普段は髪で隠しているそうだ。

傷があるのと元々内気な性格な為、人の前に出ない作業形が良いとの事。

それならオムツの製作かな。

黙々と部屋で作業ができる。


傷にしてもこれなら…

「あの、傷治したいですか?」

「…もう諦めましたが…出来る事なら…」

サンの方を見ると頷いている。

「少し皮膚は吊りますが…ヒール」

傷が残る頬に手を当て治癒魔法を唱える。


「…え?……あっ!!傷跡が!うそ…消えてる…?」

手で何度も頬を触り、感触を確かめている。

「傷跡は消えたかと思いますが、皮膚の吊りは数日続くかと思います。皮膚の再生の為ですので暫くは保湿しながら様子を見て下さい」

私がそう言うとポロポロと涙が零れる。

「ありがとうございます…本当にありがとうございます。このお礼なのですが…」

「休みはしっかり休んで仕事を一緒に頑張りましょう」

そう言うと余計に泣いてしまい、私がオロオロしているとソイが笑う。

「ルーズ様、ありがとうございます。治癒魔法がここまで凄いとは…」

驚いてるソイにお願いしてどんどん次の方を呼んできてもらう。


8人中4人がオムツ製作に加わり、残りの4人の内2人は、孤児院の運営に携わりたいとの事だった。



後の2人が色々話し合い考えた結果、店番をして貰う事になった。


1人は元々、ギルドで働いていた腕利きの女性なんだけど魔物に片足を齧られたから片足の膝から先が無い。

治癒魔法にしても傷跡等は消せるけど、足を新たに生やすことは出来ない…。

オムツ製作にしても、物を運んだり移動は必要になる。

店ならバリアフリー設計にしてあるから通路も動きやすくレジ等の計算も出来るとの事だった。



もう1人は、まだ若い男性で鉱山で発掘していた際に岩が崩落。

頭に直撃し意識を失い倒れた際に、地面に落ちていた破片が目に刺さり片目を失明。

ただ、料理は得意でゆくゆくは飲食店を開きたいと。

その為にも、商売に携わりたいとの事だった。


8人に働くにあたって、サハラから給料面や就業規則等の説明をして貰う。

「本当に毎週お休みを頂いて大丈夫なのですか?」

片足の女性、ユーリが不思議そうに話す。

この世界ではシフト制や週休制が全く無いからなぁ…

そういう所も変えていきたい。


「問題ありません」

サハラが答えると、皆安心したのか嬉しそうだ。

そこからは、オムツの製作組はナキに引き継ぎ制作工程や使う材料を説明してもらう。

孤児院の2人はスーとソイに。

店については私が、車椅子、入浴剤、魔導具について説明する。


車椅子を見たユーリが乗ってみたいとの事で、片足に付けていた義足の木の棒を外し乗っては、自分で動かしている。

「これ…凄いですね…動きも想像よりも滑らかで自分で動けるのが良いですね」

2m程をスイスイと進み片方の車輪を回しクルリと方向転換をして戻ってくる。


ん…?義足を外した事で装着していた方の足が赤く爛れているのが見える。

「足の皮膚が…」

視線で気付いたのか足をポリポリと触りながらユーリが義足を渡してくれる。

「あぁ。これですね?触ってみて貰えると分かるんですけど、結構固いので汗をかくと蒸れてしまうんですよね。地面にしても石とかに躓くので転ばないように踏ん張ってしまって」

なるほど…確かに皮膚に接する部分も固く、木の棒にしても欠けてる所が結構ある。

義足か…。

前の世界だと、その辺も進んでて色々な種類があった。サポート体制も整ってたし、リハビリ職も。

今の世界で作るとなると、介護で触れた事はあっても専門では無い……。

それでも必要としてる人は居るんだ。

そうなると…足の形をよく知りそれを専門に扱ってる人が必要かな。

「ルーズ様?」

1人で考え込んでしまいユーリが不思議そうにこちらを見ており目が合う。

「ユーリさん」

「はい?どうしました?あっ。私の事は呼び捨てで大丈夫ですので」

「すぐには出来ず、先の話になりますが義足をこれより良いのを作っていきたいのですが手伝って貰えますか?」

「勿論ですよ。その時は是非協力させてください!…今より良いのか〜…楽しみにしてますね!」

嬉しそうにユーリが笑う。

一先ず、爛れてるので応急処置としてレナートから貰っていた保湿薬を渡しておく。

初めは遠慮していたが、塗った効果も見たいのでと言い含めると受け取って貰えた。


ただ、後日1度お願いしてレナートに診て貰えないか聞いてみよう。

他にも医者は居るのだけど、店の事も含めよく知ってるレナートの方が話がスムーズに通るだろう。


その後もまた色々と教えていく。

片目のワンドは食事形態の話の時に色々と、衝撃を受けたみたいで必死にメモを取っている。

「1人1人の状態にあった食事か…このギザミ食にしてもどの程度の大きさが?いやでも、固さも重要か」

料理が得意なだけあって知識の吸収もしっかりしてくれている。

「ルーズ様、この食事も作って販売してみてはどうだろ?ギザミ食のおかずと、ペースト状のおかずを」

「ん〜そうかな?」

「話を聞いても、どの適度の大きさがいいのか、固さ、味付けなどは実際に見て食べてみたいと言う方も居ると思う」

…確かに。

毎日お弁当みたいな形で販売してみようかな。

前の世界だと、ペースト状に潰された食材のレトルトパックとかもあったな…

「それはそうだね。分かった。でも作る人が…」

「それなら是非俺にさせて欲しい。店が開く前に作るから」

それはこちらとしては、助かるけど良いのかな?

そう思って顔を見るも本人は凄くやる気みたいだし、お願いしようか。


「ありがとう。そうなると出勤が早くなる分、後ろの時間を短くして勤務時間は同じようして、任せる分少し給料に上乗せさせて貰うよ」

「……それは助かるが…良いのか?…」

「大丈夫。頑張りはしっかり評価したいから」


前の世界だと、介護は結構ブラックな所が多くて頑張っても給料は安く苦労したからこそ、今の世界では良い職場作りしたい。

介護=低賃金にならないようにしないと。


早速作りたそうにしていたが、後日に一緒に作る約束をする。

今日は出来るだけゆっくりして、また明日から頑張って貰おう。


オムツの製作の方も、孤児院の方も同じようにしっかり伝えられたみたいでサハラが報告に来てくれた。


ゆっくりだが人手が増えて、新しいアイデアも聞けたりと前に進んでる。

皆には感謝しか無い。

夕食はいつもより豪華にお祝いも兼ねてしようか。

キッチンに向かうと、中からソイとスーとヨンの話し声が聞こえる。

「それはゆっくり混ぜて下さい」

「ん〜…こう?なかなか混ざらない〜」

「僕もお手伝いしたい!!」

扉を開けると3人が驚いた表情を浮かべスーは作りかけのボウルを慌てて隠そうとボウルに覆い被さっている。

「…えっと、何を作ってるの?手伝おうか?」

「何も〜。作ってなんか無いですよ〜!ねぇソイ?」

……その体勢で言うには無茶があると思う。

「ルーズ様と皆に食べてもらおうとパイをつぐぅ!」

慌ててスーがヨンの口を塞ぐも、もう遅い。

なるほど。パイか。

「もう良いですよ。スー。今日は治癒魔法を使って下さり、皆を雇って下さり本当にありがとうございました。そのお礼をと考えていた所、スーが何か作ろうと言ってくれて。ヨンもお手伝いありがとね」

ソイがヨンの頭を撫で、ヨンも嬉しそうに笑う。


パイか。

それは楽しみ。

「作ろうとしてくれてありがとう。出来るの楽しみにしてるね。私も皆に支えてくれてありがとうの意味を込めてご飯を作りたいんだけど、少しキッチン借りても良いかな?」

「ふふ!美味しいの作りますからね!良いですよー!私はルーズ様が前作ってくれた唐揚げとやらが好きです。サクサク衣が…」

「あっ!ズルい!僕も!ルーズ様のご飯好き!」

サラリとスーが唐揚げをアピールしてくる。

ヨンも無邪気に手を挙げて足に抱きつきに来る。

可愛いなぁもう。いっぱい作ろうね。

3人がパイを作る横でどんどん料理を作っていく。

唐揚げも前の世界の料理で、この世界には無かった。

素材が違うだけにレシピが完成するまで結構時間がかかった。




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