いざ、商業ギルド〜福祉用具店を開きます〜5
マーレイ王だけとなると、ユイカも使いたいって言いそうだし、そうなると王族の皆にも配ろうか。
個人的にも調整員としても、仲良くして置くに越したことはない。
「ルーズ様、この花も使います〜?」
アクアがユイカから貰った賢王とシュン爺の花、シュレを持ってきてくれる。
確かに。王族用にはこの花を使うのは喜ばれそう…。
「うん、そうするよ。良い匂いだし」
シュレの花を2本使って入浴剤を作る。
後は瓶に移し替えて可愛くプレゼン用にラッピングしていく。
……んん。くっ!!昔から可愛く作ろうとすればする程紙がクチャクチャになってしまう……。
あー、本当にラッピング苦手…。
私が四苦八苦してるのを見て、スーとリーフも手伝ってくれる。
「ありがとうリーフ、スー」
見違えるほどに綺麗になりプレゼントとして渡せる物ができた。
これはまた明後日に届けるとして……
「今日のお風呂どの匂いにする??」
「私は、これ!!」「えー!僕こっちがいい!」
子どもたちもどれを使うか話し合いながら楽しそう。
「順番にして日にち事に違う匂いにしたらしようか。その方が色々な匂いを楽しめるでしょ?順番っこのボードを作ってあげるから」
ソイが子どもたちにそう言うと、子どもたちも納得したみたい。
流石ソイ、お兄ちゃんだなぁ…
和やかに見てると私の視線に気付いたソイの顔が赤く染まる。それをニヤニヤとスーが見る。
「ねぇソイ、今日の世話になった方達の募集の件どうだった?」
「あっ、是非働きたいとの事でした。ただ怪我もですが、炭鉱の後遺症で耳鳴りが酷い人も居たり…。ルーズ様面接なのですが、僕も立ち会って良いでしょうか?」
心配なのだろう。
断る理由は無いな……。
「いいよ。その方が来てくれる方達も安心するでしょうし、空いてる日だと明日の内装の話し合いが終わった後か明後日の先王の訪問後なら大丈夫だよ」
「ありがとうございます!それなら明後日でお願いします!」
「分かった。明後日ね」
ソイの嬉しそうな様子を見て他の子達もニコニコしてる。
この子達の笑顔を絶やさないように頑張らないと。
子どもたちを寝かせに行ってから部屋に戻るとリーフとランは先に寝てる。リーフが先に寝てるのは珍しい…
疲れたのかな?
「ルーズ…ちょっと良いかな?」
サンが机の上に乗り目線を合わせてから、真剣な目で私をジッと見る。
「うん、どうしたの?」
「……ルーズ、凄く難しいけれど…治癒魔法を紙に込めれるとしたら…してみたい?」
紙に……?
それって…魔導具とはまた違うだろうけど、魔力を込める事で治癒魔法が使えるようにするって事……?
それは口から手が出るほど欲しい…。
それがあれば…
「してみたい!!でも…カメレ様が言うように光属性はレ…ア…あぁっ!!」
そうか。紙に込めれるのなら…
「治癒魔法を誰でも使えるようになるって事…?」
私がそう言うとサンはニタリと笑う。
「うん、だからそうだってば〜。誰でも魔力さえあれば使えるようになる」
それならカメレ様も治癒魔法を受けて貰えるようになるかも!
「凄い!どれ程難しくてもチャレンジする価値はあるね!」
「そうだよ〜でもね、ルーズ。私は長い時間を過ごしてきたけれど未だにそれは完成してはいないんだ。でもルーズも手伝ってくれるならば出来るかもしれない」
サンの気が遠くなる程の長い時間を持ってしても出来なかったのか…。
でも、だから出来ない、諦めようとはならない。
「私も全力で手伝うから、一緒に頑張ろう。」
私の表情を見てサンが安心したと笑う。
「カメレが治癒魔法を断った時にルーズ少しだけ悲しそうだったけど、もう大丈夫みたいだね」
あぁ……そうかもしれない。
前の世界でも何度も何度も思ったから。
この世から病気全てが無くなってくれたら…なんて。
したい事を出来ない、したい事を伝えられない。
そんな事が無くなれば…なんて。
私はこの世界に来て、治癒魔法が使えることを喜んだ。
病気を治せる、前の世界で願った事が叶うかも…って。
でも人間の国では光属性自体珍しいから治癒魔法すら使えない。使う事が危険になる……
でも……そうだね。やり方としては色々ある。
「ありがとうサン」
「うん、いいよ。ルーズはその表情の方が似合うね…明日の夜にリーフとアクアとショーンも含めて話し合おう。今日はもう寝て。おやすみルーズ」
クルリと丸まって目を閉じるサンを見ながら私も眠る。
「頑張ったね……頑張った…」
ベットの傍で誰かが涙声でありながらも穏やかに話している。
あぁ……この光景、この部屋は……。
そう。何度も何度も見た光景。
エンゼルケア。
人が亡くなった最後の時に、身体を綺麗にお湯で拭く清拭をさせて貰ったり最後のオムツ交換をしたり。
好きな服を選んで貰い着替えて貰ったり……。
その人に出来る最後のケア。
看取った家族に、最後に背中を拭いてもらったりする時の光景。
サンと治癒魔法の話をしたから、この夢を見ているのかな。タオルに触れようとしても手がすり抜ける。
触れない…
……「だぁ!」
んん?プニプニとした手に頬を押されて起きる。
あぁ。朝か。
「ランおはよう」
身体をゆっくり伸ばしてランを抱っこする。
昨日の夢…。
抱っこされながらも私の髪を掴み不思議そうにニギニギしているランを見る。
夢を見て少し悲しい気持ちだったけれど……
腕の中のランの肌の温もりが凄く暖かく癒される。
『子どもは可能性であり、私の誇りだから』
そう言っていた方が居た。
今なら私も凄く分かるよ。
命のバトンを繋いできたからこそ、私やランが居る。
明るい未来を想い描き紡いで行く事で、今よりも良い後世になるように必死に今日という日を過ごしていこうと強く思いながらランを抱きしめる。
「ルーズ様、店の改装の話し合いは僕達も着いて行っても良いでしょうか?」
朝食の場でソイと介護を教えている子達3人が、食べる手を止めて私を見る。
「うん、良いよ。後は…魔導具を作る部屋も作る予定だからカーミラとコータも…「はい!行きます!」返事早いな…後はリーフとショーンとサハラの10人で行こうか」
「あの……残って魔導具の練習してたいのですが良いでしょうか?」
コータが手を上げ申し訳なさそうに話す。
「全然大丈夫だよ。なら9人で行こうか」
アクアとサンは残って小さな子達のお世話をお願いした。アクアもサンも子どもに大人気だ。
「アクアさん!今日こそ負けませんよっ!」
「あらぁ〜スーったら。ふふふ。私もまた勝たせて貰いますからね〜」
何の勝負をしてるんだ……?
「ルーズ様、リレー競走です。あの2人と子どもたちでいつもリレーしてて今の所アクアさん組が勝ってるんです」
首をかしげる私にナキが説明してくれる。
どうやら、魔法ありでしてるらしい。
スーは獣人だからそもそも足は早い方なんだけど、アクアが勝ってるんだね……
聞くと水を線路のレールのように地面に描き、その上をアクアが滑るように走るみたいだ。
なるほどなぁ……考えたね。
子ども達も体力や魔力を鍛える事にもなっているし、毎回魔法を使う事や見るのが、とても楽しいそうだ。
ご飯を食べ終わり用意をしてから、皆で馬車に乗り、物件の前に着く。
「……わぁ大きい」「ここですか?ルーズ様!」
「すごーい!」「場所にしても来やすいね!」
鍵を開けて中もゆっくり見る。
「中も広いー!」「本当だね!」
カーミラと子どもたちが早速魔導具を作る予定の部屋を見ながら色々と話し合っている。
「こんにちは〜!!約束していたリフォーム屋ですー!」
お!来た来た。
「こんにちは。今日は来て頂きありがとうございます。今日はこの子達も一緒に話をさせて頂きますね」
「「「よろしくお願いします!」」」
子どもたちも挨拶してから、早速色々と見てもらう。
「この部屋なんですけど、机がこの位の大きさで後はここに棚を壁一面に欲しくて」
「なるほど!!棚を沢山……っと。それなら扉も付けた方が良いかな?」
色々私達の要望をメモしたり、長さを測ったりしながら話し合いは進んでいく。
「それならカウンターはこの高さ位にしとくと便利だよ!!後…ここはこれを付けると……」
体が大きいけれど、手先をとても器用に動かしながらベルを取り付けてくれる。
「仮止めだけど、カウンターにも同じベルを置く事で何かあればすぐにこの部屋に連絡出来るようになるよー!!」
なるほど…。
皆が興味津々でベルを見る。
「凄く便利ですね、ではベルの取り付けをお願いします……えっと…」
「あぁ!!名乗って無かったね、僕はモリーだよ!これが名刺!可愛いでしょ?」
渡された名刺をショーンと子ども達も覗き込む。
デフォルメされた可愛い熊の絵も書かれていて、確かに可愛い。ほのかに名刺から甘い匂いもする。
「可愛いですね。それにいい匂い……」
「キッカの葉だよー!僕キッカの葉好きなんだよ!」
「キッカの葉は確かにいい匂いですね。花は無臭なんですが」
リーフが名刺を見ながら話すと、モリーが目をキラキラさせて嬉しそうにリーフを見る。
「キッカの葉知ってるんだね!!小さいのに凄いなぁ!あ!そうだ!ルーズ様使う木材なんだけど、こだわりとかある?」
エルフの村の建物に使われてる木が好きだけど…それは人間の国では手に入らないだろう。
それなら……何でも…
「あのカウンターにキッカを使ってください。キッカは私が用意しますので」
私が答える前にリーフがレジのカウンターを指さしながら答える。
「っっ!キッカの木!手に入るの!?」
モリーが食い気味に驚きリーフを見る。
「問題ありません。」
おぉ…リーフは確かに樹の精霊だから育てる能力があるけど、モリーの反応を見る限り結構レアな木なのでは……?
「葉っぱは手に入るけど、木材としては中々出回らないのに!凄いね!良いよ!ならカウンターはキッカでそれ以外は僕が選ぶね!」
「分かりました」
「…………もし、キッカの木が余分に手に入る事があれば僕が買い取るからね…あの手触り香り…。うっとりしちゃうよ」
目をトローンとさせながら、モリーが話す。
「分かりました」
……本当?分かったの……?
…後でリーフとは少し話そう。
看板のデザインもモリーと皆で話し合いをする。
「デザインだけど、これで良いんだよね?」
花と葉っぱのリーフ模様が丸くハートを囲む。
繋がっていく、命を人生を紡ぎ途絶える事の無いように。
「えぇ。お願いします。何日位かかりますか?」
「んー!それなんだけど、早い方が良いんだよね?」
「そうですね」
「なら、人数を増やしてするかだねぇ!少し値段は上がるけど今の所予算内で収まりそうだよ!」
「ではそれでお願いします」
「分かったよ!それなら6日かな。キッカの木は早めにお願いねー!」
早っ!6日!?もっとかかるかと思ってた。
キッカの木は用意が出来次第すぐに持ってくる事を伝えてモリーと別れ家に戻りリーフと2人で話す。
「ルーズ様、こちらにどうぞ」
リーフに案内されたベランダはしっかりと結界が張られていて様々な植物が並ぶ。
「これって……」
最近リーフに管理をお願いして見てなかったけど、凄い量の植物が生い茂っている。




