いざ、王城へ12〜賢王の日記〜
この国から逃げてからの2年近くの間の出来事を…
第1王妃が病気で亡くなり、第2王妃が正妃になった。その1週間後、王が突然獣人国相手に戦争を起こすと発表した。 領土を伸ばすのだと。
戦争に反対した者は次々と死刑にされていった。
そこからはもう、悲惨だった。
兵士達を出兵させたものの、獣人と人間じゃそもそも身体能力が違い過ぎる為に、人間がどんどん死んでいった。
兵士の数では敵わないと見るや、国民を動員し…
「お前とよく行った果物屋のオヤジもスープ売りのオヤジさん達もみーんな死んでったよ。店がなきゃ俺達は食料すら買えねぇのにな…親を亡くした子達が行き場所も無くただただ、座って死ぬまでの日を数える。
それが今のこの国だよ…」
あぁ………そうか…
考えなかった訳ではない。
この国がどうなっているかって。
ただ、想像してたよりも状況は格段に悪い。
「食べ物はどうしているんだ?」
「とりあえずだが、種を貰ってきて野菜を育ててはいるんだが…そりゃ全く足りてねぇよ。ただな…馬神さんが週に一回夜中に持ってきてくれるんだ」
馬神……?なんだそれは。
聞いた事がない。
「…そのウマガミって何なんだ?」
レイスの話では、週に一回程夜中に馬に乗り白いマントを被った人が、食料を広場に持ってきてくれるそうだ。
顔は、見えないようになっており、性別すらも分からない。話しかけても話はせずに食料を、置いて去っていく。
だけど、一つ言えるのはその人のお陰で食料が手に入ってるという事だ。
だから馬神と呼ばれているそうだ。
「後、お前にだから言うんだが…俺達は王を殺すつもりだ。」
王を…?それならこちらの目的とも一致する。
「どうやって城の中に入るんだ?」
「城には協力者が居るんだ。その手引きで入る。誰もがもう疲れた。戦争なんて望んじゃいねぇ。ただいつも通り暮らしてたかっただけなんだからよ」
悲痛な顔で拳を握るレイスを見る。
「そうだよなぁ…その戦いに俺も混ぜてくれないか?」
驚いた表情を、浮かべた後暫くしてため息を吐く。
「仲間になってくれるのは有難いが死ぬかもしれねぇ…分かってるんだよな?」
「分かっている」
「そうか…とりあえず仲間達と1度話し合って決めたいから明日また来てくれるか?」
分かったと伝え家を出る。
さて……どうせならウマガミ様とやらとも会っておきたい。
城の協力者にしても、ウマガミ様にしても第4王妃が関わっている可能性が高いと思う。
食料に余裕がある者など余程の金持ちか王族関係だろう。
馬が走りやすく、また他の道にも逃げやすい道…
食料にしても置くのなら家が集まっている所…
それなら王城から出やすい道はここ……
候補を考え、人に聞きながら道を進み絞っていく。
ここかな…
住宅街の中にある小さな公園。道にしても逃げやすく奥には森が広がっている。
とりあえず隠れながら時間が過ぎるを待っていると、
ガララと音が聞こえる。
目を凝らしよく見ると、白いマントを被った人物が山積みの荷台を引いている。
来た…ヤマガミ様…
まさか、1日目で会えるとは…
何日か張り込むつもりだっただけに良かった…。
追いかけ声をかける。
「すみません、貴方がヤマガミ様でしょうか?」
「……」
「第4王妃…」
そう言うと白いマントの人物が止まる。
「第4王妃のラーナ様、好物はパンプキンシチュー」
「貴方は…?」
やっと喋ってくれたか。
声を聞くに男だな…
「私はラーナ様に命を救われた者です。指輪と言えば分かりますか?」
そう言うとこちらを見もしなかった人物が振り返りマジマジと顔を見る。
「髪の色が聞いていた特徴と合わない…いや、でも…」
「この姿だと分かって貰えるか?」
変装セットを外し、素の自分になる。
「…!!まさか…ダレイオ様…?そうか…本当だったか…」
驚愕の表情を浮かべこちらを下から上まで何度も見た後、安心したのか笑みを浮かべている。
「そうだ、ダレイオだよ。その、本当だったとは?」
「ラーナ様は密偵を何人か囲っており、今回ダレイオ様に似た人が居たとは報告で聞いていたのです。なので町に降りて来たのですが、まさか…こんなに早く見つかって下さるとは……」
密偵を…。
今日会えた事はそのおかげでもあるのか。
「そうか、こちらとしても会えて嬉しいよ。第4王妃のラーナ様も、元気そうで何より…場所を変えて少し話せないか?」
「えぇ。分かりました。場所を変えましょうか。後を着いてきて下さりますか?」
分かったと返事し後を着いていき森の中で話す事になった。
「此処なら誰も居ないし、大丈夫だろ」
「ありがとうございます。ダレイオ様は今のこの国の現状をどこまで知っておられますか?」
獣人国と戦争をしている状況だということ
そのせいで多くの国民を失い、食料も足りていない事、反旗を翻そうとしていることを話す。
「よく情報を集められてますね…そこに付け足すとすれば…王はもうあまり長くありません。突然倒れて今は殆ど意識が無い状態です。次の王は第2王子だったルージ様がなる予定で今は王妃が動いています…第3王妃も半年前に殺さて居ますから今は権力争いで城内は血で血を洗う様です……」
まさか…更に悪い状態とは……
第3王妃もそうか…殺されていたか…
なら今は王妃と第4王妃のみか……
まぁ、父は長くは無いだろうと思っていたが…。
王妃を殺し、自分の子を王にさせようとした時点で、父の行く末なんてお察しだ。
「ラーナ様は大丈夫なのか?」
「あの方は後ろ盾もありますし、何より賢い方ですからね…今の王妃に着く貴族連中は力が無い者だらけですから」
後ろ盾?…
「でも猶予はあまりありません。第2王子が王位に就くとそれこそ、この国は終わってしまいます」
確かにな……
「なので今は、レジスタンスを集っていました。そこで貴方だ!貴方様が生きていると分かれば王座奪還も、夢ではありません。どうかお手を……」
「あぁ。元よりそのつもりだ。王座を奪還する!ラーナ様にもそう伝えててくれ。」
「かしこまりました!それにしても…随分強くなられましたねぇ…昔は仮面のような表情しかしてませんでしたのに……」
そうか?
強く…それは一重に逃がしてくれたラーナ様やエルフ達や精霊様のお陰だろう……
「そうか……ありのままの自分でも信じてくれる友達に出会えたのが大きいかもな」
そうですか…友とは良い者ですなぁ…と嬉しそうに笑ってくれる。
「とりあえず私はラーナ様に報告に戻ります。明日また同じ場所この森の中で。あぁ!私はサリウと申します、何なりとお申し付け下さいませ…」
サリウと別れる時はもう空が少し明るくなっていた。
レイスにも話さないとな。自分が王子であることを…
次の日約束の時間に、レイスの家を訪れリビングに案内される。
レイス以外にも顔見知りが何人か居るなぁ。
「イオ、みんなで話し合ったんだが…どうしてイオは今回の戦いに参加しようと思ったのかそれだけ答えてくれないか?」
理由か…
どうせ知れ渡る事だ…今言わないで何時言うんだ。
「今回の戦いに参加しようと思ったのは…俺が王になる為だ。レイス…みんな俺は……この国の王位継承権一位ダレイオ・ルーシアなんだ。今まで黙っていて申し訳無い…」
皆が驚き静まり返る。
誰も何も言わない。静寂が場を包む。
「お前が!!まさか!第一王子は死んだんじゃ…」
ガタン!と椅子から立ち上がりレイスが叫ぶ。
「いや…でもそうか。そう考えると…。あり得る話だよ。レイス。葬儀にしても顔は見えないようにされていたし喪にふくすなどの期間も確かに無いまま戦争が始まったからね…」
名前は確か…レンだったろうか?
何度かレイスと一緒に会った事がある。
いつも落ち着いていて頭も良かった記憶がある。
「レン久しぶり。あぁ。俺が第1王子だと言う証拠なんだがちょっとこれを外すな」
変装セットを外して見る。




