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いざ、王城へ11〜賢王の日記〜

でもやはりそうか。

自分の所為で、優しくしてくれたエルフ達を巻き込んでしまった。

自分が死ぬまで追手は止まらないだろう。

それなら、こちらから城に乗り込んで終わらせよう…。

王族の血なんて要らないとそう思っていたが、王族だからこそ出来ることもある。それに…約束したから。


あぁ…背中の出血が止まらない。寒気も止まらない。

足がガクガクと震え、歩くのがこんなにも辛い。

もう少しもう少しで……


「無事に終わったようだね、良かった…とりあえず戻るよ」

優しい声だ…精霊様だろうか?

凄く安心する…そのまま意識を手放した。


次に目を覚ますと、優しく光に照らされた天井。

フワフワなベット。ほのかに香る花の匂い……

ここは……エルフの村!!

「子ども達や誘拐された人達は!?」

起き上がろうとするも激痛で起き上がれない。

「やれやれ…起きた瞬間に騒がしい奴じゃ。無事じゃよ」

横を見ると族長が椅子に座りながら、こちらを見ている。

「無事…そうか良かった……」

「まぁ、お前さんは血だらけで酷い有様じゃったぞ。シュンなんかお前さんが帰ってきたと聞くや慌てて来ては生きてるのかと何度も確認してな。ひとまず起きるまでワシの家で見るからと帰らせた」


そうか…

確かにベットがいつもよりフワフワだ。


「お前さんが倒れてからじゃがな…」

あの後直ぐに精霊様が、門を開き全員この村に連れてきたそうだ。

エルフの子達は無事に親と会えて泣きながら抱きしめ合っていたと。

そして、獣人族の子ども2人と、綺麗な女の人と魔族の子2人は捕まっていた事を族長と精霊様で話し合い、他のエルフ達には内密に、元の場所に送って行ったそうだ。


獣人族も、魔族も精霊様に感謝しエルフの族長の元にもお礼状が届いたと。


そして、捕まえた誘拐犯達は、様々な種族をこれまでも捕まえては奴隷売買していたようで今回は裏ルートから王妃に頼まれたそうだ。

王子を見つけて殺せと。



捕まえた者達は、売られた者達を探す為にも殺してはいないらしい。

探し終わった後は獣人族に身柄を引き渡し、死よりも辛い罰にあうだろうと。



そして、門を開けたエルフだが…

「自殺していたよ。お前さんを引き渡せば、昔拐われたエルフの場所を教えると言われたそうだ。他のエルフ達には手を出さないともな…。だが子どもたちが今回拐われ、嵌められたと気付いたそうだ。そして探していたエルフも既に死んでいるとな…」

下を向きやるせない表情で族長が話す。

なんて惨い嘘を……。



「お主は戦うのだろう?目を見れば分かる。我らエルフは人間の争いには手を貸さぬ。だが怒りはある。だからこそ精霊様がお主を助けて癒したのだろうな…背中の傷にしても塞がってはおるぞ。ただ急激に治すからな、皮膚が引っぱられ暫く痛みはあるがの。さて、ではシュンを呼んでやるとするか」


飲め。と水を渡すと族長は部屋から出ていく。


精霊様…確かに触ってみると傷は塞がっている。

沢山助けて貰ったのにお礼を伝えれて無い。

族長達にもだ…

返しきれない恩がある。

そう考えていると扉が勢い良く開き、シュンが涙を流しながら飛び込んでくる。

「ダレイオ!お前!!良かった……本当に良かった…」

手を握りながら泣いてるシュンを見て、自分の頬にも涙が伝う。


また会えた喜びと、心配かけて申し訳ない気持ちと友達の温かさ。

2人で暫く泣いて落ち着くとシュンがぽつりと話す。


「初めて泣いたな…それにしても……まぁお前はいつも血だらけでこの村に来るなぁ…」

確かに。

この村に初めて来た時も戻ってきた時も血だらけだ。

「なりたくてなってる訳じゃ無いんだけどな」

そう言うとシュンが少し笑う。

「あ!シュン魔石ありがとうな。凄い威力だったよ」

本当に想像より凄い威力だった……

吹き飛ばされたが、敵もそのおかげで倒せた様なもんだ。

「良かった。魔力を必死に込めたからな」

だろうなぁ…。

思いっきり、込めたんだろうなぁ……。



「あ、あの子達からこれ預かってたんだ。お礼の証だってさ」

シュンがそう言い紙を渡してくる。

見れば、『ありがとう』と書かれておりその周りに可愛い花の絵も添えられていた。

良かったと思う反面巻き込んでしまい申し訳ない気持ちが溢れる。


シュンには伝えなきゃな……

「シュン俺は動けるようになるとこの村を出るよ」

「…え?いきなりどうして?」

驚いた表情のまま固まるシュンに、実は自分は王族の物である事、初め怪我だらけだったのも王位継承権の争いに巻き込まれた事、今回の事も自分を亡き者にしようとした者達が起こした事を話す。

そして、その争いを終わらせる為にも戦う決意をした事。

王位を奪還しエルフや他の種族とも交流を行って行きたい事。


話してる最中シュンはずっと下を向きながらも何も言わず聞いてくれた。



話し終えても暫く黙ったまま…

初めに身分を明かさなかった事や今回の事が自分の所為だと知り流石に幻滅しているのか…?

怒っているのか…?

そう思うと何も言えなくて俯き、ゆっくり時間だけが過ぎていく。



パチン!!と音が部屋に響きシュンの方を見ると自分の頬を両手で叩いた音だった。


「なっ!」頬が赤くなってるシュンを見る。

「黙ってたのか。と初め思ってしまったが、聞いてく内に色々分かった。お前は悪くねぇよ……。子どもたちの事だって巻き込みたく無かっただろうしな…お前も沢山悩んで苦しんでたんだろう。だから下を向くなよ!戦うと決めたなら前を向いて戦え!」


戦うなら前を向いてか……

そうだよな。前を向かなきゃ…

勝たなくちゃ。これからの自分の為に、国の為、約束の為、未来のために。



「シュン…ありがとう。本当に出会えて良かった…最高の友達だよ」

「あぁ。」

叩いたからなのか、それとも照れたのかシュンの頬が少し赤くなっていた。



1週間午前は身体を動かしがてら、シュンと剣で試合をし午後はゆっくり休みながら過ごし、皮膚の突っ張りも無くなりエルフの村を去る時が来た。



見送りには族長とシュン、ミーアとカリアが来てくれた。


「助けてくれてありがとうダレイオ兄ちゃん」

そう言いながら2人で集めたという淡い紫色の花をくれる。

ありがとうと伝え頭を撫でると嬉しそうに笑う。


「元気でな。この弓とダガーも持っていけ。大事に使うんじゃぞ」

族長からは、ミーアとカリアを助けに行った時の武器と、面、またこの村に来た時につけてた変装セットを渡される。

この変装セット置いててくれたのか…

「髪の色だけ変えてある。それだけでも印象は変わるじゃろうて…」

ありがとうと、受けとりダガーを握ってみる。

このダガーにしても手にしっくりと馴染むし助かる。



「約束楽しみにしてるからな。まぁ…国王になってどうしても逃げたくなったら逃げてこいよ。いつでも歓迎するから。無理するなよ…お前はすぐに全部溜め込んでしまうからな……たまには相談したり発散しろよ!なぁ…ダレイオお前と会えて良かった」


戦いで勝って国王になる前提で話してくれてたり、逃げて良いと言ってくれて…

本当に優しい奴だな。

大丈夫。逃げないよ。

約束したんだからな。

約束…エルフ達が安心して人間の国に来れるようにする。そしたらシュン、また沢山語ろう。

それまでは、サヨナラだ。


シュンと笑顔で拳を突き出し合わせる。

本当沢山優しくしてくれてありがとうな…


ゆっくり門に向かって歩く。


「あ!!ダレイオこれ!!」

手のひらに乗る小さな皮袋を渡される。

「また魔法を込めたんだ、今回は1個辺りの魔力を少なくして数を増やしたんだ。数ある方が良いだろ?」


中を開けてみると綺麗な赤色の魔石が沢山入っており、数は少ないものの緑色の魔石もまざっている。

これは…?

「あぁ!それか!族長にも魔力をこめてもらった。風の魔法が刻印されてるぞ」


風魔法も火魔法も本当助かる。

今回のは威力も低いみたいだし、使い勝手良いな。

「ありがとうシュン。大事に使うから」

あぁ!と頷くシュンを見て門の上に立つ。


族長が詠唱し光が輝き次に目を開けると、見知った風景が見える。



あぁ。帰ってきた。



必死に逃げたのに、今度は戦う為に戻ってくるなんてあの時は予想もしてなかったな……


面を取り出し付ける。

王城内に入るまでは素顔を隠さないとな……

まぁまさか戦いに戻ってくるなんて予想もしてないだろうけど。


さぁ、行こう。


外門は面を付けている事で少し門番に怪しまれるも、エルフの村で譲って貰った物を見せる。売りに来たと伝え、なんとか通過できた。


流石に町の中じゃ面は目立つな。

変装セットに切り替えよう。

この姿なら、町に降りてた格好と一瞬だし知り合いに会えるかもしれない。



問題は……

どうやって王城に入るかもだけど、入った後だ。

こちらは1人。

敵は兵士も入れると凄い数だ…

どうしたもんか…。

そう思い町を歩き気付く。

歩いて人の数が明らかに少ない。

どうして…?まさか……

裏道に進めば進む程に、町は汚れやせ細った子どもたちが石畳の上で膝を抱え座っている。

いつも開いてた店も閉まっているし、これは……。


「イオか…?」

自分を呼ぶ声が聞こえ振り返ると、城から抜け出しては街に降りて遊びに来ていた時に知り合った少年。

「レイス…なんだよな?」

記憶の中のレイスは着ていた服は綺麗で、いつもよく笑っていた。

それが今は……

服はボロボロだし、何より体も顔も痩けていて昔のレイスの面影は無い。

目の色と声は変わらないが……

「あぁ俺だ。お前生きてたんだな……」

「あぁ。よく俺だと気付いたな…今日帰ってきたんだ。それにしても町の様子と言い一体何があったんだ?」

「今日か…何年も行商について行ってたのか?それならこの国に起こった事も知らないか…とりあえず着いてこいよ。そこで話すから」


レイスに着いて行き1軒の古い二階建ての家に案内される。

「ここは?」

「今の俺達の家だよ。一緒に遊んだミヤ達の事は覚えてるよな?」

ミヤ…レイスに紹介された勝気な性格で長い髪をいつも2つに結んでいた少女。

「あぁ。覚えてるよ」

「アイツらも居るから。とりあえず入れよ」

中に入ると見知った顔も複数人居たけど知らない顔も居る。

「奥の部屋使うから。イオこっち」

古ぼけた机とイスだけが置いてある部屋でイスに座るとレイスがぽつぽつと話出した。



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