いざ、王城へ9〜賢王の日記〜
携帯からの投稿なので、読みにくいかもしれません。
申し訳ありません。
エルフの村に来てから1年が経った。
変わった事は、人間の文化が老若男女に、ウケたことだ。
色々な疑似餌を作ったり、何の餌が1番食いつくか、魚の大きさを競い合ったりと、空前の釣りブームだ。
その後もシュンに人間の国の事を聞かれ、ボールを作って貰ってキャッチボールをしてると、途中からボールが魔法の火球や水球で遊ぶ子ども達も出始め魔力コントロールの練習にも使われていて感心した。
料理もオムライスを作ると族長が凄く気に入ってくれたみたいで、それを見て食べた女性達の間でも人気になり、初めは警戒していたエルフ達とも徐々に少しずつ打ち解け楽しい日々だった。
人間の世界に戻っても、生きていると分かれば追われる日々だ。
このままエルフの村で暮らしていけたら…。
そう思っていた矢先だった。
夕方になっても子どもが3人帰ってこないと、村が大騒ぎになった。
探知魔法が得意な者達が族長に集められ四方に散らばり探す。
その子達とも何度か話したりしていただけに何か、自分にも出来ることが無いだろうかとシュンに申し出るも族長に止められた。
どうか無事でいて欲しいと祈るように待っていると、子どもが1人見付かった。
足を怪我しており、切られたのだろう傷が痛々しい。族長の家に運び込み治療をしていると、発見の知らせを受け捜索から両親が慌てて戻ってきたのだろう。
入ってきて泣きながら抱きしめる。
「サリ!!良かった良かった…」
「おかぁあさん!おかぁぁああさん!」
良かった。あと2人は……
「サリ、うちの娘のミーアとカリアはどうしたの!まだ見つかってなくて、何があったの!?」
「ミーアのお母さん……ミーアとカリアが人間に連れて行かれちゃったの!2人がサリだけでも逃げて助けを呼んできてって!お願い!2人を助けて…!」
人間という事を聞き周りのエルフ達が、ざわめき怒りで魔力が膨れ上がるのを肌に感じ呼吸するのすら苦しくなる。
「人間にだと…人間めどうやって門を通った!!」
「やはり滅ぼすべきだった!」
「許さない…絶対に」
「おい!お前!お前が手引きしたのか!!」
「そうだ!そうに決まってる!信じたのが馬鹿だったんだ!」
口々に怒り、矛先がこちらに向き胸ぐらを捕まれ壁に叩きつけられる。
「待てよ!みんな!こいつが人間達を呼んだ証拠なんて無いじゃないか!なんで…なんで!!こいつずっと心配して今でも泣きそうな顔してるのに!」
シュンが叫び、周りのエルフ達がこちらを向く。
泣きそうな顔…?あぁ。そうなのか…。
仲良く出来てきた、そう思って居たのに信じて貰えなかったのが苦しいのか…。いや、違うな。
同じ種族の人間が犯人だと分かって自分のせいだったらと、申し訳ない気持ちもあるんだ。
感情がぐちゃぐちゃになってるんだ…
「シュン、ありがとう。」
小さな声でそう言うと手を握ってくれる。
お前は本当…優しいなぁ…友達に信じて守って貰えるってこんなにも暖かく安心するものなのか…。
「そこまでにせいっ!シュンの言う通りコイツが呼んだ証拠など無い。それに人間が簡単にエルフの門を開けるとも思えん…ダレイオ少し2人で話せるか?」
族長の言葉で皆が口をつむぐ。
頷き別室に案内される。
「ダレイオ…すまなかったなぁ。」
「何で謝るんですか?…自分こそ謝らなきゃいけないのに!!自分は…王族の子です。命を狙われここに逃げてきました。もしかしたら、自分の追手が子ども達を…」
そこから先は言葉が出ない。どうしたら…
もっと早くに伝えていれば結果は変わったのか?
自分がそれか逃げずに死んでいれば…子ども達は怪我もせず攫われることも無かったのかもしれない…。
「知っていた。お主が王族の子で命を狙われ逃げてきたのを…聞いたのじゃよ。お主が門を見付ける前に見た精霊様にな…」
「精…霊だったのですね。でも知っていたならどうして助けたのですか?あのまま放っていたら自分は死んで貴方達に迷惑をかける事も子ども達が傷つく事も!無かったのに……」
「精霊様がな、『この子は大人の争いに巻き込まれた。この子を守るのもでも大人の役目なんじゃないか』って。だから門にも何重にも結界を張っておった。それこそエルフにしか壊せぬ結果をな…。居なくなった2人の子どもの場所は精霊様にお願いして探ってもらっておる。時期に見つかる筈じゃ。」
大人の役目……知ってても更に守ろうとしてくれた存在が居てくたことに涙が止まらない。
どうして、どうして、エルフ達も沢山辛い目にあってきただろうに。人間の自分にそこまで優しくしてくれるんだ…。
ここで暮らしたいそう自分は逃げていただけじゃないのか……
自分も誰かを守れる存在になりたいとそう強く思った。母も守れず、逃げた先で沢山守って貰っていた……
立ち向かわなきゃ。戦わなきゃ。変わるんだ。変えるんだ。
「ありがとうございます…結界を壊した犯人探しは任せていいですか?自分が子どもたちを助けに行きます」
「それは良いが……お主1人でか?」
「はい。自分1人で行きます。行かせてください。人間の世界にエルフが向かうと憎しみの連鎖になります。
それは止めなきゃいけない…それに、自分も逃げる事はもう、終わりにしたいです」
「救出だけなら出来るだろうが…」
「あと1つお願いがあるんですけど、今回の事全部人間のせいにして欲しいんです。」
そう言うと族長は驚いた表情を浮かべる。
「何故な…ん…そうか…シュンの為か?」
そう。
必死に自分を庇って守ってくた。この1年色々な事を2人で話し合って、遊んで、一緒に沢山笑って過ごした。過ごす内に、分かったのはシュンは本当に仲間を大事にするんだ。エルフの先の事も必死に考えてる。
本当に尊敬出来る奴なんだ……明るく真面目で。
人を疑う事すらしない。真っ直ぐな奴。
だからこそ、エルフの中に人間を手引きした奴が居るなんて知ったらどれだけ悲しむか。
嫌なんだよ。アイツが悲しむのは……。
勝手なエゴだって分かってる。それでも……。
「馬鹿だ……お主は…。人間の立場を更に悪くするぞ?」
「分かってます。でもこれから先それは変えていきますから。」
そう言うと、少しだけ族長が笑みを浮かべ頷いてくれる。
「変えてくか…短い寿命で足りるか分からぬぞ」
「足りますよ」
そうか。人間とは面白い生き物だ、本当に。
弱いのに、強いとは…
そうポツリと族長が呟き、任せたぞと言ってくれた。
皆の元に戻る前に、場所が分かったと精霊様から連絡が来た。
猶予は精霊様が言うには3日以内との事。それを過ぎると闇オークションに掛けられてしまうと。
3日か……
門の位置を知らないけどその監禁場所はここから遠いのだろうか?
間に合うのか…。
「門の開く場所に干渉し近くに開くようにしてくださるそうだ。」
流石精霊様…それならいけそうだ。
皆の元に戻ると、待っていたのだろう。
全視線が注がれる。シュンだけは心配そうにこちらを見てくれる。大丈夫だよシュン。
絶対に子どもたちを助けてみせるから。
「族長様!どうなったのですか!?うちの子は…」
ミーアの母だろう、たまらず声をあげる。
「もう、人間なんて全員殺してやろう!」
若いエルフが叫ぶと周りも同調するように殺せ!殺してやる!と叫び魔力がまた膨らむ。
ドン!と族長が机を叩き静かになる。
「ダレイオに1人で救出に向かわせる。期限は3日じゃ。それまで待ってダレイオが戻って来なかった場合、人間達に総攻撃をしかける。滅ぼすまでだ。良いな?」
「待ってくれ族長!!それなら俺も着いて行く!1人でなんて無謀だ!敵は何人居るか分からないのに……」
「ならぬ!着いて行くことは認めぬ!罠かもしれんのだ!エルフ達を生け捕りにする準備をしていたら、こちらも無傷では済むまい…。」
シュンが心配し、立ち上がり叫ぶも族長の言う事も分かるのか悔しそうに下を向く。
他のエルフ達は、人間1人の命で敵が少しでも減るならと3日を過ぎた時の総攻撃に備え戦う準備を進める為出て行く。
シュンと族長だけ部屋に残り、こちらに詰め寄ってくる。
「何で…お前だけで戦おうとするんだよ……」
辛そうに苦しそうに言うシュンに何も言えない。
「なぁ!ダレイオ!!頼れよ!!友達…じゃないか」
名前で呼ばれるのは握手をした日以来だ…。
あの時から今までも色々な事を教えてくれた。
信じられる友達。
だからこそ、シュンには人と戦う道を歩ませたく無いんだよ。
勝手だよなぁ…
「ごめん。シュン。絶対子ども達を助けて戻ってくるから」
「絶対だぞ。絶対だからな!!」
「約束する。その時は、話したい事も沢山あるんだ」
その時には伝えよう。
今までのこと全て。これから先の夢も。
「2人とも話は済んだようじゃな。ダレイオ!こっちに来て武器を選びなさい。」
優しく見守ってくれて居た族長に呼ばれ奥の部屋に案内され様々な武器を見る。
剣にしても、素材や長さ重さが違う。
種類も、剣、双剣、弓、槍、太刀、棍棒…
今回は1人だから遠距離用と近距離用の武器だな…
弓は族長が薦めてくれた物を、剣は装飾の嵌め込まれたダガーを選ぶ。
「そのダガーを選ぶか…それは魚人族の鱗を削り水属性の魔力を込めてある。」
魚人族の…。水属性なら相性が良い。
これにしよう。
「後はこれを」
そう言って黒いロングマントを渡してくる。
中生地は、茶色で刺繍が至る所に施されている。
「このマントは姿を隠せるよう、光属性の魔法と土属性の魔法が刺繍されておる。防御力ももちろん高い。しっかり返すんだぞ」
確かに凄い魔力量を感じる。中の刺繍にしても何重にも重ねられており相当な値段だろう…
しっかり返さないとな…。
「何を嬉しそうに笑っておる…全く……後3時間後には村を出なさい。明るくなるまでには門をくぐって動き出すのじゃ。」
こんなに心配されるのが嬉しいと伝えたら叩かれそうだし辞めておこう。
3時間か。
その間に、自分の家に戻り一応子ども達の分も飲み物と簡単な食事も持っていこう。
家に戻るもシュンは居ない。
まだ帰って来てないのか…
まあ、お別れは要らないだろう。
無事に絶対に戻って来れるようにするから。
族長との約束の時間門に着くと族長と一緒にシュンも待っていてくれた。
「シュン……」
そう言うと泣きそうな顔をしながら、魔石をくれる。
綺麗だ…角度により、赤い魔石がキラキラと輝いている。優しく握ってみると暖かく太陽のよう。
「それ、僕の魔法を込めてある。魔力を込めて投げると10m範囲は燃やせるから。」
「ありがとう。大事に使うから。」
シュンが頷くのを確認して、族長と門まで2人で歩く
「友とは良いものだな…シュンの奴必死な顔してお願いしに来たんだぞ。着いて行けないならせめて、何か力になるものを渡したいとな。見た所相当魔力を込めて作ったんじゃろな。」
そうか……
こんなにも自分の為に…
友達か……寿命も種族も違うけれど、思いがあればそれも関係無いのだろう。
「では、気をつけてな子ども達を頼んだぞ。」
「行ってきます」
門がキラキラと光り目を閉じる。
フワッとした感覚に何度も合いその感覚が落ち着き目を開けると人間の国のすぐ近くの森だった。
帰ってきた……
さて、場所はどこだ…
そう思うと目の前に小さな光の玉が現れる。
そのまま、優しくチカチカと光りながら体の周りを漂い森の横にある川の方面に飛んでいく。
着いて来てって事かな……
光の玉を追いかける。




