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転生したらエルフの姫でした2

毎日朝になると、ショーンとアクアが私を起こしにくるようになった。


「おはようございます、ルーズ様」

「ルーズ様、おはようございます〜」


「おはよう、2人とも。今日もよろしくね」


手をしっかり握って上目遣いでニコッと笑ってみる。

それだけで2人はメロメロだ。

分かるよ…小さい子の笑顔って破壊力抜群だよね。


魔法は、初め魔力の循環を習うとの事で、色々なおもちゃが魔力を鍛えれるようになっている様だ。

3角の箱に線が入っておりその線を魔力で辿ったり、水に浮かべた玉をクルクルと回転させたり、魔力を使いながら色々な方法で壁を登るなどして魔力循環を習っていく。


本を見て他の国の歴史をショーンやアクアに習ったりしながら魔力が少しでも増えたら良いなぁと寝る前は魔力をしっかり使い切り気絶するように寝るを繰り返し7歳になった。


7歳からは本格的に剣を習ったり、村の中を自由に動いて良いようになった。前世の記憶がある分習うことは初めてでも効率よく学んでいける。

ある程度のことは出来るようになったけどまだ光の導き手は居ないまま。光属性のことは、ショーンやアクアだと分からないらしく習うことも出来ない。



「ねぇショーン、アクア、村の外に出るにはどうしたらいいの?」


「…村の外…ですか?」

ショーンもアクアも驚いた表情を浮かべる。

「外に出ても危ないことのが多いですし、調整員として出るにも試練を追えてからですね〜」


村の外に出るっていう考え方がエルフには異質らしく殆どのエルフが森で一生を終える。

外の世界との交流は族長のお母様と数人の調整員のみが行うことになっているのだそう。


せっかくの異世界!絶対に外に出たい!

色々な種族や色々な町を見たいし、何より旅というものをしてみたいと決心し、試練について詳しく聞いてみる。

森の奥深くにある精霊の地に行き、自分で彫った木彫りの動物を供えてくるらしい。

これだけ聞くと簡単そうだけど、森の奥に行く途中には危険な魔物も出ること、食糧も自分で調達すること、霧が深い所があり迷うことで辿り着けない事が殆どらしく。



どれだけ危険があろうと諦める事は出来無い。

この森も自然が豊かで素敵だけど…


「私、外に出たい。読んでくれた絵本の獣人の国や、水の中の神殿や色々な所を見て回って学んでみたい。」


絵本で読んで貰った獣人の九尾の話。

優しいけれど、強くて仲間を絶対に見捨てない。

水の中の石と色鮮やかなサンゴで出来た宮殿も見てみたい。

仕事と家の往復で終わってしまう一生はもう要らない。

今世は色々な景色を見たいんだ。

私の真剣な顔を見てショーンとアクアも、応援すると言ってくれた。


「お気持ちは分かりました。ですがルーズ様、試練を受けるのならお母様のニア様にも、 しっかりお話しください」


「そうよね、お母様は怒るかな……?」

私が不安そうにそう聞くとアクアが頭を優しく撫でてくれる。

「大丈夫ですよ〜、ただ心配はされると思うのでその分、鍛錬一緒に頑張りましょうね〜」


「うん!!頑張る!そうと決まればお母様と話をしなくちゃいけないね。」


2人にお願いしお母様との約束を取り付けて貰ってしっかり話をすることになった。


エルフ自体、寿命がどうやら人間とは違い長いらしく

人間がこの世界だと長く生きて80年。

エルフだと魔力の量にもよるが、250年〜500年は生きるらしく、後を継ぐとなったら場合のことも考え、とりあえず100年は好きにして良いとのことだった。



「外を見て学んで何になりたいか、何を成したいかしっかりと考えなさい。いつか外に出たいと貴女が話すことも分かっていたの…」


そう言って少し寂しそうにお母様は笑う。


「母様、お願いを聞いて下さりありがとうございます」

「ふぅ…いいのよ。今は出来ることをして体を鍛えておきなさいね」


その言葉の通り、時間を全て鍛錬に費やした。

自分の属性以外のことも、積極的に他の属性の人に

お願いしては基礎知識だけでも覚えていった。


その中の1人が、シュンじい。

火の精霊の加護を持つ可愛いらしいおじいちゃん。

1人で森の奥の方に住んでいて足が怪我の為悪く、1人で掃除など出来ないみたいで、2日に1度アクアとショーンと3人でシュンじいに習いに行くついでに家の掃除やご飯のお手伝いなどを行う。


こちらの世界にはもちろん、介護という概念があまり無いらしく、家事や買い物の代行サービスも、無いため私が提案した時はアクアもショーンも驚いた顔をしていたが、介護の役割や行う事をしっかり説明するとそれ以降色々考えたり聞いてくれるようになった。



決まった時間に訪問し、出来ないことを介助させてもらう。

何でもやり過ぎないことや、その人の身体の状態、魔力の安定などをしっかり見て、その人の生活を支えることをショーンとアクアにも教える。


「やりたい事は理解しましたし、良い事だと思います」

「ん〜…ルーズ様。どうして全部手伝ったらダメなんです?」


よくぞ!聞いてくれた!

「全てを手伝ってしまうと、出来てた動きも出来なくなってしまうからですよね?」

「え?」

アクアが不思議そうな表情を浮かべ考える。

「でも、全部してくれた方が助かりませんか〜?」

「身体を動かさなくなり筋肉や能力が落ちるから駄目なんでしょう。私達でも鍛錬を1ヶ月何もせずにサボったとしていきなり前の動きは出来ない。そういう事ですよね?」


あっはぁ…。

その通りだと意味を込めて手で丸を作る。

ただ私が言いたかった………



少しシュンとなった私を見てシュンじいがクスリと笑う。


「ニア様とは、性格が真逆ですなぁ…」


「真逆なの?」

母は昔から大人しい子でいつも1人で居たと。

私は村の人と積極的に交流してるから1人で居ることは無い。

「そうなんだ。お母様はいつも忙しそうで…」

中々ゆっくりお母様と話す時間って無い…。


「そうでしょなぁ。ニア様はこの里を守るためにも神事を一手に引き受け、外部との交流などもなさっておられるからのう。様々な精霊の声を聞きそれを外の物にも伝えなきゃならん。」


「そうなんだ、お母さんは凄いんだねぇ…ねぇ…シュン爺…私のお父さんって……生きてる…の?」


そう聞くとアクアとショーンが作業中の手を止め何も言わずに抱きしめてくれた。


「それは…ニア様には聞かないのですかな?」


「うん…少し聞きづらくて」


「なるほどのぅ。それはワシから答えるのは控えて置くかの…。いつかニア様から話されるからのぅ……。それにしても…優しい気持ちはニア様とよく似ておられる。ただ、ルーズ様は考え方や新しいことに積極的に取り組み周りを驚かせるのぅ。ルーズ様は見ていてとても面白く可愛い姫様じゃ」


そう言って、シュンじいは皺が刻まれた優しい大きな手でまた頭を撫でてくれた。




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