人間の国ヴァン3
とりあえずスーに聞いた通り道を進む。貧民街の方に近付くほど、道が舗装されておらずまた様々な匂いがキツくなる。
道端に倒れていたりする人は居ないけど、家などはいつ崩れてもおかしくないというような作りだ。
木造の建物もボロボロで屋根がない家なども見られる
福利厚生や生活保護なども、勿論ないだろうし…
そりゃそうだよねぇ…。
そのまま進んでいくと、ガラの悪い2人組に絡まれる。
「お!見ない顔だなぁ。へへ。見る感じ金持ってるなぁ〜!金置いて行けよ。金が無ければ俺たちの相手でも良いぞ!」
2人組の1人がニヤニヤとこちら見ながら話しながらこちらの肩を掴もうとした手を払い除ける。
「はぁ……。アクア」
「は〜い!ルーズ様!」
アクアが水魔法で2人組の首から上にかけて水球を使い呼吸を封じる。
「「ごぼぉぉ」」
顔を水が覆い中で暴れているも抜け出せない。
水は掴めないし、魔力で無理やり離すにもアクアの魔力コントロールのが上だ。
「さてっと、ある程度したら離してあげてね。お婆ちゃんの居る場所を聞かないと。」
「分かりましたっ!」
顔が白くなってきたところでアクアが指を鳴らし魔法を解除する。
「ごほっ!ひゃぁあ!ハァハァ…助けてくれ…」
「返答次第だね。私達、ここの顔役のお婆ちゃんを探してるんだけど。案内してくれないかな?そのお婆ちゃんに危害を加えるつもりは無いから。」
「目的はなんだ?」
1人が戸惑いながら聞いてくる。
「この辺りの子どもたちを保護したいの。その為にも、そのお婆ちゃんには挨拶しておきたいだけなの。」
「子どもたちを……」そう言って2人組は暫く考え込む。
「よしっ!分かった。戦うにも敵わないしな…」
「セン婆のところには俺らが案内するよ。」
物分りが良いようで助かる。
「えぇ。宜しくね。アクア、サン行こっか」
2人組の案内で細道を進むと、まだ新しい作りの家に着く。
ドアの前に片目の傷跡が目立つ男1人が立っており、2人組と何やら少し話をした後通してくれた。
「ここで、話してくるから待っててくれ。」
広い部屋に大きな机と椅子だけが置いてある部屋に案内され2人が違う部屋にセン婆を呼びに行く後ろ姿を見ながら暫く待つ。
少しすると、70代位の黒の髪を1つに纏めた細目のお婆ちゃんが入ってくる。足腰などはしっかりしており目も鋭い。
「一応、話は聞いたがね、ワシに何の用だい?」
「あなたがセン婆?」
「そうさねぇ…そう呼ばれているよ。」
「そう。初めまして私はルーズです。こちらがアクア。この小さいモフモフの生き物がサン。この赤ちゃんがランです。この辺りに住む子どもたちの家、孤児院を用意して、保護と教育をするので是非手伝って欲しい事があるのですが……」
「ほぉ。それにしても…変わった使い魔だね。それに魔力にしてもあんた達大分強いね……。はぁ分かった。それで一体、何を子どもたちに手伝わせたいんだい?それにどうして私にそれを話にきたんだい?」
「強い、と言えばそうなのかもしれませんね。貴女がここの子どもたちを守っていると聞いたので。仕事内容なのですが、福祉関係の仕事です。福祉というのは、お年寄りの方やハンデがある方へ、様々なサービスを提供し賃金を得る事でして、それに使う用具等の販売も考えてます。例えばですが…………」
車椅子やベビーカー、また杖にしても3点杖などその人に合った物を作るというコンセプトなどを絵を書きしっかりと説明する。
黙ってセン婆はその話を頷きながら聞いてくれる。
初めよりも態度も目元も柔らかくなっていく。
「なるほど…面白い考えだねぇ…。そうとなると、今のあの子たちでも手伝えるし、住む所まで用意してくれると言うんだね……よし!分かった!協力しようじゃないか」そう言ってセン婆が手を叩き人を呼ぶ。
「あの子どもたちを連れてきておくれ、住み込みの仕事だと言えば来るはずだよ」
暫くすると、下は3歳ほどから上は16歳位の子どもたちが12人ほど集まった。服はボロボロだし顔も所々黒ずんでいる。
栄養状態にしても心配だなぁ…。
「今、孤児として居る子達だよ。ほら、挨拶しな。」
「仕事と聞いて来ました。一応僕がこの子達のまとめ役です…。ソイと言います。よろしくお願いします。」
髪の毛を1つに後ろに束ね、黒髪、青色の瞳で16歳と最年長。それ以上の歳となると、炭鉱や建築現場の仕事をしにここから出ていくのだそうだ。
「初めまして、ソイ君。私がルーズで貴方達の雇用主となります。また私以外の紹介は明日朝9時にここの住所まで来てくれる?仕事の説明をしたいから皆で来て欲しいの。住む所とお昼ご飯などはこちらで用意します。」
そう話すと他の子どもたちもご飯という単語に反応してソワソワしだす。可愛い…
アクアが住所の紙を渡し、とりあえず私達はランの事もあるし家に1度帰ることにした。
帰りに、セン婆が「子どもたちを頼んだよ」
と私の手を強く握って見送りしてくれた。
「明日から忙しくなりそうですねぇ〜」
「そうだね。セン婆にも会えたしね。他の何人かも様子を隣の部屋から伺ってたね。何かあったらセン婆を守る為に動いたはずだよ。」
「え!?」
「アクア気付いてなかったの?」
「はい…。すみません。」
「ふふ。大丈夫だよ。逆にあそこまで慕われてるからこそ上手く今までまとめられてたんだろうしね。明日からもまた頼りにしてるよアクア!」
元気に頷くアクアを見て私も楽しみになってきた。
明日の準備も帰りに買い足してランもご機嫌なまま家路に着く。
次の日約束通り朝から、うさみみ獣人のスーとヨン。
また、貧民街の子ども達をソイがしっかり連れてきてくれた。
そこにランも加えて子どもたちが総勢14人。
まずショーンとアクアにお願いして子ども達をお風呂場に案内し身体を綺麗にしてもらう。男の子達は、ソイが。女の子達はスーがしっかりショーンとアクアと協力し綺麗にしてくれた。
その後用意していた服を着てもらう。
上下セットの、ブラウン色。それを1人4セットずつ渡す。
あと筆記用具。こちらの世界でもノートや鉛筆はあったから良かった。ただ少し高いけど。服より文房具の方が高い。
全員綺麗になったところで、リビングに集まって貰い自己紹介を行い、改めてやりたい事の説明をする。
子ども達に仕事を提供し、また孤児院というものを作りたい事。仕事の提供にしても、8歳から出来ることをしていってもらう。それ以下の子ども達に関しては庭に追加で三階建ての建物を作りそこを孤児院にする予定だ。
孤児院が出来るまで、家に住んでもらって構わない事も伝える。
「本当によろしいのでしょう?」
ソイが代表して不安そうに聞いてくる。
「大丈夫だよ。部屋も余ってることだしね。」
孤児院が出来るまではひとまず、スーとショーンとアクアと不安だけどリーフで家で子ども達を見てもらう。伸び伸び遊んでてちょっとした保育所みたい。
サンは子ども達に、もふもふ!と早速触られている。本人的にも子どもは好きみたいだし大丈夫そうだ。




