第八話 森の中には色んな生物がいるようです!
短いです。あと、ブックマーク登録ありがとうございます。読んでくれているだけで励みになります。色々と拙いですが、生温い目で見守ってやってください。
「グギャッ」
「グギャギャギャギャギャギャッ」
深夜、たまに不気味な雄たけびのような鳴き声が森から聞こえることがある。
基本的に夜は外へ出ないため、姿を見たことはないが、あの森には、色んな生物が生息しているのだと思う。
女神さまは、この世界を剣と魔法のファンタジー世界のようなものだと言っていた。
危険な魔獣も存在するらしいし、正直おっかない。
家の中は絶対安全だとわかっていても、怖いものは怖い。
ハヤテがいて本当に良かった。
布団の中で一緒に丸くなって眠る。
モフモフの毛に顔を埋めるようにして深くため息をつく。
あくる日、いつものようにハヤテを散歩に出してやろうと一緒に外に出たら、緑色をした不気味な人影が見えた。
背はそれほど高くない。私よりもちょっと低いくらい?
手に何か、棒のようなものを持っている。
森の入り口から、こちらの様子をうかがうようにして立っていて、あまりの不気味さに慌てて家の中に逃げ帰った。
「ごっ・・・ゴブリンッ・・・? ゴブリンだよね??? いまの??? い、いたんだ!! やっぱり危険な生き物いたんだっ!!」
いや、知ってたけど!!
自宅の敷地内で生活が成り立ってしまっているため、異世界要素といえば、何故かとおっている電気と水道、腐敗せず、使ったら自動的に補充される食料や消耗品、季節感もなく常に沢山実をつけている果実の木、ほとんど手入れらしい手入れもしていないのに、何なら種まきとかしてないのに勝手に生えてくる野菜。新たに家族になった子狼のハヤテと、目の前の自然豊かな森くらいのもんだったから!!
確かに不気味な鳴き声とか聞いたことあるけど。
実際に遭遇すると、えもいわれぬ恐怖に囚われる。
「だ、大丈夫! 結界魔法があるし。この家の敷地内は安全だしっ! ゴブリンなんてファンタジー界隈じゃ雑魚同然だしっ?」
でも、
ハヤテに怪我を負わせたのも、もしかしたらあいつかも・・・っ?
「キューン、キューン」
私があまりに取り乱してしまったせいか、心配したハヤテが私の顔を覗き込んでソワソワしている。
しゃがみこんでいると、慰めるみたいに前足を肩に置かれる。
「・・・っ! 大丈夫だよ、ハヤテ。おまえのことはちゃんと私が守ってあげるからね」
よしよしと頭を撫でながら、窓の外をちらりと見る。
少し考えてから、もう一度外の様子を確認することにした。
敷地の中なら絶対安全なんだから!
そろそろと庭に出て、柵の向こうを恐る恐る眺める。
森の入り口には、もう、あの不気味な緑色の人影はいなかった。