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第六話 この子どこの子、この子うちの子!

予約投稿をミスってしまい話が前後しています。頑張って直そうとしましたが不慣れで…。とりあえず投稿します。読みにくかったらすみません。



翌朝、子狼の様子を見てみると、近くに置いてあった水とシーチキンがなくなり、お皿は綺麗に空になっていた。


子狼はまだ眠っている。


ご飯を食べる元気はあるらしい。

よしよし、いい感触だぞ。


眠っている間に、怪我の様子も今のうちに確認しておこう。

包帯をほどいて血のしみたガーゼを取り外し、丁寧に怪我の消毒をする。もうほとんど出血はしていないみたい。再びガーゼを当てて、包帯を巻いていく。


思ったより治りが早いようだ。傷口がふさがってきている。

この調子なら、数日のうちに動き回れるようになるかもしれない。


呼吸に合わせて上下する白いモフモフの毛を眺めながら、思索にふける。



この子、うちの子になってくれないかな?



そっとモフモフの頭を撫でてみる。

眼は開かないが、ひくひくと鼻が動き、キューンと甘えたような声をもらした。


か、かわいいっ!!


やっぱモフモフはそれだけで正義っ!!


嬉しくなってひとしきり頭を撫でてから、離れる。

早く回復するには休息が大事だからね。


決めた!


この子は絶対うちの子にするっ!!


両手で握りこぶしをつくって、決意を固める。


とりあえずできることは、献身的な看病と、餌付けかな。

私は敵ではなく見方だと認識してもらわないと。


よく。怪我をした野生動物を世話して、怪我が治ったら野生に返すって話を聞くけど、私はそんなことはしない! しないのだっ!!


もうとっくに情は移ってしまっている。

今更、さよならなんてできない。


この子と、家族になろう。

私にはもう、この世界に家族はいない。

この子が私の家族になってくれれば、私はこの世界でもなんとかやっていける気がする。


思えば、もう一月も誰とも顔を合わせず、会話もしていない。

毎日楽しかったけど、やっぱり寂しかったんだな。


そんなことを考えながら、トースターで食パンを焼き、その間にフライパンで目玉焼きとベーコンを焼く。きゅうりをざっくり切って、レタスを手でちぎり、プチトマトをちらばして即席サラダが完成。ドリップ式のコーヒーを入れて、ついでにインスタントのポタージュスープをお湯で溶かして、上にパセリを散らす。

ひとり暮らしの朝の食卓としてはなかなか豪華なのではないだろうか。


以前は、仕事で疲れて朝ギリギリまで寝ていたから、下手したら朝食抜き、よくても食パンは焼かずにそのままかじり、冷蔵庫に常備している豆乳で流し込んでいた。それすらできないときは、野菜ジュースのパックとそのへんにあるバナナか何かを片手に家を飛び出していたな。


休みの日は昼までたっぷりと寝て、ちょっと豪華な朝食を作っていた。平日の作り置きを料理したり、ついでに夕食の仕込みを済ませて、夜もちゃんと自炊。


基本的に外食はしなかった。


疲れた時にはコンビニかスーパーのお惣菜で済ますこともあったけど。


この世界に来て、夜はよく眠れるし、朝もすっきりと目が覚める。衣食住の充実で、なんだかお肌の調子までいい。なんなら毎朝快便だ。


娯楽が少ないので早寝早起きになるし、せっかく空気がおいしいのだからと、よく庭に出て日光浴をしたり、敷地内をやゆったり散歩したりする。


代り映えはしないけど、毎日充実していると思う。

都会の喧騒は、煩わしいのに何だか寂しくて、夜になっても消えないネオンは、ひどく私を孤独にしていた。

私の居場所は、ここにはないような気がして、でも、今更田舎に帰るのも逃げるようで何だか違うような気がして。


だから、ここではないどこか遠くへ行きたかった。


どこか、なんて・・・実際にはどこにも行けないことはわかっていたんだけど。


それが、どういうわけだか叶ってしまってここにいるわけだけど。

人生、何が起こるかわからないって本当だな。


とにかく、いまの私は退屈だけど充実している。


ここに、白いモフモフ狼(?)くんが加われば、ますます生活が潤うことだろう。

早く元気になって私を癒してね…。


毛布に包まったモフモフの毛を横目に、私は食パンにバターをたっぷりと塗ってからかぶりつく。

うん、今日も元気だ、ご飯が美味いっ!


もりもりと朝食を平らげた私は、開いたお皿を流しまで運んで水につけておく。

食器などのちょっとした洗い物はその都度せずにまとめて夜に片付けるようにしている。


ひとり暮らしだから大して洗い物はないし、この方が色々と合理的なのだ。けして、面倒くさいからじゃない。


同様の理由で、洗濯物も三日に一度くらいだ。


乾燥までやってくれるタイプの洗濯機だけど、天気のいい日は外に干すようにしている。

都会のように排気ガスもないし、空気がいい中、外で洗濯もの干すのは楽しい。


子狼に、お水と新たなシーチキン缶を開けるて置いておく。


食休みの後は、畑の様子を見に行く。

先日、収穫したかぶに似た野菜を鶏肉と煮つけて食べてみたら、見た目通りかぶそっくりな味で美味しかった。

今日はおやつにサツマイモに似た野菜をホイル焼きにしてみようと思う。

朝ごはんを食べたばかりだというのに、もう食べることを考えている。


ほかに娯楽がないからね・・・。


撮りだめた番組もあらかた見終わったし。

まぁ、DVDとかまだまだ見直せるものもあるけど。

漫画や小説だって読み返せる。

でも、それ全部いま楽しんじゃったら、その先何を楽しめばいいかわかんないしね。


ああ~、女神さまに気になってたドラマの結末や漫画の続きだけは何とか見れるようにお願いするべきだった。

まあ、スマホでゲームとかはできるけど、課金できないシステムとかさぁ~。


あ、女神さま、別にこれは不満を言っているわけではなくて、でもでも、もしこの声が届くなら、ちょっとだけ、ちょっとだけ、お願いを叶えてくれたりしないかなぁ~っ・・・なんて。


都合のいいこと考えちゃってすみません。


ただの独り言です、テヘッ。



異世界でも、全然異世界感がないスローライフだけど、まぁ、私にはこれくらいがあってるのかな・・・。



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