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第三話 おお、新しき我が家!

パソコンの調子が悪くて少し遅くなりました。

何とか投稿します。

よろしくお願いします。



目が覚めると、見知らぬ場所にいた。


私は、部屋で着ていたスウェットパーカーにジャージのズボンという、いつもの部屋着姿で固い地面に横たわっていた。


体を起こして周囲を見渡してみると、緑の木々の生い茂った森の中にぽつんと一軒家が存在していた。


北奥風の平屋建ての家だ。こじんまりとしたコテージをイメージした感じ。

ウッドデッキつきで、なかなかオシャレな外観をしている。隅っこの方には暖房用だろうか、屋根付きで薪を積んでいる場所がある。


周囲は広い庭になっていて、フルーツのなる木というのもちゃんと生えていた。きちんと手入れされ畑もあり、すでに収穫できるほど作物が育っている。



「すごい・・・っ本当に夢じゃなかったんだ・・・っ!」


ふらふらと立ち上がり家に近づく。

よく見ると靴を履いていなかったが、そんなことは気にならなかった。



歩きながら無意識にジャージのポケットを探る。

その指に触れた冷たい感触。


私はぼんやりとそれを取り出して手に取って、眺める。


・・・鍵だ。


そのまま、再びふらふらと歩き出す。




ここが今日から私の家・・・。



アンティーク調のドアは、外観同様に北欧をイメージして作られているみたいだった。

鍵穴に鍵を差し込むと、かちり音をたてて鍵が開く。


「お、おじゃましまーす」


何となくおどおどしながら、ドアを開けて中に入る。


どうやら土足のまま生活できるように作られているらしく、いきなりリビングペースになっていた。


室内に入ってすぐの場所には、コート掛けがある。


部屋の明かりは天井から釣り下ろすタイプの照明器具がいくつか取り付けられていた。


あっ、薪ストーブがある。

なのにちゃんとエアコンもついている。


キッチンも広くてオープンカフェみたいなオシャレな作りになっている。

そのスペースに、調理器具やもともと持っていた炊飯器や電子レンジ、トースターや電気ケトルなどの家電が並んでいた。



一番違和感があったのがコタツだった。


広いリビングスペースの中央に、ぽつんと置かれていて、なんだかシュールな絵面だ。


奥には寝室がひとつあり、ほかには、水洗トイレと、洗面台付きの脱衣所の奥に広々とした作りのお風呂が備え付けられている。洗濯機置き場には去年買い替えたばかりの洗濯機がちゃんとあった。

バス用品もそろっていて、リネン類も用意されていた。

何故かお金持ちが着るようなふかふかのバスローブまで備わっている。


(よし、あとでお風呂上りに着よう!)



女神さまは、私の部屋にはもともとなかったオプションまでつけてくれたらしい。


その他にも、ちょっとした収納倉庫までついていて、調味料や缶詰類、普段使わない日用雑貨や掃除道具などはそこに仕舞われていた。


以前にはなかったリビングスペースには、四人掛けのダイニングテーブルセット、薪ストーブの前には横になれるサイズのソファーまで置いてある。

今まで住んでいた部屋にはなかったものだ。部屋が狭くて置きたくても置けなかったからね。


テレビとDVDレコーダー、壁に作りつけられた大きな本棚には今まで買いそろえてきた本やDVDがきちんと収められている。(今まではスペースがなくて押し入れに押し込んでいた)


今まで部屋に置いていた家具は、値段こそそれほど高価なものではないが、どれも気に入ったものばかりで愛着がある。それこそ、コタツ以外は、インテリア雑誌を参考にしたりして、色々試行錯誤していた。(コタツだけはどうしても外せなかったんだよ)


寝室のベッドは、よく見ると今まで使ったていたシングルではなく、ダブルサイズくらいになっている。そこに、コンパクトだけど可愛いドレッサー、コーナーハンガーには、お気に入りの洋服。そのほかはカラーボックスの箱に入れて収納されている。


収納棚が備え付けられていて、そこに季節ものの衣類や、布団なんかがしまってあった。


本当にそっくりそのまま転移されてきたみたいだな~。


キッチンの方も覗くと、年季の入ったまだまだ現役のツードア式の冷蔵庫。中を確認したらまんま、こちらの世界に転移してくる前と一緒だった。


ミネラルウォーターや、野菜ジュース、豆乳、マヨネーズやケチャップ、ソース類など使いかけの調味料や、トースト用に常備しているジャムにバター、自炊派なので野菜類も豊富にあり、あらびきウインナーにベーコン、ロースーハム、6パック入りの玉子、ご飯のお供の納豆やキムチ、そのままでおつまみにもなる豆腐が並んでいる。作り置きの野菜のピクルスや、煮物なんかもタッパのままあるし、あの時コンビニで買った朝食用のサンドウィッチとヨーグルトもちゃんとあった。

冷凍庫には使いやすく小分けにした豚肉や鶏肉、あいびきのミンチ肉、アジの干物や鮭の切り身なんかがあり、冷凍した炊き込みご飯の残りや、冷凍うどん、カット野菜などが入っている。

たまに自分を甘やかしたい時用に置いてあるハーゲンダッツのアイスは、王道のバニラとクッキー&クリーム、ストロベリーだ。


カウンターには、籠のなかにバナナ数本とキウイ、リンゴが何個か置いてある。

忙しい朝など、フルーツだけで済ますこともあったから、気を利かせてくれたのかな?


ビタミンは肌に大事だし。


キッチンの食料棚も確認していくと、常備していた各種スパイスや調味料類、油類、カレーやシチューのルー、パン粉、小麦粉、パスタやお米、食パン、軽食用のメロンパンとメロンパン、レトルトソースやインスタント食品、缶詰類、おつまみやチョコレート、スナック菓子などもそろっている。友達の結婚式の引き出物にもらったちょっといいワインやシャンパンなんかもここに入っていた。コーヒーや紅茶、日本茶などの茶葉類、実家から送られてきたお歳暮のカルピスもあり、とりあえず食事や飲み物に不自由しないことは明白だ。

切らしていたはずのカップ麺も醤油、味噌、豚骨、塩、焼きそばと種類が豊富にあり、ちょっと泣けた。


あ、チューハイレモンとカルピスサワーが三本ずつ並んでいる。おまけに焼酎や日本酒まで。


女神様、わかってらっしゃる!!


もともと節約のため、たまにさぼるとき以外は、基本的に家で自炊をしていたため、食料品は一人暮らしにしては豊富にストックされている。それに加えて女神さまが思いついたものを追加してくれたらしい。


これが減ったら自動的に補充されるんだから、すごいことだよね。


一通り家の中を見て回ると、庭に出て畑の様子も確認する。


収穫できそうな野菜を試しに何本か引っこ抜いてみると、かぶにさつまいも、人参だった。ほかにも、さやえんどうやトマト、キャベツなんかもある。よくわからない葉物野菜も生っている。まだ掘り返してないところが沢山あるけど、今のところはいいや。


フルーツのなる木は何種類も植えられていて、リンゴに似た実や、オレンジに似た実、洋梨に似た実、びわに似た実、ぶどうやびわに似た実などがなっていて、季節感はあまり感じられない。


女神さまのサービス精神がすごい。

これがいつでも収穫できるなんて、農業チートだよね。


家と庭を周囲をぐるりと囲むように、胸のあたりくらいの高さの白い柵が建てられている。

この中がいわゆる私のセーフティーゾーンなのだろう。

柵の向こう側には、鬱蒼とした森が広がっている。


果たしてこの先、あの向こうに私が行くことはあるのだろうか?

ずっとこの安全な家の中に引きこもって一生を終えるのだろうか?



「・・・・ぼけないといいけど」



せめて、ペットでもいたらなぁ・・・。


「女神さま、よくわからないけど、ありがとうございます。ここで私は生きていきます」



固い決意を胸に、私は新しい我が家に向かって歩き出した。



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