表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/20

ep 16 チーター

 体力もさることながら物資がガリガリと削られる。使い切ってしまった魔法もちらほら出てきてしまっている。


「糞しつけえ」


 背後から放たれたチャクラムを剣で弾く。厄介なリザードドラゴを屠りたいが次々と現れる魔物たちにリソースを割く余裕がない。


 ただ東条が語った攻略法は有効だ。隣に並走するプレイヤーが存在するため右側の波が薄く整えることができる。いや本当に薄いか?これ。


「ログ?」


 ≪フィールド4・7・9がアトラスによって破壊されました≫


 行先が──


「5に変更、急いで!貴方遅れてるっ」


 通信を通しての東条からの指示。絶対俺の方がキツイという反論を呑みこみ、更に前方から来たリザードドラゴ三体に顔を(しか)めた。


「急げだって?無茶苦茶言ってくれるな全く」


 飛び交うリングに俺は覚悟を決めた。


 当たり前だがゲームなので死ぬことはない。けれどVRが体感型であるが故に恐怖による委縮を避けるのは不可能。また実際にやってみなければ測れないものが多いのも特徴か。


 初見ゲームの包囲場へ踏み込むというのはそういうこと。後は運と迷わないという精神力。


(倒すことは考えるな。受けて受けて一歩でも前に進めっ)


 攻撃を刃で受けて火花散る。魔法使用など許されない怒涛の飛び掛かりを決死に回避し、放たれたチャクラムを木のオブジェクトを使ってやり過ごす。


 上下左右から無尽蔵に降り注ぐ斬撃。()えて喰らうことも視野に入れギリギリの体力で留めるよう計算して動く。それでも相棒だった闇の直剣が砕けた。予備の釘棍棒(nail-bat)を装備しフルスイング。


 一体を倒すがぬるりと潜り込んだリザードドラゴに切られ、瀕死状態。東条からの通信が入る。


「いい!覗き魔!エリア移動が成功したら!視界に!入ってない……魔物は!追ってこない」


 向こうも厳しいのか途切れ途切れ。だが、一言文句がある。


「おまっ先に言え」


「駆け抜け!る!んだから!どっちに!しろ!一緒でしょ!ぐっ」


 互いにボロボロのようだ。ああ、ゲームだから疲れてるわけじゃない。ただ体力ゲージが減ると息切れを起こす演出が入るのだ。森の中、別エリアの光が見えた。追ってきてるのは4体か。これ以上()り出したら死ねる。


 エリア5へ身を躍らせて振り返る。やはり向かってくるリザードドラゴ×4。ミサイルのように腹で移動するその先頭の一体が俺めがけて跳躍する。


 パリィベストタイミング、結晶盾を構えた俺は目の端で何かを捉えた気がして思考が止まる。


(変だ)


 その直観を信じ回避に変更。それが功を奏した。


 右振りを空振りしたリザードドラゴの中から透過するように現れた白髪の少年、そいつのナイフを俺は受け止めた。東条様々だ。この存在を聞いてなかったら絶対に受けきるのは無理だった。


「へぇ、防ぐか。魔物に意識がいってたと思ったが……それとも俺の事聞いてたってわけ?」


 外套(がいとう)を目深に被り、盗賊のような出で立ち、刀身に色が付いた短剣は(かす)っただけでもヤバそうだ。


「アンタとは会ってねえよなぁ、その顔ビンゴォかぁ」


 これが灰名悪人(はいなあくと)。目がイっちゃってる。ゲームじゃなけりゃビビってたかも。


「sharaa」


「っチ」


 思わず舌打ちしてしまうほど魔物がウザい。迫った二体の攻撃を何とか躱し、また透き通ってきた灰名の鋭い横凪をスウェーで見切る。


「東条、来やがったぞ」


 合図を送るが返事がない。投げナイフで通信機を破壊され、俺は投げ捨てた。


「おいおいこのゲームで仲間がいるだぁー。組んでるとか卑怯者だろぉがよぉ。チートだチート、最低かぁ?」


「貴方がね」


 来ると俺が身構えた瞬間、炎の壁と共に声が割り込んだ。使用限界の魔法を打ったと彼女の手の中で魔法札が燃え尽きる。いい魔法だ。延焼タイプで魔物を狙って対人攻撃にならないようにしながらも灰名とリザードドラゴ4体を一時的だが下がらせた。


「それとも自己紹介だったかしら」


 カバーは有難いが幾ら何でも早すぎないかと俺の眉間の(しわ)が寄る。


「成程、お宅は見覚えあるなぁーやっぱ見られてたってことかぁ。でも、通報はされてねえ。お前ら俺に殺されたいってことでおkぇ?」


 あれはもう基本無視でいいだろう。俺は隣に並んだ東条に耳打つ。


「お前早くねえか?」


「実は先に現地入りしてたのよ。あれをソロで抜け切るとは大したものね」


 こいつ……。仲間じゃなかったらぶっ飛ばしてた。左が楽と思ったのは錯覚だったか。俺を囮に使ったんだ。っつかあれ演技かよ女怖っ。ぜはぜは言ってたのに。


「お前のせいで俺のメイン武器がお釈迦(しゃか)になったぞ」


「私が直すから残骸をドロップして。貴方と灰名が対人認定されちゃった以上、私は立ち合いに入れない。私が魔物、貴方は灰名を。安心しなさい。負けても貴方の仇はとってあげるから」


 俺が壊れた闇の直剣を地面に落とすと閃光弾が放たれた。


 あの女、マジで先に言え案件である。

───────────────────────────────────

【PANDRABOX】LOSTDAYS ロストデイズ  Lv33


 437:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    ラッシュモード 頭おかしい 無理だろ

    秒で囲まれたわ


 439:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    ルート決めて 最善手で突破掛けんと 死ぬ 


 443:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    死んだわ 魔法ぶっぱが基本かな 

   

 446:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    その場しのぎにしかならんけど閃光弾とかモクとか焚くのもよき

    鼻きくモブとか設定あるモブには効かないけど

   

 449:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    これめくりある? ガードしたのに喰らった判定貰った


 452:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    >>449   

    対人付いてるゲームは格ゲー要素採用されてるよ

    予算の都合で同じシステム引っ張ってる 

    別でシステム積んでるのMMOくらいよ


 455:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    皆フェスとクラッツやってないの?


 458:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    >>455

    やってない奴いないっしょ 流石世界2大MMOってだけあるけど

    ただ正直、若干ピーク過ぎた感あるんよね


 461:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    わかりみあるです 凄く盛り上がってるけど

    頂点越えて  特に有名どころが固定化してきた  

   

 465:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    老店で長いから仕方ないと思うけどね

    むしろ新規が出てこないのが悪い

    ってかそろそろスレチか


 468:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    ラッシュ アトラス出てきてフィールド破壊しよるんだが

    殺しに来てない?

  

 472:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    >>468

    アトラスはほぼどのモードでも出るぞ

    フィールド破壊あるからこそ地図埋めるんだ


 474:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    はああー

    クソゲーだろ 3日間掛かって ハメられて終わった


 478:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    >>474

    そういうゲーム性だから

 

 480:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    ホップコート掛けるといいぞ

    回数増やすアイテム使って常時掛ける感じ

    段差越えられないMOB多いし

  

 483:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    私は壁作って遅らせるのをお勧めする

    破壊されても息継ぎ程度にはなるから


    もう最初からラッシュ想定して罠仕掛けたりしておいても

    いいかもね本気で難しすぎるし


 487:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    今のところプレイスキル問われるのはこんな感じか

    ラッシュ>レース>ギガント(ボス)


 489:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    ギガントも難しいよ 相対的に楽ってだけな話で


 492:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    >>489

    レイド系?


 495:名無し@ワールドローガー員22XX/01/13(水)

    ギガントはね 大繩に近い ギミックましましでセンターに

    攻撃すると相手側のボスによる攻撃が激しくなるみたいな感じ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ