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そもそも、本当に?

 百年に一度魔王が現れ、それに合わせて瘴気が満ちて魔物や疫病が増える。

 この異世界ではそう言われているが、連れて来られた国の胡散臭さをよく知っている舞としては、まずここで引っかかってしまう。


「そもそも、本当に魔王=世の乱れな訳?」


 そう思うのは、SNSでの漫画情報でベタ展開の他にどんでん返しもあると知っているからだ。


「漫画とかであるわよね? 実は人間の負の感情が、魔物とかが増える原因だって」


 この異世界では『そういうもの』と思われているのかもしれないが、くり返しているのならその理由と言うか発生源があると思う。同時期に魔王が現れるので関連付けられるかもしれないが、寿命は知らないが百年もあれば普通に代替わりする。更に聖女が来たら浄化されるが、その間に魔王が討たれることはないのだ。もし魔王が原因なら、聖女が普通に死ぬとしてもその後から次の魔王への代替わりまでの間、新しい魔王が現れる前に瘴気が増えてもおかしくないだろう。

 だったら魔王のせいだと考えるより、拉致された恨みを差し引いても人間側が原因と考えた方がしっくりくるのだ。

 あと、聖女について聞いた話の中に「特に討伐になど行かず、皇宮にいることで世界全体が浄化される」と言うのがあった。だからお披露目や、皇太子と結婚するので民への挨拶くらいで顔を出すが、それ以外は皇宮から出てこないらしい。

 あの馬鹿曰く、舞は聖女ではないらしいが――もし万が一、聖女だったとしてもこの異世界にさえいれば世界は浄化されるという訳だ。


「それに、今じゃないかもしれないけど、転移者とか転生者もいそうだし」


 ……何故なら魔王のいる国は魔族の他、獣人やドワーフなど亜人もいるらしいが、そんな彼らが作って売っている『特製竈』や『特製氷箱』は動力こそ違うがコンロや冷蔵庫なのだ。何でも専用の魔法陣が描かれていて、その魔力で動いているらしい。

 巻き込まれた身としては、召喚される理由である瘴気について真実が知りたい。あともし地球の知識があるのなら、元の世界に戻る方法を知っているかもしれない。


「何よりごく潰しなら、私が魔王に会いに行っても全く問題ないわよね……大樹さん、たっくん、待っててね」


 いつものように祈るようにそう言うと、舞はベッドに横になった。

 そして次の日の休みで、舞は魔王のいる国と商いをしている商人の元へと向かうと、異世界人であることは伏せて自分も魔王のいる国に行きたいと伝え――無事、了承して貰えたことで酒場退職後の進路が決まったのである。

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