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捨てる馬鹿あれば拾う神あり

 舞は就職する前、大学生の時に居酒屋でバイトをしていた。そのこともあって、ウェイトレスに応募しようと思った。

 外国人(正確に言えば異世界人だが)なのでどうかと思ったが今回は本来、ウェイトレスをしていた店長の妻がまもなく出産するのだが、そこから床上げするまでの二か月から三か月くらいの短期募集だったので無事、採用された。更に泊まる宿をこれから探すことを伝えると、子供部屋になる予定の空き部屋に泊まることを提案してくれた。


「いいんですか? ありがとうございます!」

「あなた……あの、住み込みは良いんだけど。主人の言った部屋、寝台はあるけど赤ん坊のうちは夫婦の寝室で育てるから、今は寝台とクローゼットくらいしかないの……大丈夫?」

「……そうか。いくら短期とは言え、逆に迷惑だったか?」

「いえ、十分です!」


 妊婦である妻・ジョゼと店長兼料理人だというミゲルが気遣ってくれるが、空き部屋なので宿代も、更についでだからと食費も取らないという破格な対応だ。高い賃金を払えないからだと言うが、舞としては屋根の下で安心して眠れるだけではなく、食事まで面倒を見て貰えるのは本当にありがたい。

 もっとも働かざる者食うべからずだと思うので、外国人設定を活用してお酒や料理の値段や、貨幣について教わった。日本のようにお札ではなく金貨や銀貨、銅貨だったが目安(金貨は一万円で銀貨は千円、銅貨は百円くらい)が解れば納得出来た。

 そして食べ物を扱うからと仕事中は髪をお団子にまとめ、用意されていたエプロンをつけて次の日の夕方から仕事に取りかかった。

 最低限の買い物をして寝台でぐっすり休み、しっかり美味しいご飯を食べた舞は元気いっぱいである。


「いらっしゃいませ!」

「お、新しいかい?」

「はい! しばらくの間、よろしくお願いします!」


 店に来た客達に声をかけ、常連らしい者には一言添える。そして注文を取り、店長に伝えてテーブルへと運び、食べ終えた皿やコップを回収していく。

 最初、洗い物もするかと思っていたが、ミゲルからは給仕に専念するよう言われた。確かに厨房もあまり広くはないので舞が入ると狭そうだ。それ故、ありがたくミゲルの言葉に甘えて舞はウェイトレスに専念した。


「マイちゃん、注文お願いー」

「はい、喜んで!」


 ただ、注文の時についついバイト時代の受け答えの癖が出てしまった。

 焦ったが、元気が良いと褒められたのでその後も使うようになったのはご愛敬である。

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